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“パンパンガール”を語る「金ちゃんの紙芝居」8 ~【パンパンか? パンパンガールか?】


パンパンガールを志願し、朝霞駅に着いたばかりのお姉さん。金ちゃんに解説してもらった。「この時点では、お姉さん方は、化粧どころか口紅💄もつけてません。注目していただきたいのは殆どの人が傘を手にしていたことです。雨露をしのぐ場を持たない人には必需品でした。また黒く長い髪のお姉さんはアメリカ兵に好まれ、多くは売れっ子でした。」

朝ドラに出てきた「パンパンガール」

先日、NHKの朝ドラ『ブギウギ』に、有楽町周辺で米兵相手に商売をする女性たちが登場し、ナレーションで

このころ、有楽町界わいでは「夜の女」「闇の蝶」と呼ばれる街娼たち ━━ 「パンパンガール」が大勢いて、 大きな社会問題となっていました

と説明していた。

僕は、ちょっと違和感があった。

パンパンガール⁉

あのころ、「ガール」なんて付けたんだろうか?

駅近く、変電所・防火用水槽の周りは、蚊とパンパンガールの溜まり場。 広く深い草っぱらが、商売をするのに好都合で、いわば星空旅館だった。それを見込んで、リヤカーの赤提灯も出た。

NHKの忖度?

ひょっとすると、「パンパン」だけだと突き放した感じで、きつく聞こえる恐れがあるという理由で、NHKが配慮して「ガール」をくっつけたんじゃなかろうか?

とも思った。

そこで、金ちゃんに聞いてみた。答は意外なものだった。

━━ パンパンガールという言い方、当時、ありましたか?

金ちゃん) ありました。

━━ ありましたか!?

金ちゃん) ありました、というより、それが主ですよ。パンパンガールが主な言い方です。

━━ 「ガール」をつけるんですか!?

金ちゃん) 「ガール」は付きました。

朝霞駅前には稲荷神社があって、その広場は、昼は子どもたちのあそび場、夜はパンパンガールの仕事場。町内会館が寝床だった。

朝霞の小学生の間では、ガールは付いた!


金ちゃん) 私たちも、お姉さん方を陰で…指して呼ぶ時は、必ず「ガール」をつけて、パンパンガールです。

今、小学校の同級生と、たまたまそういう話になると、誰もがみんな「ガール」をつけます。パンパンガール。

━━ ああ、そうなんですか!

金ちゃん) だから、紙芝居をやっていてね、「田中さん、それはパンパンって言うんじゃないですか?」って言われると、かえって違和感を感じてね、
「いいや違います、パンパンガールです」と、私は言い切っちゃってます、いつも。

━━ そうですか? 僕、勘違いしていて…。

金ちゃん ) 「パンパン」に抵抗あるっていう方は、「パンパンガールも私は気に食わない」ってなこと、言い出すわけですね。
そういうこと言われるのが嫌で、私は「ハニーさん」にしちゃったということなんで・・・

━━  なるほど。

金ちゃん) だから私の中では、いつもパンパンガールです。

これをお読みになっている方の中には、

パンパンか? パンパンガールか?

が、問題じゃない。問題はそうした蔑称がまかり通っていたことだ 

と思う方が、いるかもしれない。

まったくその通りで、異論がない。

ただ、差別用語だからという理由で「なかったことにする」ことには、僕は「ちょっと待ってくれ」と言いたくなる。

そういった言葉が使われていたことは歴史的事実として記録し、伝え続けると同時に、その言葉の持つ差別性をわきまえる ━━

それが大事なんじゃないか?

昭和20年代、埼玉・朝霞で、当時の小学生たちは、米兵相手の街娼を「パンパンガール」と呼んだ

そのことを、ここでは事実として記録しておきたい。

※ お断り これまで、このnote のタイトルは、「“パンパン“を語る」としてきましたが、金ちゃんの要望もあり、「”パンパンガール”を語る」に改題し、遡って、修正することにします。ただし、本文中で、「パンパン」と表してきたものまで、「パンパンガール」に変えると、齟齬などが生じる場合もあるので、原則、そのままとします。ご理解・ご賢察を賜れれば幸いです。








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