【北欧旅行記6】バテバテな再会
【北欧旅行記6】
もしあなたが甘え下手なら、北欧へ行ってみるのはどうだろう?
後日わかったことだが、
コペンハーゲンの空港からオーフスまで
電車で行くことは難しくないらしい。
英語が苦手でも、デンマーク語が読めなくても、
簡単に行けるのだそうだ。
それなのに、デンマーク国内線のカウンターのお姉さんには、
「あなたたちを無事にオーフスまで送り届けるから、安心しなさい」
「電車で行くのは、あななたちには難しいから、キャンセルを待ちなさい」
と諭すように言われた。
もしかすると、本気で「子供」だと思われていたのかもしれない。
北欧の人たちは、英語が堪能だ。そして、背が高い。
女性でも平均身長は170cmを超えるそうだ。
私とユカちゃんは155cm前後、
3人の中で一番背が高いシーさんでも160cmくらいだった。
北欧の人からすると、
習い始めの子供レベルの英語で、背が低くアジア顔の私たちは、
中学生くらいだと思われた可能性が高い。
「この子たちを無事にオーフスまで行かせてやらなきゃ」
そんな心遣いだったのかもしれない。
そう考えると、
しきりに私たちに「どこかに電話するか?」と聞いてきたのもうなずける。
ひとまず、カウンターのお姉さんの言う通り、
21:10をキャンセル待ちし、23:30を予約するものの、
もし21:10に乗れなければ、どうやって宿を手配しようか。
キャンセル待ちは1人なら乗れる可能性は高いかもしれないが、
3人揃って乗れる可能性は低いだろうという予想もあった。
まだスマホも普及していない頃。
とにかく、日本語で現状を相談したかった。
「国際線ターミナルに戻れば、日本人スタッフがいるんじゃない?」
時間はたっぷりある。
一度、国際線ターミナルに戻ってインフォメーションを訪ねよう。
3人揃って国際線ターミナルに戻った。
総合インフォメーションで、Japanese speakerをお願いしてみる。
すると、40~50代くらいの日本人男性が怪訝な顔をして現れた。
国内線に乗り遅れたこと、
オーフスに行きたいこと、
21:10をキャンセル待ちし、23:30を予約したこと、
21:10に乗れないと、オーフスで宿を探さなければならないこと、
を話した。
まったく……
そんな声が聞こえそうな表情だったが、
その日本人男性は、今の選択が良いだろうこと、
オーフスで宿は探せるだろうと言うことを簡単に答えただけで、
そのあとはとにかく
「スリが多いから気をつけろ」「置き引きにも気をつけろ」
と言うことをまるでお説教かのように私たちに長々と話した。
実りがあったようななかったような、
なんとなく怒られたような気持ちになった3人は、
不安をぬぐいきれないまま、国際線ターミナルで軽い食事をすませて、
国内線ターミナルへ戻った。
21時前。
キャンセル待ちに3人揃って乗れることがわかった。
カウンターのお姉さんはニコニコしている。
「ほらね、大丈夫でしょう」とでもいわんばかりの見守りようだ。
ユタカさんに、
21:10の飛行機でオーフスに行けるようになったことを電話する。
オーフスの空港についてからは、
タクシーでユタカさんの待つ学校へ向かう。
真っ暗な道を走るタクシー。
ナビ通りに走っているのは分かるものの、
このまま別のところに連れて行かれたらとか、
ぼったくられたら、どいう不安で疲れているのに眠れない。
ユタカさんの待つ学校に着いたのは、23:30頃だった。
遅くまで待つのは厳しいと言いながら、待っていてくれたユタカさんに
「ありがとうございます」と伝えたものの、
眠いし、疲れているし、3人ともかなりひどい顔をしての再会だった。
それもそのはず。日本時間では朝の5時だ。
愛想のない私たちに嫌な顔をせず、ユタカさんは宿舎に案内してくれた。
「とにかく詳しいことは明日」
と、自由に飲めるコーヒーの場所だけ教えてくれた。
ユタカさんは、私たちを宿舎に届けたあと、
車で1時間ほどかけて自宅に帰らなくてはならない。
帰宅時間は、きっと午前1時を過ぎるだろう。
「明日も8時には出てくるから」
と言っていた。
ということは、7時前には家を出なくてはならないのか。
気の毒なことしちゃったな、と思いつつ
私たちもとにかく早く体を横にしたかった。
まさか、初日にコペンハーゲンの空港でつまづくとは。
そして旅行初日に、すでに3人ともバテバテである。
3人とも体力に自信が無い。
先が思いやられる。
書いてみたこと、発信してみたこと、 それが少しでもどこかで誰かの「なにか」になるならばありがたい限りです。