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小学校プログラミング教育の5つの留意点の提案 ~小学校プログラミング教育の授業を参観、参与観察して感じたことから~ 1/2

 少し前の話になるが、振り返ってみたいと思う。
 大学院在籍時(2018-2019)に、愛知県内の各市の小学校プログラミング教育推進校へ出掛け、授業を参観したり、参与観察したりした。対象は、小学3~6年であった。

 その時の経験を振り返って、再度価値付けし、小学校のプログラミング教育が必修化された現在において、5つの留意点を提案できればと思う。今回は2点を取り上げる。

(1) 順次・反復・分岐の3要素の扱いについて
 洗濯機、信号機、自動販売機を例に挙げ、それぞれ「順次(順序)」「反復」「分岐」の3要素を説明する場面があった。
 実際のものを取り上げて、一つ一つの動作を児童に問い掛けながら、プログラムの動きを確認していた。
 ここでは、3要素の名称を覚えることよりも「どのようなプログラムの動きで、コンピュータがそれを行うことで、どのようなメリットがあるか」を意識させることができていた。人間の動きとコンピュータの動きを比較しながら伝えていたのが大切である。具体的には以下の通りである。
 順次・・・人間のように、途中で休憩したり、余計なことをしたりせず、順番に間違えなく事をこなす。
 繰り返し・・・人間のように疲れを感じることなく、繰り返してくれる。
 分岐・・・条件によって、その条件(状況)に合う最適な行動をすぐにしてくれる。
 
 コンピュータでプログラミングすることによって、どのようなメリットがあるのかを意識させることで、理想の動きを導くための手段として活用されることだろう。プログラミングのメリットを考えずに、やみくもにプログラムを組むことだけに喜びを感じるようでは、プログラミング自体が目的になる。探究な活動か作業に留まるかの分岐点になることだろう。

(2) プログラミングは児童の表現ツール
 プログラミングは、児童の表現ツールの一つだと思っている。表現ツールに高めるためには、「~のようなことがしたい」「~をつくってみたい」など、児童に理想の動きを具体的にイメージさせることで、高い意欲をもった目的をもつことが大切だ。

 参観した授業では、プログラミングに取り組む前に、「どのようなくらしを便利にする道具が作りたいか」という課題を提示し、ワークシートにイメージ図をかいたり、言葉で説明を補ったりすることで、明確な理想像をもつことができていた。児童は、「声を掛けたら、自分の所に来る椅子」「書く字を間違えたら、自動的に消す消しゴム」などをワークシートにまとめていた。

 一人一人の児童が、具体的に理想の動きをイメージできることで、高い目的意識につながった。その上で、ビジュアルプログラミングソフトであるScratchを紹介することで、「Scratchが、その動きを再現するために役に立ちそうだ」という意識につなげることができた。また、Scratchでプログラミングを進めていく中で、常にワークシートにかかれた理想像(課題)に立ち戻る姿が見られたのも印象的だった。

 プログラミングすること自体を目的にしないためにも、課題のもち方には、十分に検討していきたいところである。今回、紹介した手法は、目的意識を持たせる1つとして参考にしたいところだ。

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