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逆風下でも会社を持続的に成長させ、社会に価値を生み出し続ける。

2020年から2021年へ

2021年が幕を開けて2週間が経ちました。まだ昨年の記憶が残っているうちに、仕事面での簡単な振り返りと今年をどんな1年にしていきたいかについて徒然なるままに綴ります。

2020年の仕事生活を振り返ると、弊社は業種柄猛威を奮った某ウイルス(敢えて名前は出さない)の影響をもろに受け売上がみるみる下がっていき、何とかして業績を維持しようと躍起になった1年でした。

主力事業が大幅に減退すると当然危機管理モードになり、とにかく企業を存続させるために何とかその事業の下降幅を最小化させる、経費をとことん圧縮して損益分岐点を下げる、あるいは他の事業を伸ばして全社で影響を相殺する、といった対応策を進めていくことになります。販売現場のマネジメントを担う身として、この3本柱を徹底的に推進したつもりではありますが、なかなか数字がついてこない現実に頭を抱え、考えても考えても魔法のような挽回策が出てくるはずもなく、今やっていることを地道に粛々と続けるしかないと覚悟を決めたところで年末年始を迎えました。

あまりに頭の中が仕事でいっぱいになっていたため、年末年始はとにかく仕事スイッチをオフにして家族のために時間を使うこと、仕事に関係ない読書をすることを意識しながら過ごしました。そして仕事始めの最初の1週間は例年通りギアが入るのに数日を要し、その間PCに向かいながら今年1年でやり遂げたいことをぼんやりと考えていました。

今自分は日系企業のオランダにある販売子会社で働いていて、社長室で経営ダッシュボードの運用や採算性分析を行いながら経営陣のサポートをしたり、セールスやマーケティング部門と連携しながら施策の立案や推進を行っています。現場での仕事は自分たちの努力が数字にダイレクトに出てくるのでやり甲斐が感じられる一方、うまくいっていないときのプレッシャーが非常に強く、赤字が続くと人を切って会社を縮小しなければならなかったり、子会社という立場上トップダウンで容赦なく経営陣のクビがとんだりするので、現地メンバー、殊更経営陣は覚悟を持って利益創出に努めます。今はまさに後者の状況にいるので、自分も何とか会社を維持するために死力を注いでいるところです。

業績が悪くなった時にリストラして利益を出すのはある意味簡単で、現場レベルでは過去に何回もそれを繰り返してV字回復をしていますが、その度に組織の規模は縮小します。人手が足りず自然と仕事がキーマンに集まり、少人数で仕事を回さなければならないようになり、優秀な人材の離職やマーケティング費用の削減で売上も落ちがち。リストラ後数年間は持つけれども、その間に有効な手立てをうって売上をスケールアップしないとまた損益分岐点に近づいて次のリストラを行わなければならない。特に衰退市場ではこのようなサイクルに陥りがちです。

基盤事業が衰退市場にあるといって過言のない在蘭弊社では大きなリストラを行わないよう売上減に応じて細やかに人員や経費の調整を毎年入れていますが、言い換えると会社を縮小し続けていることに他なりません。ある意味それが生存戦略とも言えるのですが、果たして企業の社会的責任という観点からそれは正しい戦略と言えるのか。特に一部上場企業ともなると社会的影響力は大きく、従業員を含めた自社に関わる全てのステークホルダーに貢献し続ける義務があると私は考えています。その意味で、上場企業の一部である弊社も社会のため、株主のため、顧客のため、従業員のため、会社として成長を続けるしかないという想いで最近は後発事業を育てるべく頭を悩ませる日々です。おそらくこれが2021年の一番大きなテーマになりそうです。

はたらくを見つめなおす

大学を卒業してから、"はたらく” ことが人生の大部分を占めるようになりました。入社してから10年以上、 ”はたらく” ことは私にとって "楽しみ" であり、”満たされる” ことでした。あくせく働いて、自社の売上と利益を伸ばして、顧客にも満足して頂く。そうして満たされていくことを楽しいと感じ、この楽しみを得ることがはたらく意欲の源泉になっていました。しかしながら30代も半ばになり販売現場での経験も約2年になった今、自己満足の追求だけではあと30年近くに及ぶ長いキャリアを真の意味で充実したものにすることは出来ないと確信めいたものを感じています。より大局的に物事を捉え、俯瞰的に社会を見つめ、自分の信じるバリューを会社を通して実現するようなはたらき方をしなければならないと。

