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キングダムに学ぶチームの熱量の上げ方

こんにちは、キングダムが趣味の男 かずまです。

読書の秋ですね。

みなさん、キングダム読んでますか?

僕は昨日も合縦軍編を読み返したくなって読み返しました。

ちなみに、キングダムで一番の萌えキャラって誰だと思いますか?

僕は王賁(おうほん)だと思うんですよね。

王賁まじ萌えキャラ。

今日は、なぜ王賁が一番の萌えキャラなのか、

そしてキングダムを読んでいて学んだチームの熱量の上げ方について語りたいと思います。

ここまでキングダムを知らない方を完全に置き去りにしている気がするので、念のため補足しておきます。

キングダムについて

キングダムは週刊ヤングジャンプで連載している漫画作品。

古代中国の春秋戦国時代を舞台としており、若き日の秦の始皇帝・秦王 嬴政(えいせい)と下僕の身分から駆け上がり天下の大将軍を目指す少年・(しん)が中華統一を目指す物語です。

2019年には映画化もされ大ヒットとなりました。

主人公たちの国・秦を始め、戦国七雄と呼ばれる七つの王国(秦・楚・斉・燕・趙・魏・韓)が中華全土を舞台として覇権を争うことから、戦争の描写が多く、登場人物も非常に多いことも特徴です。

800px-ZH-战国七雄地图

画像引用:キングダム Wikipedia

今回は、その中でも特に主人公の信と信のライバルでもある秦の武将・王賁(おうほん)について取り上げます。

信と王賁

信と王賁について簡単に説明しておきます。

はキングダムの主人公です。

西の大国・秦で戦争孤児の下僕として過ごしていましたが、親友である標(ひょう)の死をきっかけに秦王・嬴政(えいせい)と巡り会い、武功を挙げることで武将として戦場で駆け上がっていきます。

飛信隊(ひしんたい)と呼ばれる自身の隊を持ち、中華でも最強クラスの大将軍・王騎(おうき)将軍の矛を受け継ぎ天下の大将軍になることを目指します。

王賁も信と同世代の秦の武将です。

秦国の中でも一二を争う名家・王家の嫡男にして、槍の達人。彼が率いる玉鳳隊(ぎょくほうたい)は士族の名家出身の人間で固められており、エリート中のエリート。堅物で真面目、そして彼の夢も大将軍になるという、信と共通の目標があるため信には対抗心を燃やしがち。

王翦( おうせん)将軍という秦国でも屈指の頭脳を持つ将軍を父に持ちます。

プロフィールを見てもらえば何となく想像つくと思うのですが、信と王賁子の二人まさに水と油。

下僕出身の信と名家出身の王賁。

生まれも違えば、育ってきた環境も違う、考え方もまるで違う、だけど二人とも天下の大将軍を目指しているという目標は同じ。当然、ことあるごとに反目し、小競り合いが絶えません。

あと、王賁の初登場時の印象は最悪の一言です。

信にむかって

「お前と俺は生まれも身分も違うから邪魔すんなよていうかお前が大将軍になれるわけねーだろ」みたいなことを言っちゃいます。

少女漫画だったら、ヒロインに「嫌な奴、嫌な奴」って連呼されるタイプの初登場。

信はビジョン、王賁はミッションに重きを置く

大将軍になる、という同じ目標を抱く信と王賁ですが、目標に対する捉え方は異なるように感じます。

その違いとは、信は大将軍になることをビジョンとして捉えている

王賁はミッションとして捉えている、という違いです。

信にとって、天下の大将軍は大いなるです。

作中でも「俺の夢は天下の大将軍になることだ」と語っているシーンがありますし、親友であった標(ひょう)や戦場に散った数多く戦友、自らの手で討ってきた敵将の想いを乗せて果たすべき夢としています。

それに対し王賁は、自分にとって中華に名を刻む大将軍になることは責務だ、と作中でも明言しています。

夢、つまりはビジョン。

責務、つまりはミッションです。

ここでビジョンとミッションの関係について整理したいと思います。

「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」でおなじみのドラッカーが提唱した理論に

「ミッション・ビジョン・バリュー」というものがあります。

ミッション・・・使命

ビジョン・・・ミッションが実現した姿、ありたい姿

バリュー・・・価値、行動基準

ただし、この理論 ミッションとバリューどちらが上位概念なのかなどの関係性が文脈や解釈によって異なる記述が場合があるそうなので、今回は単純に以下のように定義したいと思います。

