きっとあいつは人生失敗しているよね論

私が小学生の時にいじめられている女の子がいました。
メガネをかけていたので、「メガネ!」「メガネ!」と言われて、時には「メガネざる!」と言われていました。
いじめられている女の子、というキーワードからは想像しにくい気の強い女の子で、そうやっていじめてくる男子も平気で殴っていました。
ただし、殴る加減がわからなかったらしく、よく先生に呼び出されて話し合いをしていました。
のちにわかったことですが、その子は精神障害があって、他人に怒鳴り散らすのも殴るのもそれらの要因があったようでした。

とにかくその子は小学校6年間の間「除け者」にされ続けました。
私も完璧人間ではないので、その子を除け者にしたことがあります。
異質なその子は私たちのコミュニティにとっていてはならない子だったのです。

その子とは中学校も同じでした。ですが、その子は毎日保健室登校だったので、中学時代私はほとんど会っていません。

その子とは高校も一緒でした。
さすがに高校生にもなるといじめもバカバカしくてやりませんが、やはり異質なその子はクラスから除け者にされる傾向がありました。
結局、その子は高校を辞めました。

成人してから、同窓会のようなものに参加すると時々その子の話になります。
「そういえばさー」と男子も女子も、(いや、この歳になったのだからおっさんとおばさんか)話し始めます。
「あいつなにやってんだろうねー」「キモかったよね」という話になります。
「あんなんじゃ社会常識がないからやっていけないでしょー」という話になります。
私は自分も心療内科に通っている身なので、そういう話題には参加しないようにします。
「まだ保健室登校してるんじゃないのー」なんて笑ってる人もいます。

さて、実は私は成人してから、その子と会うことがありました。
そして驚くべき事実を知ります。
その子は高校を辞めた後フリースクールに通い高卒認定をもらい、東京の大学に通います。
大学卒業後自分の気質では就職は無理だと思い起業をして社員を10人ほど雇って会社経営をしていました。
しばらく経営をしていましたが、会社をたたみ、今度は建築設計の勉強をして海外に移住してリモートワークで建築の仕事をし始めるのです。
彼女が携わった仕事にはみんなが知っているあの施設やこの施設がたくさんありました。
もともと勉強ができる子だったので、全て納得なのですが、私は彼女が自分の特性を理解し、自分にあった働き方を模索している姿に何度も励まされました。
「大人になっても友達できねぇー」なんて言ってますが、なんかそんなことを冗談で言っている彼女が面白いです。

前述したように私だって完璧人間ではありません。ですから、いじめに加担したことだってあります。
ですが、「あいつは俺達のコミュニティに入れなかったんだから、きっと大人になってもつまらない人生を送ってるぜ」なんていつまでも考えている人にはわからない素敵な人生がある。私は彼女からそれを学びました。

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