023_20230223_ルワンダ中央銀行総裁日記(増補版)

前置き

  • 今回、マンガではないんです

    • 活字の本です

    • まあ、先週ゲームを紹介しましたし、多少はね

  • では、なんでこんな「マンガMeets俺達」で紹介することにしたのか

    • これ「おっちゃんが外国行って体験した実話」なのに、内容が「これラノベやろ」みたいな感じなんですよ!

    • なので、これ「主人公を美形にして異世界転生した後を舞台にしてマンガ・アニメ化してもそのままいける」し、人気出るやろなーと思って

    • そういう思考実験を、視聴者も合わせみんなで話してもおもしろいなーと思って、今日はご紹介しようと思います

作品情報

  • ルワンダ中央銀行総裁日記(増補版) は

  • 「服部正也(はっとりまさや)」さんによる「ビジネス歴史書」とでもいったらいいのか、そんな活字の本です(マンガではないので実用書です)

  • 中公新書より出ている、ノベルサイズの実用書です

  • 1972年に第一版刊行、2009年に「増補版」として刊行、2010年に「増補版再版」として刊行

  • 服部正也氏は、1918年(大正7年)生まれ、1965年(47歳)の時にこの本の舞台ルワンダに行き、1972年(54歳)の時にこの本が出版され、1999年(81歳)で亡くなられています

  • Amazonから、紙の本・Kindleともに1000円程度(紙の本は56円高い)で変えます

  • 2020〜21年ごろに「謎の大ブレイク」を遂げて重版されています

導入

予備知識としてのルワンダ

  • 物語りのあらすじの前に、「ルワンダ」についてざっくり言うと

    • 「ルワンダ共和国」は、東アフリカにある共和制国家で、西はコンゴ、北はウガンダ、南はブルンジというように、四方を他国に囲まれた内陸の国

      • 面積は、東京都よりは大きく、神奈川県、佐賀県強程度で、アフリカに在っては小さい国

    • ずっと欧州列強の植民地として虐げられてきた

      • 1889〜1922まではドイツ

      • 1922〜1962まではベルギー

    • 1962からは独立!するものの…

      • 内陸で輸出入も難しいし、農業・工業も乏しい

      • ましてや、農業・工業ともに元宗主国のベルギーや外国人にすべて牛耳られ、前途多難だった

        • さらに言えば、植民地時代のベルギーの「(ツチ族・フツ族と言われる)民族間の対立や差別助長政策」による、独立心の牙を抜く政策のせいで、不必要な禍根を残し、後の悲劇につながるので、ベルギーがクソなんですけど…

    • そんなボロボロの状態から「独自の政策と努力」により、その経済成長は「アフリカの奇跡」「アフリカの優等生」と国際社会から名声を受けている国

    • と、言う輝かしい側面と裏腹に「20世紀の三大虐殺(ジェノサイド)」に数えられる「1994年 ルワンダ虐殺」という、現在に置いても「一番新しいジェノサイド」なんていう不名誉でも有名な国である

