「オリエント急行殺人事件」を見た(ネタバレあり)

はじめに

少し推理小説を読んだことがある人なら誰もが知っている、アガサ・クリスティの原作小説である「オリエント急行の殺人」を原作にした映画です。
エルサレムで、見事な推理で殺人事件を解決した、エルキュール・ポワロは次の目的地に向かうため、オリエント急行に乗り込みます。
ポワロは、乗客の一人であるエドワード・ラチェットから身辺護衛の依頼を受けますが、直後に自分の客室で死体で発見されます。
ポワロは、列車に乗っている人の中に犯人がいると考え、捜査を開始します。


まずは、勇気を讃えたい

映画化する時に最も難しい題材は、歴史物と誰もが知っている原作だと個人的には考えています。
それは、見ている人はエンティングがわかっているからです。
歴史もそうですし、有名な原作であれば、エンティングを帰ることができないので、映画化する際の武器が一つない状態で取り組む必要があもので、難易度が高いと思っています。
本作もまさにその典型で、原作を読んだことがない自分でも、犯人は知っていました(誰かにネタバレされました)。
そこを、あえて映画化に踏み切ったプロデューサー、監督、脚本家など製作陣の有機に尊敬の念を禁じ得ません。

ポワロがとにかく良い!

とにかく、ケネス・ブレナーさんのポワロが、非常に良いのです。
ちょっと気難しくて、何を見てそう思ったのかわからないくらい、確かな表現で、ズバズバと推理していくエルキュール・ポワロを、ケネス・ブレナーさんが見事に演じ切っています。
探偵ものの推理小説は、特徴ある主人公であることが多く、ポワロのシリーズもその流れを汲んでいるのですが、個人的にはポワロそのものかのように見えました。

なんかみんな怪しい

殺人事件、列車という密室という組み合わせなので、当然と言えば当然なのですが、ポワロが色々な人に話を聞いてく人全てが、かなり胡散臭いです。
このキャラクター付けというか、演出というかが、わざとらしくなく作られていて、違和感を感じることなく見られましたこともかなり好感が持てました。

震えた解決編

映画の中で最も印象に思ったのは、ポワロが乗客の前で事件についての解説をしていくシーンです。
とある事情から乗客は列車から出て、事態の解決までトンネルの入り口で待機している状況でポワロの解説が始まるのですが、トンネルの入口付近に向けて乗客全員を映したカットがなんと!絵画の「最後の晩餐」のイメージそのものになっているのです。
驚愕の事実に対し、悲壮な思いを持って推理を伝えに向かうポワロと、その厳しい事実をに向き合わなければならない乗客の置かれた状況を、ワンカットで表現しているという見事な演出だったと思います。
これを見た時、大袈裟ではなく震えました。

まとめ

有名な小説をベースにしていますが、列車の作り込み方も非常にリアルでしたし、結果がわかっている中でも、演出にも工夫を凝らしてあり、クオリティの高い映画に感じました。
バリバリのポワロファンから見るとどう映るのか分かりませんが、ケネス・ブレナーさんのポワロもとても良かったです。
犯人を知らない人はもちろん、知っている人でも、推理小説ファンであれば一度見て見ては加賀でしょうか?


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