企業というのはこの社会の1つのピースで、それぞれが補完的に活動することで人々の暮らしを成り立たせています。我々会社員はその中で組織の中で複雑に重なる歯車を噛み合せながら企業というピースを動かし、そこで生まれた付加価値を社会に循環させています。そしてその付加価値をどんどん大きく、良いものにしていくことで、社会に循環する価値の品質をより良いものにしていく。そうして得たリターンで新しい付加価値をどんどん社会に創出していく。それが企業活動の源泉だと考えています。

経費削減の話を先に出しましたが、リストラを続けて企業の規模を縮小し続ける行為は一見合理的に見えて自社が生み出す価値の総量を次第に低下させていくものです。それを良しとするかは経営者次第ですが、株主、顧客、従業員など多様なステークホルダーと繋がり、社会の信頼を預かっている企業としては、困難に直面しても歩みを止めるべきではなく、時代の波が自社を沈めようとするならば、どうすればその波を超えられるのか、どのようにして波を読み波に乗って持続的発展を目指せるのか、社会に貢献し続けられるのか、地に足をつけて考え行動する義務があると私は考えています。そのためには短期的利益の追求だけではなく、長期的なビジョンとそこに到達するための仕掛けを断続的に行わなければいけません。そうして全てのステークホルダーに信頼され続け、社会に最大限の価値を循環させ続ける企業というのが私が理想とする姿です。

"施されたら施し返す、恩返しです"

本気でこう思えるようになったのは、2年間現地法人のオランダ人社長の直下で百戦錬磨の役員たち(いずれもオランダ人)と一緒に働いていて、ビジネスマンかくあるべしというのを徹底的に勉強させてもらい、自分も会社をこう変えたい、こんな会社を作りたいという想いが醸成されてきたからです。十数年働いてそのような想いを持ったことがなかったわけでは決してないのですが、どうしても自分の現在の役割や業務を主観においたインサイド・アウト的な思考に陥りがちでした。経営者と仕事をすることは確実に自分をより高い視座へと誘ってくれています。

弊社の役員のタイプは様々で、バランス感覚に優れた人もいれば、とにかく短期的な利益を追求する人、自分の部門の従業員の士気を大事にする人、常に社内政治を意識しながら仕事をする人など、見習いたい点もあれば自分の考えと相違する人もいましたが、経験に裏打ちされた発言と意思決定の手法にはいつも感嘆させられます。特に私が影響を受けたのが現地人社長で、彼の将来を見据えるビジョンとカリスマとも呼べるリーダーシップ、とにかく従業員を大切にして時間をかけてでも一人ひとりと向き合う仕事のスタイルにリーダーかくあるべしというのを学ばせてもらいました。

彼と幾度も1 on 1を重ねて、一緒に自社の経営について意見を交わしたり、今後のビジョン熱く語る彼を傾聴したり、自身を見つめ直すきっかけをもらったり、逆にCEOとしての悩みなどを聞いたりしているうちに、経営とは何ぞやというものを叩き込んでもらうことが出来ました。更に運良く自分が社長直下のポジションにいることを活用してセールス、マーケティング、オペレーション、ファイナンス、人事など色々な部署の人に絡みに行き、誰に頼まれたわけでもないのに勝手に彼らの仕事に首を突っ込んで一緒に仕事をさせてもらい、どのようにして社内の歯車が回されているのかを自分でプロセスマップが書けるくらいオペレーションレベルでしっかりと理解しました。こういった全ての経験を通じて、はたらくということは決して自己完結することではない、自分たち個々人の行動は企業を支え、会社を発展させ、巡り巡って社会に循環し、それぞれの貢献が確実に業績や株価という形で数字として現れるのだと、今まで点で理解していたことが一本の線で繋がったのです。ここに至るまで大変長い時間を要してしまいましたが、このようなキャリアを歩ませてくれている自社にも感謝でいっぱいです。某常務がおっしゃっていたとおり、「施されたら施し返す」ということでしっかり会社にも恩返ししなければいけません。

終わりに

今年も厳しい経営環境は続くことが見込まれますが、自分はとにかく短期的な危機から自社を守り、同時に自社が永続的に発展していけるよう世の中を見渡し、今自社に求められていることは何なのか、どの分野で価値を発揮できるのか、どうすればそれを実現できるのか、大きく考え、小さな活動をいくつも仕掛けていく所存です。逆風化にあっても、会社を持続的に成長させ、社会に価値を生み出し続ける企業に変えていきたいですね。

この1年、自分のキャリアも含めどうなるか非常に楽しみです。

#はたらくってなんだろう

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