夫の作りかけの家仕上げていきますシリーズ: えッ?詐欺? 2
その日リチャードから確認の電話があった。
↓の続きです。
あなたが色やその他のことを決めるんですか?
どゆこと?と思いながら
そうです
と電話口で答える。
ハズバンドか誰か見積もりの時に一緒にいる人はいますか?
ハズバンドはいません
誰か必要なら友人に聞いてみますけど?
そう言えば以前スーが、
自分の車を買うために夫とディーラーに出向いたら、説明する男性がスーの方を見ず夫にばかり話しかけるのだと怒っていた。
私の車だって言ってるのに!
彼女は英国人で
まったくこの国はそんな男女差別がまだあるんだから!
(それを聞いて、ぎょぎょ、日本は・・と思った私であったが)
見積もりの立ち合いに私の他に誰かが必要。他の業者はそんなこと聞きもしなかった。
え?私の英語が下手すぎました・・?疑
友人で仕事仲間のレノアからは
女性だからって甘く見られることあるから気を付けてね。
と言われている。
そこで間借り人でハンターEに同席してもらうことにした。
彼には今までの三つの業者の概要と見積もりの数字をあらかじめ教えておく。
リチャードの会社をホームページで下調べすると
オーナーはカナダ人
保険、ライセンス保証
高所での作業証明あり
トレーニングされて経験のあるスタッフ
とある。
中々良さそうではないか?
高所での作業証明というのが特に安心する。
他の業者のホームページでは見なかった売り文句だ。
オーナーはカナダ人というのがちょっと笑えたけど。そういうのを強調した方がみんな安心というわけかしら。
見積もりの日の朝、再びリチャードから確認の電話。
カナディアンにしては(失礼!)中々きっちりしているではないか?
そして約束の5分前に到着。
日本にいるのかと錯覚するくらいだ。
やって来たリチャードは中国系。電話では気づかなかったが英語にわずかなアクセントがあるのでカナダ生まれではないのかもしれない。
ステインを塗る場所を伝えて、その後リチャードがひとりで見て回るというのでハンターEと家の中で待つ。
15分ほどして見積もりを終えたリチャードをリビングに招き入れる。
作業開始が今すぐでなく2週間ほど先でいいなら割引ができます。
急ぐことでもなかったのでそれで大丈夫だと答える。
ステインはどれくらいの量が必要ですか?
7~8ガロンですね。
別の業者さんは15とか言ってたけど。
それは二度塗りの場合でしょうね。
中々的確な返答だったのでこの時点でリチャードに信頼を置き始めている私。
そして出てきた見積もりがどの業者より安かった!
ハンターEと目を合わせる。
彼はここで決まりじゃねーのな顔つきである。
リチャードが私の顔を見る
え?今決めるの?
いや大丈夫、でも明日までに返事くれたらさらに割り引くから。
そう言って示した数字は中南米系親子スティーブの見積もりの半額以下である。ステインも指定してくれたらそれを使うという。
ほぼ決まりだなと思いつつ明日連絡すると言ってその日は終了。
大急ぎでウェッブのレビューやSNSで上げられている仕事の様子を確認。
1) 中南米系親子の会社スティーブ
2) イタリア系イケメンジュリオ
3)アラブ系サングラスのクラディ
そして
4)中国系レスポンスの速いリチャード
さあ、どの業者さんにする?
いや、私はもう決めていた。
そして翌日早々にステイン塗りお願いしますとリチャードにメールを送る。
この時点で、安い値段にかなりハッピーな私。
返信の早いリチャードからすぐデポジットとして入れる前金の額面が送られてくる。
e トランスファーのメールアドレスと一緒に。
(eメールアドレスを介して送金する仕組みで一般化している)
そして、銀行のウェッブアカウントからそのメールアドレスに送金しようとすると
あなたはXXXXXインコーポレーションに送金しようとしています。よろしいですか?
と出て来た。
XXXXXXインコーポレーションって何?
リチャードの会社名とまるで違う。
メールアドレスを確認する。
間違いはない。
そしてよく見るとオートマティックデポジットとある。
つまり送金先の受け手の確認のために、送り手が秘密の質問などを設定する場合があるのだが、それがなく自動的に受け手のアカウントに入ってしまうものである。
リチャードにテキストメッセージを送る。
すぐ返信がくる。
会社名が違う?ふ~む。
ひょっとしたら前の会社名Clean XXXになってるかも?
