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揺れる電車と枕になった俺(実話とフィクション)

ある日、俺は電車に乗った。その日は疲れていたし、電車はゆれるし、とにかく席に座りたかったんだ。でも、座る場所がないことに気づいた。
俺は落ち込んだけど、あきらめない性格だから、とりあえずドア付近で立ってることにした。
すると、ある駅で何人かの人が降りたんだ。そのタイミングで、奇跡的に座席が空いた。
俺は全速力で空いた席に滑り込んだ。

その席は真ん中あたりで、俺の左右には、見るからに疲れ切っている二人の女性がいた。
左の女性は、30代後半くらいの、ムチムチしている熟女。俺の好みのタイプだ。右の女性は、若くて可愛い顔をした20代前半の子だった。
どちらも疲れている様子だったけど、電車の中では我慢して、目を閉じているだけだった。

しばらくすると、電車が揺れ始めた。その揺れに合わせて、左の熟女が俺の肩に頭を乗せてきた。「おお?!」と俺は心の中で叫んだ。でも、まだ何も言えず、ただ状況を見ていた。

すると、次の瞬間、右の若い女性も俺のもう片方の肩に頭を乗せてきた。
俺は信じられない状況に戸惑いつつも、どちらかと言うと、嬉しかった。
俺の両肩は、この二人の女性の枕になっていた。疲れている彼女たちを支える俺の肩。まるで、電車の中で演じられる二重奏のようだった。

そんな時俺はクールに振る舞いたかったんだけど、心臓はドキドキしていた。ふと、横を見ると、左の熟女が俺に小声で話しかけてきた。

熟女「す、すみません。ちょっと疲れちゃって……肩、貸してもらってもいいですか?」

俺(緊張しながら)「あ、うん。大丈夫だよ。どうぞ、どうぞ。」

熟女はにっこり笑って、再び俺の肩に頭を乗せた。その後、右の若い女性も同じように話しかけてきた。

若い女性「あの、私も疲れてしまって、すごく申し訳ないんですけど、もしよかったら、肩をお借りしてもいいですか?」

俺(うろたえつつ)「え、ええ、もちろん!大丈夫だよ」

彼女たちが俺の肩に頼りながら、微睡んでいる姿を見ていると、なんだか幸せな気分になってきた。俺は、自分がこんな状況で役に立っていることが嬉しかったんだ。

しばらくして、電車は次の駅に到着した。
その瞬間、熟女と若い女性は同時に目を覚まし、俺の肩から顔を上げた。

熟女「あ、すいません。こんなところで寝ちゃって」

若い女性「私も、すみません。気持ち良すぎてつい」

俺(笑顔で)「大丈夫だよ。疲れてるんだもんね。気にしないでね」

そんなやり取りを交わしながら、彼女たちはお礼を言って、電車を降りていった。
俺は、何だか少し寂しい気持ちになったけど、とても良い思い出ができたと思った。

後で、あきちゃんにその話をしたら、彼女は不思議そうな顔をして言った。

あきちゃん「なんか、お前にはそういう変な魅力があるんだろうね。」

俺「え?何が?」

あきちゃん「何でか分からないけど、お前のそばにいると、なんか落ち着くんだ」

俺はその言葉に、なんだか照れくさくなりながらも、嬉しい気持ちでいっぱいだった。
あの日の電車の中での二重奏は、俺にとって忘れられない思い出となった。
それは、どんなに疲れていても、人々が助け合い、たとえ知らない人どうしであっても、支え合うことができることを教えてくれた、かけがえのない経験だったんだ。

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