ミッション・・・ビジョンの達成のためにやるべきこと

ビジョン・・・・自分がなりたい姿、目標

バリュー・・・ミッションを遂行するための行動基準

無題のプレゼンテーション

つまり、ピラミッド構造ではなく、ビジョンに向けて行動していく、横軸の関係でビジョン、ミッションを定義したいと思います。

※バリューについては今回あまり触れません。

この図式に当てははめると信と王賁の大将軍になる、という目標は

信はビジョンとして、王賁はミッションとして捉えています。

さらにそれぞれのビジョン、ミッション両方を見ていくと

信にとってのミッションは中華の統一、王賁にとってのビジョンは推測ですが王家の跡取りとして跡を継ぎ 統首になることではないでしょうか。

無題のプレゼンテーション-2

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信にはもともと大将軍になる、という夢はありましたが具体的にそれをどうやって達成するのか、というイメージはありませんでした。(当初は戦場に出て武功を挙げ続ければいつかなれる、という程度の解像度だったはずです)

しかし、戦場における様々な経験や出会い、そして友である嬴政の姿を見ながら、自分が目指す天下の大将軍になるには中華統一という偉業を成し遂げる必要がある気づきます。

これは作中でも嬴政に対して「俺とお前の道が1つに重なったみてぇなんだ」と発言していることから間違いありません。

一方王賁は、明確にビジョンが描写されているわけではありませんが、自分の家である王家の跡取りという点を自分でも強調していることから、家を継ぐこと、という点に重きを置いていると推測されます。

もちろん、秦国の武将として王賁も中華統一を目指してはいるのでしょうが、王賁個人としての重きは自分の家に置かれている可能性が高いです。※さらに言うならば、王賁は父親・王翦との関係が悪く(明確な理由はまだ作中で描かれていませんが)冷遇され続けている為、父親に認められたい、という欲求もあるかもしれません。

信は内部からの欲求、王賁は外部からの期待

更に言えば、信は下僕の身分から大将軍になって駆け上がりたい、という自らの欲求に従って行動することが原動力となっています。

最初は、大将軍になっていい家に住んでいい暮らしがしたい、という解像度でしかありませんでしたが、ストーリーが進んでいくにあたって解像度があがり、また仲間や敵の想いも乗った確固たる目標となっていきますが、根底にあるのは自身の欲求です。

大将軍になりたい、それは信の心のそこからの想いであり、欲望であり、夢であり、果たすべき道です。

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それに対し王賁が大将軍を目指す理由は名家の嫡男であることの責任や、周囲からの期待が大きな理由でしょう。

大将軍になりたい、史に名を刻みたい、という王賁自身の欲望もあるでしょうが、最も大きな理由は名家・王家の嫡男として立派に家を継ぎ、それを受け継いでいくことでしょう。

つまり、大将軍になりたいという目標が先にあるのではなく、立派に家を継ぎ頭首になるという目標があり、それを果たすためには大将軍になることが必要だと考えているのではないでしょうか。

キングダム・note用

つまり

信は内部衝動からビジョンに重きをおくビジョンドリブン

王賁は外的要因からミッションに重きをおくミッションドリブン

というタイプ分けができるでしょう。

信と王賁の強みと弱み

そして最後に信と王賁の強みと弱みをSWOT分析してみました。

SWOT分析・・・「内部環境」を『Strength(強み)』『Weakness(弱み)「外部環境」を『Opportunity(機会)』『Threat(脅威)』に分けて分析を行う手法

結果はこちらです。

※あくまで僕個人の見解です。

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信の強みは大将軍になりたいというビジョンがブレないことや飛信隊メンバーとの絆、そして大将軍になるという夢に指針を与えてくれた王騎将軍や秦王・政との出会いでしょう。

