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【直樹の日常.29U】過敏性腸症候群

先週、作業所からダイアモンドアートを渡される。
「4日じゃ絶対無理ですから、無理しないでくださいね」

しかし、無理をしてしまう。
一日中ダイアモンドアートに取り組んで4日目で
そろそろ見るのも嫌になってくる。
124列×87行で10788個ものダイアモンドを置いたことになる。
やっている途中、2日目くらいは楽しくて
一日中取り組んでも苦には感じないが
3日目に首や肩甲骨周りが凝り始め
4日目には限界を感じた。

中庸という言葉があるが、
人生も後半にさしかかるものの
未だに根を詰める癖が抜けず、ほどほどがわからない。
4日では無理と言われれば、
挑戦してみたくなるのだ。

直樹の人生にも同じことが言える。
常に真面目で、物事を正面で受け止める性質は
なぜと思うほどもろい。
新卒で入った会社を、おなかが痛いという理由で辞めた。
忘れもしない4月17日に、
東京から逃げるように実家に帰った。
しかも誰にも言わずに。
当然会社から電話がかかってくる。
出られない。
まさか、何ていうのだ。

過敏性腸症候群というお腹の不具合があり、
当時の直樹はその症状が出たと思われる。
研修期間で過度な緊張を抱えるという心理的負担と
ベルトがきつい服装をしていると症状が表れやすいという
身体的負担があった。
80名いた同期の新入社員が2つの部屋に集められ、
講義を受けていたのだが、
運悪く前列に座らされたのも一つの要因だ。
前の席は常に見られているという不安がある。
そうすると、次第にお腹がグルグルと言いだす。
そしてそれを皆の前で音が鳴ってしまう恐怖に
余計緊張感が増す。
そうなるとデフレスパイラルのような悪循環で
いやがうえにも自律神経を刺激してしまう。
トイレに行ってガスを出すも、
部屋に帰ると出たはずのガスがまたグルグル言っている。
講義中、しかもそれが業務中であれば、
たびたびトイレに逃げることもできない。
決定的だったのが、それを我慢した結果
おならにも似た音がでた経験があるということだ。

それは受験生の時で、予備校の自習室でのこと。
受験のストレス、座席が前という状況が似ているのだが、
多くの受験生の前にやってしまったことで
「マジで」という声が聞こえてきた。
その瞬間、筆記用具をまとめて慌てて部屋を出た。
幸い知り合いと呼べる人は誰もおらず、
バカにされることもなかったが
思春期の直樹にとっては大きな事件だった。
今でこそ、この症状は世間に認知され
ガスピタンのような内服まで発売されているが
当時は逃げる以外にどうして良いかわからなかった。
逃げられない状況がそれから5年後の新入社員の時に来た。
そして今の作業所でも、それがきはじめてる。

多くのストレスは、やはり自分が作り出している。
もっと余裕のある生活ができれば、
そんなことは起きないし、
今はそんな切迫した状況ではない。
自分の愚行を、ダイアモンドアートを通じて
改めて思い出した次第だ。
とりあえず明日はガスピタンを買っておこう。

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