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サザンクロス ラプソディー

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1986年から1993年までの、オーストラリアのシドニーを舞台にした一人の日本人の物語
運営しているクリエイター

記事一覧

『サザンクロス ラプソディー』vol 1

ドリンクセットをテーブル席まで運んで並べようとした瞬間に、尻にペローンと誰かがさわってい…

鯱寿典
2年前
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『サザンクロス ラプソディー』 vol 2

ある日、俺とタカが仕事を終えて帰ろうとすると、店の入っているビルの1階の入口で、ニュージ…

鯱寿典
2年前
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『サザンクロス ラプソディー』 vol 3

ミサが話があるというので、ふたりでボンダイビーチの砂浜を横切って、彼女の住んでいるフラッ…

鯱寿典
2年前
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『サザンクロス ラプソディー』vol 4

ある日の夜、店のなかは、ある一団の来店で異様な雰囲気に包まれていた。 地元のその筋のボス…

鯱寿典
2年前
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『サザンクロス ラプソディー』 vol 5

レイラは、イブがニュージーランドにいた頃の大親友だ。 彼女は24歳、俺と同い年。 今は、メル…

鯱寿典
2年前
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『サザンクロス ラプソディー』 vol 6

ミサに頼まれていた、外国人の友だちを紹介してくれという要望に答えて、マックスと言うオース…

鯱寿典
2年前
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『サザンクロス ラプソディー』 vol 7

夜11時過ぎにイブはブッシュウォーキングから帰ってきた。 「あーっ、楽しかった」 悪びれる様子もなく、いつもの穏やかな笑顔だ。 「ヤマは、この二日間なにやってたの?」 「俺?えーっと、ランチを花時計で食べて、漫画読んで時間潰して、それから家に帰って昼寝して、夕方に起きて、チャイナタウンの中華料理店で食事して、映画を観に行って、帰ってきて、ビール飲んでたらいつの間にか眠っていた」 会話をぶつ切りにしながら子供かっ!内心、苦笑しながらそう答えた。 「昨日も、今日も?」

『サザンクロス ラプソディー』 vol 8

「ヤマ。じゃあ、わたしたち出かけるから」 「ああ、楽しんでね」 今日もイブとキャシーのふ…

鯱寿典
2年前
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『サザンクロス ラプソディー』vol 9

今日はクラブのマスターとママのお引っ越しに、俺とタカ、それからホステスのエミリーとジャネ…

鯱寿典
2年前
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『サザンクロス ラプソディー』vol 10

オーナーのユキさんが料理長をやり始めたことに伴い、それまでいたオーストラリア人の料理人た…

鯱寿典
2年前
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『サザンクロス ラプソディー』vol 11

イブと別れてから1ヶ月が過ぎていた。 俺は相変わらずユキさんの店で仕事を続けている。 い…

鯱寿典
2年前
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『サザンクロス ラプソディー 』vol 12

俺がいつもの小カジノのスロットマシンで遊んでいると、マイがやって来た。 「ヤマさん。相談…

鯱寿典
2年前
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『サザンクロス ラプソディー』vol.13

サーフィンをするサンタクロースが、例年話題になるこの時期、俺の勤めている店は12月25日から…

鯱寿典
2年前
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『サザンクロス ラプソディー』vol.14

新年はひとり寂しく部屋で迎えた。 昨年とは大違いだ。 半分開かれた窓から通りを行き交う人々の笑い声、話し声が聞こえてくる。 濃い目のコーヒーを味わいながら色々なことに思いを巡らせる。 さすがに新年早々ひとりで酔っぱらう気にはなれない。そして、俺はいつの間にか深い眠りに落ちていた。 昼過ぎに花時計にいくと、キヨさんとユイちゃんが笑顔で迎えてくれた。 ふたりともすっかり仲直りしたみたいで、これでひと安心だ。 「これ、ミクちゃんがヤマさんが来たら渡してくれって」 そういってキ