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WEB制作業界における継続的な売上構築とカスタマーサクセスについて


最近「カスタマーサクセス」という言葉が流行ってきている印象なので、私も積極的に使うようにしているのですが、言葉は使わずとも実際はもう5年前ほど前から該当する業務をしています。


うちの会社の主力事業はもともと自社CMS(BlueMonkey)を使ったWEB制作なので、WEBサイトを作ったクライアントに対して、月額の保守をもらいつつ活用のための支援や、成果を出すためのコンサルをしています。


実際にやってることは「カスタマーサクセス」なのですが、WEB制作業界は特有のものがあると感じたので、つらつらと書いて行きたいと思います。特にアップセルやクロスセル、ツールの継続利用はうまくいってるところなので、参考にしていただければと。

そもそもチャーンしにくい&周期が長い

カスタマーサクセスの目的として、大きく2つ大きくあると考えています。1つはチャーン(解約)防止。もう1つはアップセルやクロスセル。この2つでクライアントからのLTVを最大化させることが、求められる役割だと考えています。

※ちなみに、カスタマーサクセスの”目的”は顧客の成功ではないかっていう思う方もいるとは思いますが、便宜上一旦そこには触れずあくまで企業サイドの都合だけを書いています。


まず1つ目のチャーン防止について。特にSaaS系のツール商材はオンボーディングに失敗すると早期解約になる可能性があると思うのですが、WEB制作に置いてはよっぽどのことがない限り早期チャーンは生まれません。理由としては、すでにそれなりの制作費を初期投資しているので、多少不満があっても使い続けるからです。


その代わり導入までの予算取りだとか、初期の段階で色々と苦労する上に、成果に対する期待値も高くなります。そして、作り終えた段階で満足してしまい燃え尽き症候群になってしまうことも多々あります。


そうなると、せっかく作ったのにも関わらず運用が軌道に乗らず、解約はないけど大した成果もないという、あまり健全ではない状態が続いてしまいます。

アップセルやクロスセルが提案しやすい

既存クライアントをずっとフォローしてきたのでわかるのですが、アップセルやクロスセルはとても生み出しやすいのがWEB制作業界の特徴だと思っています。なぜなら、デジタル施策に置いてWEBが絡むことがとても多いから。そして、業界的にも追い風が吹いているからです。


例えば、ネット広告費は毎年増えていますよね。であれば、WEB制作と一緒に広告の提案ができれば、本来であればクロスセルの数は増えていくはずです。


1社あたりの広告予算も増えているとは思いますし、利用社数も増えてきています。実際うちの会社も、当初は広告を扱っていませんでしたが代理店として提案するようになり、中小のBtoB企業などでも少額から始める企業が大幅に増えています。


それ以外にも、MAなどのツールや、SEO、SNS活用などのサービスへの関心も高まっており、提案次第ではいくらでも追加が狙えるのがWEB制作業界の特徴だと思っています。もちろん顧客の成果に対して最適な提案をするのが前提ですが。

その上で、やったほうがいいと思っていること

ただし、言うは易く行うは難し。そんな簡単に追加はもらえません。そこで自分が大切だと思うのは「顧客成果の可視化」「マーケティングの全体像からの提案」です。

顧客成果の可視化

まず、アップセルやクロスセルの提案をするに当たって、当然成果がなければ検討のステージに乗せる難易度が上がります。「うまくいってないから追加費用をもらう」というケースも時々ありますが、それは決裁者と直接会えているケースのみ適用できるやりかたで、それ以外はやはり成果が必要です。


そのためには営業提案段階で話していたKGIやKPIをどれだけ達成しているか、達成のために運用では何をやる想定で、実際にそれができているのかをウォッチし続ける必要があります。そして動いて貰うためにしっかりとフォローしていくと。


当たり前といえば当たり前ですが、KGI・KPIが制作段階や制作後のフォローでリセットされてしまうケースが意外にも多いです。また、営業段階では詳細を詰めずに、制作してから細かいKGIやKPIを決めるケースもあります。提案のコンセプトと骨子だけで案件が取れてしまうことがWEB制作ではよくあることです。


マーケティングの全体像からの提案

顧客成果を可視化するためにKGIやKPIを決める際、そもそもマーケティング全体の中でのWEBサイトの役割と、どうしてその指標を追うべきなのかを明らかにする必要があります。そして、将来的にどうつながっていくかという長期的なロードマップも重要です。


