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メタル界のバックストリート・ボーイズ、ブラインド・チャンネル

このnoteでは、25年前の出来事に加え、今まさに担当しているアーティストもご紹介できればと思います。多分これから何度も書きそうな気がしますが、それだけ今担当として情熱をかけているのが、フィンランド出身の6人組、ブラインド・チャンネルです。10年のキャリアがあるのですが、注目を浴びるようになったのは2021年のユーロビジョン・ソング・コンテストです。この年の優勝は今をときめく、イタリア代表のマネスキン。フィンランド代表のブラインド・チャンネルも6位入賞を果たしました。その時に歌った「ダーク・サイド」はフィンランドで1位になり、彼らはヨーロッパでは大人気のロック・バンドになりました。

この曲を名刺代わりに、ヨーロッパを中心にライヴを活動を続け、この曲を含む2022年リリースのアルバム『Lifestyles of the Sick & Dangerous』は、母国フィンランドでは1位になりました。バンドの編成がリンキン・パークと全く同じのため、フィンランドのリンキン・パークという異名もあります。実際に、リンキン・パークの『メテオラ』愛がバンド結成の理由ともいわれ、チェスターを追悼するために「ナム」をカヴァーしています。

僕が2022年にソニーミュージックで洋楽の仕事をさせていただくことになって、一番初めに気に入った新人が彼らで、この年の12月にこのアルバムを『シック&デンジャラス』というタイトルでリリースしました。もっと多くのファンに聴いていただきたいのですが、ちょっと僕の力不足で、まだ来日公演も実現していません。彼らはこのアルバムまでは、自分たちだけで曲を書いていたのですが、その後アメリカやイギリスで、様々なソングライターとコラボし、楽曲を作り始めました。また、様々なバンドの前座という形で、アメリカでもライヴ活動をスタートしました。現在、新曲「デッドゾーン」がアメリカのラジオでも、好調にエア・プレイされて、チャートを上昇しています。

そして、この曲を含む新作『エグジット・エモーションズ』が遂に、3月1日にリリースされることになりました。このアルバムのいくつかの曲では、ONE OK ROCKの楽曲をプロデュースしたダン・ランカスターが共同プロデュースで参加したり、アメリカのラップ・メタル・バンド、フロム・アッシュズ・トゥ・ニューがゲストで参加したり、前作とくらべても明らかにスケール・アップし、内容もハイ・エナジーなロック・アルバムにしあがっています。初のコラボ・シングル「ダイ・アナザー・デイ」は、イギリスのシンガー・ソングライター、ロリーが参加していますが、新境地ともいえる感動のバラードです。

というわけで、3月1日に発売になる『エグジット・エモーションズ』がヒットすれば、初の来日公演実現も、期待されるところです。リード・シンガーのニコは漫画とアニメが大好き、もうひとりのリード・シンガー、ヨエルも、日本に行くのが夢と言ってますので、期待できそうですね。
彼らは最近いろいろな場所で、自ら”メタル界のバックストリート・ボーイズ(We’re Backstreet Boys of metal scene)”と名乗っています。もともと、メタル・フェスティバルで、彼らを嫌う観客から投げられた野次だった言葉だそうですが、彼らはそれを誉め言葉ととらえ、そう名乗るようになったそうです。アメリカの番組では、アコースティックでバックストリート・ボーイズのカヴァー・パフォーマンスまでしています。この開き直りがすごいですね。最近では、ライヴが終るとバックストリート・ボーイズのこの曲が流れるようです。

ユーロビジョン・ソング・コンテストを野球で例えるなら、マネスキンはドラフト1位で、大輪の花を日本で咲かせました。ドラフト6位のブラインド・チャンネルがここ日本で人気が出るかどうかは、この新作にかかっています。すでに4曲の先行シングルがリリースになっていますので、ぜひチェックしてみてください。

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