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G7開催はまる男にて

1973年生まれのまる男は小学校1年の頃から、ある理由でプロも通うボクシングジムで学校以外、ボクシング漬けだった。そして、中学校、友達に誘われて野球部に入る。運動神経は怪物だけど、常識のだいぶずれた少年の物語である



 鬼の監督。通称鬼ケン。彼の怒声は凄まじく、第2次世界大戦中は彼の怒声を武器に米軍に勝利したと謂われる程である。いつも、野球部員たちは彼に怒られないように汲汲としているものだ。ただ彼には目下悩みがある。
 その悩みとはこの物語の主人公。まる男である。

 まる男の中学2年の春。監督はまる男が全然言う事を聞かないので会議を開いた。その会議には監督、コーチ、キャプテン、副キャプテン、マネージャー明菜、角郎、まる男の7人が出席した。
 監督が先ず、口火を切る。
「まる男の数々の監督に対する無礼。これは看過出来ない。よって何とかしなければならない。何をすればいいか。考える為に皆に集まってもらった。意見のある者。誰かいないか?」
キャプテン、明菜、まる男の3人が手を挙げた。
この中で一番まともそうな男を指名する。
「はい。まる男相手には体罰も許されると思います。なにしろ・・・まる男ですから」
キャプテンの意見には忖度はない。完全なる自分の考えだ。
「う~ん。体罰かぁ。しかしなぁ」
監督が眉間にしわを寄せると角郎が手を挙げる。
「すごく。いいアイデアが浮かびました」
角郎は指名される前に発言してる。監督の目は輝いた。
期待で胸がふくらむ。
そして、角郎は冷静に言う。
「あきらめる。というのはどうでしょう」
1%の希望は時として100%の絶望よりたちが悪い。
明菜が勝手に口を開く。
「まる男くんのどこが悪いか、わかんないよ。
まる男くん、面白いよ。試合中にウォークマンで聞いてた、落語の話とか。練習中に隠れて食べたゼリーも美味しかったし。時々やる監督の靴隠すのも楽しいし。一緒に職員室に発煙筒投げ込んだ時の先生たちの顔ったら。
何?何なの?この会議。なんか意味あんの?」
「な。お前らだったのか?・・靴も。発煙筒も!」
監督は額に手をあて、うつむき加減に弱々しく言う。
まる男がやっと口を開いた。
「恋人と愛人。それぞれ何人いますか?」
質問を募集してるわけではない。監督は顔をテーブルにまで落として涙目を隠した。
「はい!はい!はい!」
明菜が手を挙げる。今度はコーチが明菜を指名する。
「今夜TVでやる映画。面白いらしいよ。まる男くんも見る?」
また、明菜とまる男の雑談が始まる。


今日の会議の結論は監督に愛人をつくらせるため、週5でキャバクラに通うべきということだ。
明菜も週2で行きたいといったが金銭面で却下された。目下、週1で検討中だ。
実行した監督は、2か月後、愛人が出来なかったことを報告すべきか迷っている。

(*体罰に対しては大林は否定する立場です。今回は時代とお笑いが理由で出しました。皆さんは教育には体罰はやめましょう。意味は無いとの研究結果も出てます)





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