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学校の成績を伸ばす秘訣は予習より徹底的な復習にあり

『ドラえもん』で、のび太がよくお母さんに「のび太、勉強しなさい」と叱られるシーンを見かける。私はかねがね、テストであんな悲惨な点を取っているのび太は勉強の仕方すらわかっていないのだから、お母さんは勉強の仕方から彼に教えるべきだと思っていた。勉強の仕方とは何か。その極意を私は高校と予備校で、偶然にも非常に似た風貌を備えた2人の教師から掴むことができた。今回はその極意についてお話ししたい。 

まずは、高校時代の数学教師 。彼の名前は唐松昭人からまつあきひと。白髪で痩せ型、授業中はいつも白衣を着ていた。その風貌はまさに仮面ライダーの死神博士かBack to the Future のDocといったところ。左手をいつも白衣のポケットに入れていた。そのユニークな風貌もさることながら、授業の進め方にも驚かされた。彼の板書の文字は非常に小さく、教室の真ん中より後ろに座っている生徒は双眼鏡で黒板を見ていたほどだ。また、式の変型が無茶苦茶速く、容易についていけない。さらに我々を苦しめたのは、 右手で書きながらその上の行を左手で消すという意味不明のスタイル。必死にノートをとる生徒もいたが、私は早々に諦めた。私は手を動かすのをやめ、話を聞くことに集中した。そして、授業の内容を忘れてしまうことへの恐怖から、家に帰るとすぐに復習した。コピーのない時代、頭に入っていることをその日のうちに書き出さないと翌日には消えてしまうからだ。この勉強の方法が功を奏したのか、おかげで彼が担当した確率は今でも結構得意な単元である。

そして、予備校時代の物理の教師。彼の名前は坂間勇さかまいさむ。私は偶然にも高校時代の恩師と全く同じ風貌の教師に出会った。彼の風貌も仮面ライダーの死神博士かBack to the Future のDoc。爆発後のような白髪で白衣を着ていた。彼は私たちの世代では有名なカリスマ講師だった。彼は授業が始まると走って教室に現れ、問題番号を大きく書き、解説を始める。授業中に生徒がノートを取ることを許さなかった。 彼の口癖は「あ〜たたち、授業では聞くことに集中して、家に帰ったら授業での記憶を元に、授業内容をノートに再現しなさい」だった。板書を写しているだけの脳はあまり働いていないという理由からだ。微分積分を駆使した彼の美しい授業をいかにノートに再現するか、記憶をたよりに試行錯誤した日々を懐かしく思う。

「勉強しなさい」 同様、「集中しなさい」という言葉も一度はご両親に言われた言葉ではないだろうか。この言葉、「気合いだ」になんとなく似ていると思う。しかし、これらはしようと思ってもできるものではない。私の場合、家でこの二人の授業内容をノートに再現したいという一心で授業に臨んでいた。先生の一言一言を聞き漏らすまいと集中していた、気合いが入っていた。彼らが教えようとしたことは、五感全てを使ってその日の授業を思い出し、それをノートに再現することが成績を上げるカギになるということだった。脳の底から引き出された記憶を、その記憶が新鮮なうちにノートの上に可視化できる形で再現する。この脳情報の可視化は授業の内容をきちんと理解していなければ行えない。つまり、この再現こそが究極の復習であり、効率よく成績を上げるための勉強の極意なのだ。あれからすでに30年以上たった今も彼らの授業は私の記憶に鮮明に残っている。彼らの影響か、私の板書はまるで落書き。私の数学の授業で取り扱う問題は1日にたった2問しかない。ぜひ五感で感じて、家で授業をノートに再現してみてください。きっと成績が伸びるはずです。

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