例えば、クライアントがMAに興味を持っていたとしても、これまで全くMAの活用を意識をしていなかった企業がいきなりツールを入れても、まず使いこなせません。リードが足りなかったり、そもそもWEBのコンテンツが足りなかったり、様々な障壁が発生します。


そうなるとまずはコンテンツに注力した方がよくて、その中でリードが集まるような仕組みとしてホワイトペーパーを作り、MAに関しても安価でシンプルなものを入れ利用手段も最低限に抑える。2年目以降にWEB運用がうまく回り出したら、ピンポイントな施策に対してリスト抽出としてMAを活用する。本格活用はやるべきことをやってから。みたいなステップになると思います。


こういった流れを全体像として整理してあげて、ステップ提案してあげると、地に足がついた成果に繋がりやすい提案で、クライアントも納得してくれやすくなります。


例えば小学校とか中学校のWEB制作の提案であれば


こんな感じの全体像を踏まえた上で、改めてWEBのポジションを整理して、



そこから第二ステップ、第三ステップまでを話していくイメージです。超ざっくりですが。


その上でまずはWEBからしっかり基盤固めましょうという提案になります。


上図、即席で作ったものなのでデザインとかはあれですが、、雰囲気だけでも伝わればと思います。当然ここにリアルの接点とか色々盛り込んでいくわけですが、少なくともWEB制作の話をするならこういう話が必要ってことが伝えたかったことです。


初めから言う。何度でも言う。

お気づきかもしれませんが、ここまでの話はカスタマーサクセスというか、初期の営業段階から話す必要があります。また、WEB制作もその前提で進めていく必要があるので。顧客フォローをしていきながらステップ導入も大事ですが、必要ならば初期の段階から導入してもらい、活用をしながらアップセルをしてもらった方が双方にメリットがあります


ちなみにこの初期の提案段階で、顧客の視野を狭くしてしまうと追加はもらいにくくなります。逆にいえば最初から全方位的に提案をしておけば、後々の追加はもらいやすくなる。当然グリップはこちらが握る必要がありますが。


特に、新規の顧客に置いてはWEB制作の契約を貰う際に、社内決裁を通し、稟議を書いてもらっていることが多いと思うのですが、そのタイミングが唯一、こちらの提案が決裁者に届く瞬間だったりもする。そして、そもそもその前提でWEBを作ってるから今後の話が早くなる。だから初期提案段階で全体の話をしておけば、後からの追加提案が通りやすくなります。


目の前の担当者と、社内のコンセンサスが取れてないことも非常によくあることなので、初期段階でがっちり固めて置いた方が絶対にいいです。でないと、社内決裁を通すのに1年以上かかってしまうことも。


また、私の経験上、仮に明確なKGIとKPIを設定しても、クライアントは途中で忘れると思っていた方が良いです。だからしつこいくらい言い続けることが重要です。当初の目的、今後の運用で何をする想定で、どの指標を追っていくのか、そのために何をするのか。リマインドし続けるだけでもだいぶ違ってきます。


これは部下のマネジメントと原理は同じで、一度伝えただけで全てを理解できる人はごく一部です。基本的には、何度でも何度でも本質を伝え続ける必要があると思うのですが、目の前のクライアントも同じです。



その上で成果を可視化していくことで、顧客満足度も上がり、追加の提案も当初の予定通りに進み、双方幸せになるというとても綺麗なカスタマーサクセスが実現されます。



当然、全てが完璧に進むわけがないので、理想と現実の乖離を埋めるための分析や提案は必要ですし、軌道修正も発生します。ただ、少なくとも何も意識せずやるよりは、成果に繋がりやすくなるかと思っています。


さらにはそこにABM的な考えを入れると、結構いい感じに回り出すと思います。下記もよろしければ合わせて参考にしてください。


まとめ

つらつらと書いてきましたが、まとめます。


伝えたかったこと:
WEB制作業界のカスタマーサクセスとしては、しっかりとマーケティング全体像から顧客成果を最大化するための提案を行なっていって、可視化してあげた方が双方幸せだということ。


そしてそのためには初期の段階から言い続けることをしないと、うまくいかないですよって話です。だからカスタマーサクセスと言いつつも営業も同じベクトルで動いていく必要があります。


チャーンしにくく、時代も追い風な業界だからこそ、しっかりと顧客成果を真剣に考えてやっていけばうまくいくと思います。


当然この考え方が万能ってわけでもないのですが、私が長いことやってきて感じたことなので、少しでも参考になればと思います。


今回は以上


小木曽

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