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レコードを500枚プレスして9日で売り切るまでにやった事

レコードをリリースする際に何枚プレスしたらいいか悩んでる人や、リリースしたけど思うようにセールスが伸びない人の参考になりますように。

※7/8追記

6/10にリプレスした追加の300枚は3日で売り切れました!感謝!!

前書き

まずはじめに500枚って少ないですよね。YoutubeやSpotifyでは数百万や億の再生数で話題になりますが、レコード / アナログの流通はそんなものです。一部の人達を除けば300枚売れるか売れないかというケースが大半です。

diskunion JAPANESE ROCK・POPS / INDIES お買得一覧
https://diskunion.net/jp/ct/sale/0/0/0/01020310/0/0/50/0/0/0/0/0/0

上記のリンク先のように沢山のレコードが常時セール状態になってます。

このニュースにある上位のアーティストの名前はみなさんご存知かと思いますがそれでもこの数字という事、また半分以上は過去作品、もう半分はレコードで聴くためというよりはファンのグッズ的なものになってます。

海外のニュースでもレコードの売上うんぬんというのもありますが、過去作品の再発だったりメジャーアーティストのグッズ的なものが売上の大半を占めていることはあまり知られていません。つまりレコードを主戦場にしてきたアンダーグラウンドな人達からすると状況はあまり変わってないという事です。

ただし、どんな形であれレコードが少しでも話題になるのはウェルカムなので、レコードに愛がある形でどんどん参入してくれると嬉しいですね。

プレス枚数の目安

初めてレコードをプレスしようと思う人達はおそらく200枚〜500枚の中で悩むと思います。10〜20万円台のゾーンです。

以前に比べ最近は卸先のレコード屋も極力在庫を抱えたくないのか、一回のオーダー枚数が非常に少ないです。過去の実績がないと小型店舗であれば3〜5枚、大型店舗でも10〜20枚のオーダーという感じです。

ただしプレス枚数を減らすと当然ですが単価が高くなり、売れにくい要素が増えてしまいます。個人的には7inchで2,000円だと若者が買えないので、1,500円くらいに抑えたいと思ってます。1,500円でも高いんですが、これ以上価格を下げると赤字になる可能性が一気に高まります。

レコード 300枚 / 500枚プレスした時の単価はこちらの記事をご覧下さい。

参考までに今回我々はウルフパックジャパンさんで500枚プレスして1,500円(税抜)でリリースしました。

500枚を売り切ってもレコーディングやマスタリング、ジャケットのデザインなど諸経費を除くと利益は100,000円弱でした。全然夢がないですね笑

そう考えると微妙に単価を上げてレコードで利益を出そうするのではなく、広告の一つと割り切ってしまう方が良い気はしています。(レコード会社はそんな割り切りをしないと思いますが)

オーダー数ですが、初回のレコード屋からのオーダーは6店舗で250枚弱、その後の追加オーダーでバラバラと約150枚、bandcampで主に海外へ約30枚自前のオンラインショップで約40枚、残りは手売りという感じでした。いつも沢山オーダーしてくれるJet Setさんdiskunionさんには感謝です。

これは比較的良い結果なので、まずは300枚プレスして売れれば追加プレスするのもありだと思います。需要があるのにプレス枚数を絞るレーベルもあったりしますが、レコードにしろスニーカーにしろ来世は品薄商法でマーケティングする人達がいない世界に生まれたいものですね。

リリースまでにやった事

前置きが長くなりましたがそろそろ本題です。リリースまでにやった事をまとめました。

1. 沢山の人を巻き込む
2. 販路を増やす
3. レコーディングの素材でプロモーションをする
4. 影響力がある人へ渡す
5. 何度も宣伝する

順番に説明していきます。

上記はあくまで援護射撃的な要素であって、一番大切な事はレコード好きな人達の心に響くクオリティの曲を作る事なので、そこに関しては実際にレコードが売れてる人にアドバイスしてもらうのが一番だと思います。デジタルの配信とは全く違ったセンスが必要なんですよね。最後にも少し書き足してしまいましたが、若者に「勉強になります!」と言われないか心配です。

沢山の人を巻き込む

今まで私は一人で音楽を作って、ほぼ一人でプロモーションをしてたんですが、今回はボーカルグループのTHE DIVASと一緒に作品を作りました。

THE DIVASは3人グループでプロデューサーのDJ Ke-Ta The Disco 9ことケータくん、自分を入れると早くも5人になりました。さらにジャケットのデザインも今回は自分でやらずにデザイナーでDJでもあるナカバくんへお願いをし、レコーディングはKenichro Nishiharaこと西原先生、マスタリングは著名アーティストとの仕事も多いWax Alchemyのたもつくんとさらに3人増えて計8人です。1+1のテンコジ画像は割愛します。

やはり自分一人ではリリース情報をリーチできる範囲に限界があるので、作品を作り上げる重要なポイントに信頼できる人達をしっかり巻き込む事によって、より幅広い人達への認知を高める事を意識しました。

仕事でもそうですが、一人でできることはたかが知れているので、なるべく早く多くの人を巻き込んでいくことでより大きな発信力/アウトプットにできるとベストです。ただし巻き込む人は誰でも良い訳ではなく、信頼できる人達である事が絶対条件ですね。

昔は一人でやってる俺スゲーな時期もありましたが、ただの自己満足であることに加え、多くの機会損失を生むだけでした。人を巻き込める力があると人生が楽しくなるはずですが、トラブルにだけは巻き込まないように気をつけましょう。

