「Low fantasy.」 (8)
「ウミウシ女」
次の辺境へと向かうために、岬の庭師たちと別れ早数日が過ぎた。
延々と続く波の静かな海岸線を歩いていると、
進む先にある岩場に人影を見つける。
近づくにつれ、姿かたちが見えてきた。
なんとも綺麗な女の子達のようだった。
(ようだった。というのは、どうやら人ならざるもののようだからだ。)
しかし様子がおかしい。
ちらりちらりと こちらを見ては意地悪そうに笑い、
コソコソ話をする素振りをする。
岩場を ただ通り過ぎるだけの僅かな時間が
なにやらひどく長く、居心地悪く感じた。
ああ、きっとあれが岬の庭師の話していた「ウミウシ女」なのだろう。
(9)へ続く
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