    • 先程言った、驚異的な経済成長である「アフリカの奇跡」「アフリカの優等生」は、ルワンダ虐殺を隔てて、二回起きている

      • 1つ目は、独立後 1970年代の高度経済成長

      • 2つ目は、ルワンダ虐殺後の2010年代のICT立国としての大成長

    • この本の舞台は、ルワンダ大虐殺の前、1つ目の高度経済成長の少し前、1966年のお話

      • 実はこの「アフリカの奇跡」は「ほぼたった一人の日本人の立案によって成し遂げられたモノんだよ」というお話

本のあらすじ

  • 主人公の服部正也は、日本銀行で外国局渉外課長などを歴任する銀行家

  • この、後に「日本人初の世界銀行副総裁」となる銀行家は、物語の当初1964年、46歳

  • 国際通貨基金(今ならIMFのほうが通りがいいでしょうか)から「ルワンダの中央銀行総裁にならないか」という話しをもちかけられる

    • 外国人技術援助員として腕を奮ってほしいと

  • 聞けば「貧乏な国」で「未開の地」で、生活環境も劣悪な途上国で、さらに言えば外国人が特権階級としてのさばり、搾取されまくっている、そんな頼りない国らしい

  • 行ってみて「なるほど」となる

    • 空港は滑走路を出れば、税関は掘っ立て小屋と砂埃の地べた

    • 首都にはモノが無い、高いというより無い

    • おえらいさんは総裁・政治家にあっても、元宗主国のベルギー人、並びに外国人の言いなり

    • ルワンダ人運転手(中央銀行福総裁の甥っ子)は、仕事しない上に、ガソリン代を大胆にちょろまかす

    • ルワンダ人使用人は仕事をしない

    • 中央銀行には札がない、造幣局が擦ってない

    • 中央銀行の前の総裁は無責任、

    • 援助の外国人技術員たちも「自分たちがいかに良い生活をするか」という利己心にしか関心がない

    • 非常用のコーヒー基金は使い込んでいる

    • 支出は歳入を上回っており、国際敵な援助金をアテにしており、お変わりしまくってる

    • 農業・産業は、流通やオーナーシップを外国人に乗っ取られ、ルワンダ国民はエエように搾取されている

    • 外国人に有利な仕組みのオンパレード

  • まずは中央銀行の総裁として仕事してみる

    • 銀行内部の規律と秩序と仕事のやりかたの教育

    • 市中銀行(民間銀行、ほぼ外国人勢力の銀行)の力関係の解らせ

    • テキトーな過去の仕事に対する、帳簿レベルでの実務

    • などなどして、積極的にルワンダ人とかかわり、次第にルワンダ人の信頼を得ていく

  • そんなある日、独立後初の大統領であるカイバンダ大統領に呼び出される

    • 聞けば「通貨の問題は、自国の大臣に聞いても、外国人顧問に聞いても、納得行く答えが来ない。直接服部さんから話を聞きたい」と

    • 「そりゃ周りが悪い、通貨の問題も、重税もルワンダ人を苦しめる方向でしかない、外部からそそのかされてるのでしょう」と

    • 「服部さん、ルワンダの税がおもすぎると言った外国人、総裁は初めてだ、どうしたらいいかおしえてほしい」

    • 「大統領が政治的にどうしたいか、まずそこからです。それがあれば、それに添えるよう、総裁の立場から改革を行います」(意訳)

    • 「通貨改革も外貨切り下げも、総裁一人で計画してやってほしい」

    • と、語時間ほどの会談で絶大な信頼と権限を得る

  • その頃、ルワンダの通貨と経済にはいくつかの課題があった

    • 一つは、不平等な復数為替相場

      • ちょっと理解が足りないが、外国には1ルワンダフランは10米ドル、国内には12米ドルで両替される、とかそんな感じだと思う

      • 大統領曰くこれを一本化に是正したい

    • もう一つは、外部からの「平価切り下げ」

      • 公邸為替相場を1ルワンダフランを12ドルから、10ドルにバチンと国の権威というか中央銀行の権限で下げる、みたいな話

      • それをIMFや国際社会から「いつやんねん」って急かされてる

    • この2つを「通貨改革」という名目でやるのだが、普通にやると経済が大打撃なので、よほど作戦がいる

  • それには「ルワンダ人が儲ける」「ルワンダ人がぶつぶつ交換じゃなくて貨幣経済で儲ける」ことが必要なのだが…

    • 外国人もルワンダ人本人も「ルワンダ人は不まじめで自立心がない」という悪評ばかりを言う

    • しかし、服部さんがルワンダ人と根気良く付き合い、分析した結果、その人々の言う「ルワンダ人は不まじめで自立心がない」というのは、「構造的問題」や「向いてないことをさせられている」ことが原因であり、本来の気質は違うのではないか?ということにたどり着く

    • 本来、ルワンダ人は農耕に関しては勤勉で真面目で粘り腰である

      • 物資のたり無さと搾取により、実力が発揮できてないだけなのでは?という仮説

  • ここから「中央銀行総裁としての通貨改革」にとどまらない、大改善を画策し始める

    • 外国人の息のかかってない民間銀行の設立

    • コーヒー改革・正常化

    • 農業改革

    • 流通・倉庫をルワンダ人に取り戻す

    • 鉱山経営者の利便と税収確保

    • 二トントラックをルワンダ人が買えるように

    • バス公社立て直し

  • 当初1年間だけ、となってた在任期間は6年にも及び、そこで成し遂げられた「奇跡の成長物語」はどんな結末になるのか?

観想

  • 年始にこのツイートを観て買ってみたんですが

  • ふっつーにビジネス書・実用書としても勉強なるし、なにより「小説」「物語」として、読んでてめっちゃくちゃおもろい

    • この勉強嫌い・活字アレルギーのみうらが言うのだから、それが実証になると思います

    • 大虐殺の前後の話しも、著者自体から観た今は遠きルワンダの見え方の説明が追加されてる

    • さらに、巻末に大西義久さんという服部さんと同じく銀行家である方の目線から、この本全体の歴史や取り巻く事実の総括、著者服部さんがなくなってからのルワンダの話が書かれている

  • 年齢変えて容姿変えて、死なずに異世界転移したことにして、神様に「この国を立て直したら帰れるようにしてやる」「試練を乗り越える度に、元の世界から追加人員を召喚できるようにしてやる」かなんかなんか設定盛れば、それ以外なんの添加物を入れなくても「異世界転生チートモノ」として成り立つくらいのドラマなんですよ

  • そういう目で観た場合、実話やのに実話やとは思えない「圧倒的な知識や見識」と「社会正義と人々への慈しみを持った」人格すぎて、「先行文明から来たチート級主人公」なんすよ

    • おっさんで在ることを除けば

    • 「超人高校生たちは異世界でも余裕で…」なんちゃらなんか目じゃないくらい、そんな「飛び道具的なギミック使わなくても、現実世界にある”知識”という武器だけで改革を成し遂げる」というよっぽどロマンある話だと思いました

  • と「これラノベやん!」「異世界転生モノにしたら行けるやん!」って思ったので、今回読了した2月に取り上げたのですが…

    • その後「これ異世界転生モノやろ」っていうツイートがまたバズったらしくって、何番せんじやねんっぽくなったのが悔しいですw

まとめ

  • 異世界転生チートモノのラノベが好きな人には是非オススメ

    • できれば、主人公の人格を「イケメンメガネの無尽蔵な知識を持った青年」などに置き換えて読んで見る、みたいな思考実験をしながら読んでいただければより楽しいと思います

  • 他方、ルワンダに興味が湧いた人は、ぜひその歴史を紐解いてもらったら、知的好奇心が満たされると思いますので、そちらもおすすめです


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