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SANYO MSX - Wavy と仲間たち

今はパナソニックになってしまった三洋電機のPCについては

SANYOも頑張っていた - PHCシリーズ

に書いたのですが、なかなかの迷走ぶりでMSXが決まると、コレ幸いと一気に参入してきました。型番はMPCで始まりますが、愛称としてWavyが与えられ、これに続いて型番(Wavy10など)で呼んでいることもあるようです。

最初にリリースしたのがMPC-10で、スロットこそ1つしかありませんでしたが、32KのRAMを搭載し、約7.5万円とど真ん中を狙ってきました。面白いのはライトペンをサポートする拡張ユニットがあり、本体にはライトペンを差し込むための穴まで開いているという力の入れようです。他にも当時、普及が期待されていたキャプテンビデオ端末として使うためのユニットまで用意されていました。MSXという共通規格の中で、独自路線をアピールしようとしていたのでしょう。

Sanyo MPC-10

懐パソカタログ 三洋 WAVY 10 (MPC-10)

MPC-10

そこそこは売れたようで、今でも中古マーケットで目にすることもありますが、真ん中を狙ったというのは上下があるということで、続いていくつかの新機種をリリースします。

Sanyo MPC-5

こちらは最小構成のMSXに近くスロットを2つ持っていますが、メモリは16Kだけですが価格は約5.5万に抑えました。

上位モデルの方は MPC-11で、スロット1つ、メモリ32KはMPC-10と同じですが、本体とキーボードを分離したセパレート型となり、よりキャプテン端末としての使われ方を目指すようになったようです。MSX規格ではグラフィック能力に不足が目立ちMPC-Xという拡張ユニットを用意していました。

Sanyo MPC-11

Sanyo MPC-X

三洋電機 - MPC-11 (WAVY11)

価格は少し上がって約10万、MPC-Xも加えれば20万弱になりますから、もうパソコンではなくコンテンツ作成やマルチメディア端末としての役割を考えていたのでしょう。さすがビデオ屋さんです。

さて三洋電機は大きな会社ですから事業部もたくさんあります。今までPHCシリーズのパソコンを出していた部署からもMSXが登場しましたが、仕様はMPC-5に近く日立のH2のようにデータレコーダを内蔵させたものです。スロット2つ、メモリは16Kでお値段はMPC-5と10の真ん中の約6.5万でした。

Sanyo PHC-30

海外向け展開も怠り無くいくつかの海外向け機種も用意して、売りまくるつもりだったようです。確かにいずれの機種もそれなりには売れたようで今でも中古市場を賑わしているようです。ただキャプテンに関しては結局、普及しませんでしたし、ビデオ端末云々もあまり実用的な使われ方を見た覚えはありません。

この後、MSX2が決まると対応機種を出すとともにMSXに関しても価格を見直した新機種を投入し続け、実に多くの機種が登場しました。かなりの力の入れようだったようです。三洋電機が得意としていなかったソフトウェアをMSXが面倒見てくれるのですから、まさに渡りに船だったのでしょうね。汎用的なプラットフォームにのってソフトには手を出さないという三洋電機の方針はある意味、一貫していて、MSXが一段落すると日本におけるPC互換機仕様であるAXにも参加し、一定の地位を築いたのですから立派なものです。でもメーカーとしての魅力は発揮できていたのかと言うと怪しいなと思います。企業が長生きできるかどうかは結局そういうことなのかなぁ。

ヘッダ画像は、月刊アスキー1984年10月号に記載されたPHC-30の広告ページ(部分)。

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