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見下ろしたらそこは

トロントからの直行便は通路側のシートが取れず窓際だった。
満席。

以前、母が亡くなって帰国した時はまさにパンデミック真っ只中。直行便はキャンセルされ、空港は閑散としていた。
国際線の機内もガラガラ。中央4人掛けシートを独り占め。横になったらこんなによく眠れるんだと思ったものである。

だから混み合う機内はまた前の世の中に戻ったんだと感じさせる。
世界はパンデミック前と同じ状態になりつつある。

でも本当は違った。
世界は元いた場所には戻らない。

カナダ出国の際も、そしてついに!日本での入国の時もカウンター越しにスタッフと向き合うのは皆無となった。
出国の際のフライトのチェックイン、ワクチン証明提出、荷物の預け入れ そして入国審査、税関
全てがデジタル化された。

かつてはパスポートに押されるスタンプが貯まって行くのが嬉しかったっけ。
外国に行った印。国によって違うデザイン。
日本のは真四角で面白味がなかったけれど。

そんな事が昔話となった。

夫の在宅緩和ケアの時に来てくれていた心理カウンセラーのシーラ。夫が亡くなった後も私のサポートのためにセッションを持ってくれた。

歩いているはずなのに悲しみから逃れられない。でもね、それは螺旋階段のようなんですね。
また元の位置に戻ったように思えても下を見たら随分登ってきた事がわかるんですよ。

人は決して元いた場所には戻れない。

同じ場所にいたい、それは時として辛かったり悲しかったりするけれど。

でもこの世に生きていくってそう言う事なんだと思う。決して元いた場所には戻れない。

久しぶりの窓際のシート。
初めて飛行機に乗ったのは9歳の頃だったか?
まるでその時のように窓から見える景色が私の心を捉える

美しい線を描く飛行機の翼
そして

雲海

飛行機の翼がこんな優美な線を青空に描けるとは


あ、三日月

約12時間を経て

高度が下がって行く

房総半島の東
日本の人々の生活

機内で、ミセスハリス、トップガン:マーベリック そして懐かしトップガン、さらに7月4日に生まれてを観た、はず。(トム・クルーズファンてわけじゃないけど)
でもどれも気付けば最後のクレジットが流れていて、戻して見るもいつの間にかやっぱり映画が終わっているのは何故…(笑

トップガンで戦闘機が空中で繰り広げるアクションシーンではちょうど飛行機が揺れて臨場感あったけど。

ただいま、日本。
私も一緒に螺旋階段を登っているよ。


日本とカナダの子供たちのために使いたいと思います。