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ドキュメンタリー映像の作り方〜情熱大陸から学ぶ

僕は本業でドキュメンタリー映像を作る27歳。
映像の仕事と関わり始めて約3年ほどで、まだまだ未熟だ。
ドキュメンタリー映像を作るには撮影技術はもちろんのこと、構成力やナレーションの文章力など様々なスキルが必要になる。
少しずつ成長するために、年始から一流のドキュメンタリー映像を視聴して研究し自分のスキルにしていく取り組みを始めた。

今回は視聴するのは「情熱大陸vol.1214、海洋生物写真家・峯水亮さん」の回だ。

画像引用元: https://www.mbs.jp/jounetsu/2022/08_21.shtml

峯水さんについて
峯水さんは主に成魚になる前のプランクトンの状態の魚の稚魚を専門に撮影する写真家。数々の賞を受賞するこの分野の第一人者。

峯水さんが撮影したプランクトン
画像引用元: https://fineprint.photo/ja/artists/ryo-minemizu/

この番組の視聴者はドキュメンタリーの主役に関する知識をほとんど持たずに視聴する人がほとんどだ。そのため番組冒頭で「この人のドキュメンタリーをもっと見たい!」と思ってもらう必要がある。ここがつまらないと視聴者が一気に離脱する。情熱大陸ではアバンと呼ばれる視聴者への興味喚起を担う番組冒頭から葉加瀬太郎のテーマ曲が流れるまでの約4分30秒がかなり作り込まれている。今回はアバンにて学びがいくつかあったので、まとめていこうと思う。


■学び1
【見慣れていない美しい映像は人を惹き付ける】
今回のアバンでは峯水さんが撮影したプランクトンの写真や映像が「これでもか」というほど、ふんだんに使用されていた。
おそらくほとんどの人が魚たちの稚魚がこれほどまでに美しいとは思ってもいなかったので、目を釘付けにされただろうと感じた。
いつもの情熱大陸では取材対象の「すごい人」が努力、苦労をしている一面を見せることで親近感を持たせ視聴者との距離を近づけて共感してもらうという型が多いが、今回は圧倒的な映像美で惹きつけていた。
とはいえインスタグラムなどで目にすることができる美しい風景やモノなどはこれには当てはまらない。「美しい」かつ「見慣れていない」ことが重要だ。

■学び2
【ナレーションをセリフにする】
プランクトンの中に、体の前後が不明なプランクトンがいた。どうやらプランクトンは自分で泳ぐことができないため、体の向きはどちらでも良いらしい。
この説明をナレーションでするのだが、下記の文章が印象的だった。
「泳げない彼らにとってはどうでもいいのだ。
体の向きが前か後ろかなんて」

もし自分がこの箇所を説明するとしたら、「プランクトンの中には体の前後の向きが不明な個体も存在する。なぜなら彼らは自ら泳ぐことができず流されるだけだから」などと普通に説明していただろう。

しかし、「どうでもいいのだ」と、まるでプランクトンが話しているかのようなナレーションにすることで、小さな体で一所懸命に生きるプランクトンがすごく尊く可愛らしく感じることができる。

生き物について描写する際はこのようにセリフ化することができる気づきがあった。

■学び3
【例えを用いて映像をよりよく見せる】
峯水さんが真っ暗の夜の海にダイブして、プランクトンを撮影しに行くシーンがあった。その際、プランクトンを照らして見つけやすくかつ、撮影しやすくするために、水中に大光量の証明を8つほど海底に配置する。
すると証明に照らされた海は真っ黒から水色に輝く。
このシーンをナレーションでは、SF映画さながらの光景というふうに例えを用いて説明していた。

このSF映画という例えが、海の神秘さと美しさを盛り上げていた。ただ見て美しいと感じるだけでなく、ナレーションによる工夫によってさらに魅力的に感じさせる工夫が圧巻だった。

今回は3つの学びがあった。これらの学びをこれから自分の映像にも取り入れていこう。

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