最初は小さなものだったから気にしてなかったのに、心の片隅に追いやっていた「悲しみ」や「辛さ」の数が増えて、気付いた時には暗闇に覆われていたんだ。

『辛いよ･･･』って口に出しても返ってくる言葉は同じ。「そんなの当たり前だよ。みんな我慢しながら過ごしてるのに」「そんなこと気にしてちゃダメ」「君なら大丈夫。一人でもやっていけるよ」「君ならやり過ごせるよ」･･･。

そんな言葉を何度も耳にするたびに、我慢するのが当たり前になってた。誰にも頼っちゃいけないんだって思うようになった。

ある時、「なんでそんなに我慢してるの？」と、私の言葉に疑問を投げかける人が現れた。すっごく優しい目をしていて、私の言葉にゆっくりと、そして丁寧に耳を傾けてくれる人。

私は驚いた。「皆、我慢するのが当たり前じゃないの？？？」って。

その人は穏やかな表情で、私と一緒に時間をかけて暗闇に隠された「悲しみ」や「辛さ」と向き合ってくれた。時には二人で涙を流しながら･･･

久しぶりに流す涙は、私の心を洗い流してくれるみたい。「悲しみ」や「辛さ」で押しつぶされそうだったのが嘘みたいに軽くなったんだ。

涙の存在を思い出せた私は、その人の優しさに触れるたびに泣いた。

こんなに泣ける自分がいたんだとビックリしながら･･･

ゆっくりと、時間をかけて向き合った。そうしていると、真っ暗な部分が少しずつ明るくなっていくように、暗闇は少しずつ減っていったんだ。蓋をして忘れ去ろうとしていたのにできなかった「悲しみ」や「辛さ」たち。暗闇が減っていったおかげで、見失うことはなくなった。

ちゃんと向き合うと決めたら、「悲しみ」は「悲しみ」でなくなり、「辛さ」も「辛さ」でなくなっちゃった･･･。

最後に残ったのは、真っ黒な小さな塊だった。所々輝いているかのように光を放っている･･･。まったく嫌な感じはしない。逆に、優しくて温かさがあふれ出てくるような不思議な感じがする･･･。

これはきっと、私の宝物になるんだ。

大切にここ -心の片隅- に置いておこう。

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