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現実はすれちがいに乗ってやってくるー岩井俊二監督『四月物語』を観てみた

youtube観てたら、レコメンドされました。

【限定公開】四月物語

そしてサムネイルには松たか子。動画の再生時間表記は1時間7分39秒。
どうも、あの四月物語の全編公開で間違いなさそう。

ということで全ての作業を中止して、速攻観ましたよ。
『四月物語』(1998年)。

いやあ、よかった。ほっこり幸せな気持ちになれました。

最初から最後まで、ちょっとしたすれちがいだけにフォーカス。
たとえば、
引越業者の作業を手伝おうとするも拒否られたり、
荷が部屋に入りきらなかったり、
入学式後、クラスで自己紹介が行われているとき、ひたすら合わないコンタクトレンズに苦労している人をアップにしてみたり。

一時間、こんなちょっとしたすれちがいだらけです。

そしてすれちがいによって、ちょっとした新しい世界が開けます。
まったく興味をもってなかったサークルに入ったり、隣人と食事する関係になったり。

また、こんなこともあります。
傘を貸してくれるという先輩の申し出を断ったあと土砂降りになる。雨宿りしていたら、見知らぬ人が傘を貸してくれるという。これを借りて、先輩のところにもどって先輩から傘を借り、見知らぬ人に傘を返す。

すれちがいながらも何とかやりくりする。
まさに人生だなあと思いました。

私たちはふだん現実ではなく、シミュレーションを認知しているのだと思います。シミュレーションは習慣とか統計から生まれるので、シミュレーションをみている間は、新しい出会いは起こりません。でもシミュレーションにエラーが起きる(すれちがいが起きる)と習慣や統計とは異なる現実に出会うことができます。
錯視がいい例です。↓

シミュレーションどおりの現実がやってこなかったとき、錯視が起きます。

だから、すれちがいとは現実と出会うための奇跡なんだと思います。
『四月物語』はそんな奇跡(現実)と出会いつづける映画だと思いました。

無料公開は2023年4月30日まで。

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