集落丸山2

集落丸山という決意。

古民家の宿「集落丸山」が開業したのが平成21年10月、もうすぐ9年になります。今では、地方創生の分野でとても有名な集落になりました。集落の人たちとの交流は、集落ホテルという共同事業は、いつも私たちに安らぎと希望を与えてくれます。

弊社は「古民家再生を起点にコミュニティ再生を実現する」ことを事業手法としていますが、その理念や理論のほとんど全てを、この集落丸山のプロジェクトから学びました。私たちの原点と言える「懐かしくて新しい」場所です。このマガジン「奇跡の集落、丸山物語。」では、開業から現在に至るその消息をご紹介していきます。

その第1回は、集落NPOの設立趣意書です。半年間のワークショップを経て取りまとめた集落の人たちの決意表明です。

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NPO法人集落丸山 設立趣意書

現在、丸山集落は、12戸の茅葺民家等から成る。12戸のうち7戸が空き家で、残る5戸に19 人が仲良く暮らしている。御嶽に向かう黒岡川の細い谷筋に家屋が位置し、その間を黒岡川と並行して一本の村中道が東西に通っている。集落のその唯一の道は近畿自然歩道に指定されており、 道に沿って農地が拓かれ、地区のシンボルである「コンコンの木」が村人の往来を見守っている。

そのような農地と里山を背景として、棟のそろった重厚な屋波と石垣、それらと一体となった白壁土蔵など存在感のある古民家群が美しい景観を保っている。稲穂が色づく秋になれば阿弥陀堂にのぼりが立ち、村祭りが始まる。今も農の文化が息づく丸山の情景は、まさに日本の農村の原風景を彷彿させる。「農」を通して自然と触れあう豊かな心をはぐくんできた丸山の里は、今も脈々と息づいている。

こうした丸山地区も少子高齢化が進行し、空き家の増大とともに、いわゆる限界集落化が懸念されている。農業の担い手不足や耕作放棄地の増加、獣害の拡大などにより地域全体の環境管理が困難な状況となっている。

こうした状況を打開するため、私たちは、これまで培ってきた豊かなコミュニティを背景に、使われなくなった個人資産は地域の共有資産であるとの認識のもと、他地域に住む財産相続者に代わって個人資産を協働管理すること、生きがいの持てる自律した地域経営を創造すること、そのための体制整備を行うこととした。

篠山城下町の水源地、御嶽の森山麓の細い谷筋に位置する「集落丸山」は、城下町から車で7分の距離ながら、懐かしい日本の原風景がそのまま残っている。携帯電話もつながらない。都会の喧騒を離れた別世界の風景が今も生きている。この丸山の財産をみんなで維持管理し活かすこと、そこに無限の可能性があると私たちは信じている。

集落は家族。先人を想い、未来を育む里づくりの推進をここに決意する。

平成21年9月4日
NPO法人集落丸山 代表 佐古田直實

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第1回のワークショップの場で、集落のどなたかが、当たり前のように「集落は家族だから…」と語り始めました。私は、その言葉に触れたときの新鮮な驚きをいまでも憶えています。それなら、ノオトを「集落の親戚」にしてもらおうと思ったのでした。

いまは、携帯電話も少しつながります。

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