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大神神社でご祈祷してもらいました

石上神宮を堪能した後、大神神社へ向かいます。

大神と書いて「おおみわ」。普通なら絶対読めません。

なんでこれで「おおみわ」と読むかというと、この地にある三輪山を御神体としているからなんです。

大和にあって「神」とは三輪山の神のことだったんですね。それほど三輪山の神とは偉大な神であったと言うことができると思います。

日本で最も古い神社の一つと言われていて、大和国一宮。

一宮とは古代から中世にかけて選定されたと思われる最も社格の高い神社で、原則的には1国1社なんですが例外もあって、全国で100社以上存在しています。

詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。まあ、古くて由緒正しくて格式の高い神社ということです。

で、そんな格式の高い神社の御祭神はどなたかというと。

こちら(『古事記ゆる神様100図鑑』より)。

大物主神(おおものぬしのかみ)です。

『古事記』では、一緒に国づくりをしていたスクナヒコナがいなくなってしまって、海辺で嘆いていたオオクニヌシのところへ「自分を祀れば国づくりは上手くいきますよ」と言って海を照らして現れた神とされています。

で、「吾をば倭の青垣、東の山の上にいつきまつれ」とおっしゃったので、オオクニヌシは三輪山にこの神をお祀りしたんだそうです。

『日本書記』でも同様の伝承があり、二神の問答で大物主大神は大国主神の「幸魂(さきみたま)・奇魂(くしみたま)」であると名乗られたそうです。なので、オオモノヌシとはオオクニヌシと同神とみる向きもあるのですが、はてさて、どうでしょうか。

配祀されているのは大己貴神(おおなむちのかみ)と少彦名神(すくなひこなのかみ)の二柱。オオナムチというのはオオクニヌシの別名です。
主祭神を別名で配祀するというのはなんだかちょっとおかしい気がしますね。ということで、オオモノヌシとオオクニヌシは別神だと思います。
この話始めると長くなるので、この辺でやめときます。

で、このオオモノヌシという神様は他にもいろんな伝説を持ってます。
『古事記』では、中巻の神武天皇のくだりで登場。
セヤダタラ姫を気に入ったオオモノヌシは矢に変身して、姫がトイレで用をたしているときに便器の下からあそこを突いたというんです。
びっくりした姫が(そりゃあびっくりしますよね)、その矢を部屋に持ち帰ると「麗しき男」になって、そのまま・・・。で、生まれた子がホトタタライススギ姫、またの名をヒメタタライスケヨリ姫。「ホト」とは女性器を表します。名前にそんなのがつくのは嫌だってことで変えたそうです。

このイスケヨリ姫はその後、初代天皇の神武天皇と結ばれます。このお二人から二代綏靖天皇が生まれますので、オオモノヌシは今の天皇陛下のご先祖さまということになります。
ただし、『古事記』と『日本書紀』では若干違ってて、『日本書紀』ではヒメタタライスケヨリ姫ではなくヒメタタライスズ姫と呼ばれていて、姫のお父さんはオオモノヌシではなくコトシロヌシになってます。

ちと、ややこしいですね。『古事記』と『日本書紀』では話じたいが少し違ってたり、神様の名前や表記もけっこう違ってます。

さて、もひとつ有名なオオモノヌシの伝説は、『日本書紀』の第十代崇神天皇のくだりに書かれています。

崇神天皇の大叔母ヤマトトドヒモモソ姫(第七代孝霊天皇皇女)はオオモノヌシの妻となったのですが、夫は夜にしか姿を見せなかったため、朝までゆっくりいてその姿を見せてほしいとお願いします。
これを了承したオオモノヌシは、姫の櫛箱の中に入っているから驚かないようにと答えました。翌朝、姫が櫛箱を開けると中には蛇がいて、姫はびっくりして泣いてしまいます。オオモノヌシは恥をかかされたと言って大空から三輪山に登って行ってしまいました。
姫が後悔してしゃがみこんだ時に箸で「ホト」をついてしまい、そのまま死んでしまいました。という、なんだかよくわかんないお話です。
※似たようなお話が『古事記』にもあります。

この姫のお墓が箸墓です。昼は人が作り、夜は神が作ったと『日本書紀』に書かれています。邪馬台国畿内説の人々に言わせると、このヤマトトドヒモモソ姫は卑弥呼じゃないかということです。真偽のほどはわかりません。

『古事記ゆる神様100図鑑』ではこんな感じ。この本では『古事記』表記しているので、「ヤマトトモモソ姫」となっていますね。

ほかにもちょいちょい出てきますが、これまた長くなるのでこの辺で。
ただ、『古事記』に出てくるメジャーな神様(アマテラスやスサノオやオオクニヌシ)などとは親戚筋ではないようで、系図には出てきません。ヤマトの国の土着の神、それこそ縄文時代の神様だったのかもしれませんね。

お酒の神様として有名で、酒屋さんや居酒屋さんの軒先につるしてある杉玉にはオオモノヌシの神力が宿っているとされています。
大神神社の摂社には活日(いくひ)神社というのがあり、高橋活日命が祀られています。この神様は杜氏の祖で、崇神天皇の時代、オオモノヌシのお告げによって一夜で良質のお酒を作ったそうです。高橋活日が残した歌が『日本書紀』に残っています。

この神酒(みき)は 我が神酒ならず 日本(やまと)なす
 大物主の 醸みし神酒 いくひさいくひさ

お酒の神様ということで、この大神神社や活日神社には昔から多くの酒造関係者がお参りされるそうです。

と、ここまで書いて、なんか、オオモノヌシの説明するだけでずいぶん長くなったので、次回へ続く。


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