販路を増やす

今まではレコード屋への卸と手売りでした。これまで英語の歌でリリースしていたので自分で開拓した海外の流通経路もあったんですが、今回は日本語の曲ということで海外への流通が使えず、海外向けにbandcampのページを作成し、さらに自前のオンラインショップをShopifyで作成しました。

bandcampと自前のオンラインショップはレコード屋へ卸すよりも利益率が高い事に加えて自分で在庫をコントロールできるので用意したんですが、梱包資材の準備や発送作業が大変なのでメリットとデメリットがありますね。それでも海外含め約70枚売れたことは良い学びでした。

7inchのレコードであればクリックポストなら198円で送れるため、送料を無料にしてもレコード屋に卸すより利益が出るので、bandcampかオンラインショップのどちらかを用意しておくのをオススメします。手軽さで言うとbandcampですが決済方法がPayPalに限定されます。日本国内だけを考えればBASEは無料でオンラインショップが作成できるのでオススメです。

私はAnderson .PaakCommonが好きなので彼らと同じようにShopifyでオンラインショップを作りました。1mmくらい近づけた気がします。

レコーディングの素材でプロモーションをする

一番大変な事はレコードのリリースを知ってもらう事です。世の中の広告費が高い理由がまさにこれです。知ってもらうために沢山の情報を発信するんですが、一番伝わりやすいフォーマットは 動画 > 画像 > テキスト の順ですね。

言うのは簡単ですが動画の素材を用意するのは大変です。大変なんですが、曲を作る上でレコーディングを含むスタジオワークはほぼ必ず行われると思うので、レコーディング風景やスタジオでそれっぽい雰囲気の動画を沢山撮っておくと活用しやすいです。雑でも良いのでとにかく長めの時間撮っておきましょう。iPhoneの画質で十分です。

動画の音は素材の音を無音にしてリリースする曲を断片的にでも被せておけば良いので、雑な言い方ですがそれっぽい動画の素材さえあれば形になります。サビのアカペラなんかは素材に被せる音源としては最高です。

私はInstagramをメインで使ってるのですが、Youtube / Facebook / Twitterと全方位に投稿しました。自分が思っているよりも人はSNSの投稿を見てくれていないのと、人によって好むSNSはバラバラなので、自分が好きなSNSだけではなくとにかくあらゆるSNSへ選挙演説の如く投稿しましょう。如くで思い出しましたが好きなゲームは龍が如くです。

影響力がある人へ渡す

こればかりは今までの積み重ねも影響してくるんですが、レコードの場合DJに知ってもらうと一番拡散されやすいです。今は難しいですがなるべく現場へ出向いて繋がりを作っておくと良いですね。所謂ロビー活動です。

我々の場合、日本が世界へ誇るDJ KOCOさんがInstagram Liveでかけてくれた次の日には国内と海外の両方からオーダーが沢山きてました。感謝です!(画面右端にある矢印をクリックして4つめの動画です)

たびたび来日しているUS在住のDJのSkeme RichardsもInstagramに載せてくれて、翌日海外からオーダーがきてました。これまた感謝です!

日本から海外へInstagramで地味〜に情報発信をしていて、香川県の西日本放送ラジオでも毎週木曜日夜11時~11時29分にJimmie Soul Radioとして番組を持っている岡田さんも紹介してくれました。

余談ですが、岡田さんことジミーさんがInstagramへ載せてくれたことでテキサス州のレコード屋からオーダーがきたんですが、そのレコード屋は私が10年前からレコードを買ってたお店だったのでとても感慨深かったです。人の繋がりに感謝ですね!

何度も宣伝する

最後になりますが、何度も宣伝しましょう。

宣伝ばかりだとフォローを外されたりミュートにされてしまうのでバランスが重要ですが、前に書いたとおり人はそれほどSNSを見てくれてません。一回の投稿では認知はなかなか高まらないので少ししつこいくらいで大丈夫です。ただし聴いてくれないと泣いちゃうみたいな投稿はヘイトを集める事になるのでオススメしません。

また感覚的な話になってしまいますが、発売前の投稿よりも発売後が重要になってきます。自分だけの投稿だとパターンに限界があるので、レコードを購入した人が投稿したくなるような仕掛けがあると良いですね。

#笑顔のかけらハッシュタグ - Instagram • 写真と動画 - www.instagram.com

また投稿してくれた人のところへリリースした本人達がコメントしにいくことで、他の人も投稿してくれるようになります。単純に自分が好きなアーティストにされたら嬉しいことを根気良くやり続ける事が大切です。地道な活動はきっと誰かが見てくれているはずです。

最後に

いろいろ書きましたが、レコードは売れたんですがYoutubeやSpotifyApple Musicなどのデジタルはめちゃくちゃ苦戦してます。ターゲット層が違うのでしょうがないですが、こればかりは本当に難しいですね。良い曲なので気に入ってもらえたらシェアだったりプレイリストに載せてもらえると最高に嬉しいです。先に感謝しておきますね!

ストリーミングを含むデジタル界隈では苦戦してますがレコードは500枚完売したのでカラーヴァイナルで再プレスしました。原価が上がったので100円値上がりしてますが、予約も開始してます。早くも到着が楽しみです。

改めてこうやって振り返ってみると、レコードが売れた一番の要因は知ってもらう努力に加えて、レコードが大好きだという事が曲やジャケットなどから伝わったことなんじゃないかなと思ってます。どちらもそれっぽく作ることはできると思うんですが、やはり好きな人が本気で作ると細部へのこだわりで圧倒的な差がでます。

音楽もファッションもそうですが、有名なインフルエンサーと呼ばれる人達が広告塔になって流行り物の使い回しで作られた作品よりも、本当に音楽やファッションが大好きな人達が時間をかけてこだわりぬいて作ったものがもっと沢山のメディアに取り上げられて、より多くの人に広まる世の中になるといいですね!

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