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【ひよわな校長の処方箋69】教科横断的サステナブルラーニング

 カリキュラムマネジメントにおいて、教科横断的な視点が求められている。
 中学校では、各教科の年間計画に他教科との関連を入れて指導に生かす試みや、2教科の担当が合同で授業を計画するなどの試みがされているが、前者は無理やり他教科に絡めたようなものも多く、後者は研究授業などを見据えて行うイベント的な授業になりがちだ。
 普段の授業で、自然に教科横断的な視点をもてるようにするには、教科担任である教師が、普段から他教科の授業に関心をもち、お互いの授業を見合うような習慣が必要だろう。しかし教師はぎりぎりの人数しか配当されていないため、他教科の授業を参観する時間はなかなかとれない。
 一番いろんな授業を普段から参観できるのは校長だろう。自分は指導主事時代から、普段の授業を参観して、その様子を通信として配付している。これで教師たちは他教科がどんなことをやっているのかが少しはわかるかもしれない。
 あるいは、他教科の内容につながった授業を実践できた教師はそれを「教科横断カード」のようなものに記録して、自分たちの実践を蓄積していくのもよい。他教科の授業を見て、思わず自分の授業に取り入れてしまったような視点も記録する。
 しかし、教師よりも全教科を学習している子どもたちの方が教科を超えやすいかもしれない。
 子どもたちが自然に教科を横断していく学習が総合的な学習の時間である。とくに、プロダクトを生産するとか、イベントを企画するなどのプロジェクト型の学習では、教師からの働きかけがなくても、自然と様々な教科の学びにつながっていく。
 「学び」が「遊び」から進化したものだと考えれば、教科の壁を飛び越えていくのは自然の成り行きだろう。
 そう考えると、「学び」は「遊び」のように、終わることを知らず、常に変化していくものであるべきだ。これをサステナブルラーニング(持続可能な学習)と名付けよう。
 サステナブルラーニングというのは、続けることが可能な学習、というより、続けたくなってしまう学習、さらに、思わず続けてしまうような学習である。
 それは授業時間が過ぎても終わらず、家に持ち帰っても自然発生的な宿題のように持続され、ゆくゆくは生涯学習へと発展していくような学習である。
 先に述べた教科横断的な学習を横のつながりと捉え、このサステナブルラーニングを時間的な縦のつながりと捉えれば、学習は縦横無尽となる。授業は時空を超えてゆく。

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