その名前でもないわ
私はあえて会社名を明かさなかった。すると
じゃあボクの名前のこっちのメールに送って
それはリチャードの名前で@の後に業者名が入ったメールアドレス。
オッケ~と返信しつつも、疑。
それからが怒涛の検索である。
架空会社?
以前、町の税金を支払うeトランスファーで紛らわしい名前がいっぱい出てきた事があった。わざと似たようなアドレスと名前を登録している輩がいる?「・」違いなんて怖すぎる。これは危ないとその時は小切手を切って郵送したのだ。
リチャードのeトランスファーに出て来た会社を調べる。
するとそれは州政府に届け出たビジネス登録ナンバーだった。
ビジネスナンバーからさらに登録内容を調べる。
確かにリチャードの名前ともう一人中国系らしい人物の名前が載っている。リチャードが言っていたCleanXXXの会社名で。
しかし現在の会社名はどこにもない。
オフィスの所在地も、ウェッブで記されていたものと違う。
疑・疑・疑
翌日ハンターEに頼んでリファレンスリストに載っているかつての顧客に電話をしてもらった。すると
いい仕事で、そのあともいくつか頼んだって言ってたぜ。
そっか~私が疑い過ぎ?
大体見積もり時にもうひとり同席させるなど、向こうの方が警戒していると言ってもいいくらいだ。メールに認証機能までつけてある。
単にビジネス登録のときのアカウント名のままなだけ?
Facebookの過去までスクロールすると前の会社Cleanxxxの名前が出てきた。
確かに今の会社と繋がっていてリチャードの話にウソはない。6年分の投稿とコメント内容も目を通し最初の紹介ウェブサイトのレビューも確認。
これで架空会社だったらその労力に驚くよなあと気を取り直す。
結局リチャードのメールアドレスの方にデポジットを入れる。秘密の質問付きで。
しばらくして相手が受け取りましたメール通知が来て、ほどなくリチャードからも確認のテキストメッセージを受け取る。
もう夜になっていたが、受領書をPDFで送ってくれと伝える。
オッケ~明日いちばんに送るよ。
テキストメッセージの即答。
そしてそれっきりリチャードから連絡がなくなったのである。
領収書どころか、開始日を聞いても何の返答もない。
あの即答リチャードが。
え~~~~~~!
やっぱり〜?って・・
疑ってたのに引っ掛かるなんて
いや巧妙な詐欺だ~
SNSやカスタマーレビューもうそ?
顔出しなのに?
その顔の本人と会ってるのに?
業者紹介のウェッブ会社で確認済みのチェック、それもうそ?グル?
だが一旦詐欺だと思うと今までのリチャードのすべてが怪しく思えてくる。
どうりで急いで決めさせようとしたはずだ、とか
入金するまでは異常なまでに間髪入れず連絡を入れてきたし、とか
2週間先とか言ってその間にトンズラか?とか。
そして
あるいは創業者の2人が仲間割れ。リチャードがお金を奪って逃走?
疑惑が妄想に発展していく。
。。。
三日ほどたってリーと名乗る人物から電話が来た。
誰?
電話口からリチャードの業者名。そういえばあのビジネス登録番号の会社にあったもうひとりの人物だ。
リチャードが行方不明で・・
で始まるのを覚悟したら
2週間後って言ったけど、明後日に始めてもいいかな?
いやいやいや~クレイジーに忙しくって。Hello?
ほ~~~~~~っとしたのは言うまでもない。
私の大きな安堵音をよそに相手が畳み掛けてくる。
10時には到着するから。
そんなこんなで当日やって来たのは4人の”イースト・インディアン”の人たち。
リチャードは来るの?
ひとりに聞くと、彼はコントラクターだから来ないよ。僕が現場任されてるんだ。リーはとってもナイスな人物だよ。
ちょっぴりおぼつかない英語で話してくれた。
1時半すぎ。ランチタイム。
仕上げはまずまず。
一ヶ所液ダレになってるところを指すと快く塗り直してくれる。
小切手を切って電話口でリーと確認を取り無事終了。やれやれ😅
色が今ひとつ納得いかないけど、まっいいか。
自分で階段のステイン塗りをしたときもそうだが、予想以外の色に出来上がる💦
元の木材との関係で色をうまく判断できないせいだと思う(学習中!)
後ろに一歩下がって見上げて
う~んやっぱりなぜこんな色になったかわからん(笑)
日本とカナダの子供たちのために使いたいと思います。