一方で弱みとしては戦術や戦略を立てるのが苦手で行き当たりばったりな行動をとってしまうことや外部環境としては中華統一までのタイムリミットが存在することなどでしょう。※タイムリミットが存在する理由については後述。

王賁の強みは幼少の頃より鍛え上げられた槍の技術や、鋭い戦術眼や先を見通す戦略性を持ち、的確な判断を行うこと、そして名家の跡取りであり、名門の士族の男子で構成された玉鳳隊の存在も大きいでしょう。

一方で弱みは、真面目で堅物、悪い意味で隙がなく弱みを見せることが苦手な点でしょうか。

ここまでを総括すると信と王賁のパーソナリティがなんとなく理解いただけたかと思います。

信は子供の頃からの大将軍になるという夢(自身の欲求)をぶらさず、味方や敵を含め周囲の人間と人間関係を築き、戦場での経験を重ねることで夢へとて向かっていきますが、細かいことは苦手で感覚的に動いています。

それに対し王賁は、名家の嫡男として幼少の頃から鍛錬を重ね、武力も知略もバランスが良く高いレベルにあり、自身の立場(跡取り)にアイデンティティを持っています。しかし、真面目すぎる嫌いがあり、父親に冷遇され関係性が悪いというコンプレックスを抱えながらも、それを他人になかなか見せることができません。

同じ大将軍になるという目標を持ちながら、二人のパーソナリティやリーダーとしての在り方は異なります。

そして、そんな二人の若きリーダーが自身のチーム(隊)の熱量(士気)を爆発的に引き上げる場面が作中に存在するため、本題である「チームの熱量の上げ方」を具体的に解説していきます。

※以下、具体的なネタバレが入りますのでネタバレが嫌な方はご注意ください。コミックス53巻の内容について取り上げています。

絶望的な状況に必要なもの

まずは、該当の場面を説明する前にそこに至るストーリーを簡単にご説明します。

中華統一を国策として掲げた秦は国家一丸となって、中華統一というプロジェクトに取り組みます。その中で国家の財政や軍の状況など鑑み、プロジェクトを持続させる為の気力などを考えると15年で中華を統一することが必須という結論に至りました。つまりは時間がない。(これを決定した時点で1国も滅ぼしておらず、7国が拮抗している状態が数百年続いています。)

そして、その手始めとして秦の長年のライバルであり、隣接する趙国へ大軍を以って攻めいることになります。しかし、当初はある程度時間をかけて徐々に攻めようとしていたのですが、趙の宰相にして大将軍である李牧(りぼく)が秦に対抗するために城を増築し、敢えて趙を攻めるのに時間がかかるようにするといった対策をしてきたことで目論見が崩れます。趙を滅ぼすのに時間をかけすぎれば、先述の理由から中華統一の実現が不可能になるためです。

そこで秦は徐々に攻めるのではなく、趙国でも第二の都市である(ぎょう)という大きな城を奇襲で一気に攻め落とすという博打に踏み切ります。鄴を拠点とすれば、数年で趙を攻め落とせるという算段があるからです。結果的に、この戦略は功を奏し鄴をあと一歩で攻め落とせるというところまでくるのですがその最中、秦軍の兵糧(ひょうろう 食料のこと)が尽きかけ、信と王賁が戦う軍の大将が敵の奇襲により重傷を追い、戦線を離脱するという状況になってしまいます。※外国に遠征しているため、秦軍は食料の補給が出来ないのです。

そして、そんな絶望的な戦局にも関わらず総大将の王翦は何故か無視。援軍も助言もくることはなく、信と王賁は指示がない中戦いつづけていました。

会社に例えるなら

・予算がない、納期まで時間もない

・ハードワークすぎてチームメンバーがどんどん気力を失う

・所属する部の部長が突然いなくなる

・社長に状況を報告するもガン無視される

などという状況なわけです。

そんな中でも戦い続けないといけない。


そして、兵糧が完全につきるという日の前夜に王賁は信を呼び出し二人で話し合いますが、そこで王賁が必須だと提示したのは具体的な戦術などではなく

隊を覚醒させること

だったのです。

方法はわからないがなんらかの方法で隊員一人一人のレベルを引き上げ、隊自体を強くするしかない。

それしかこの状況を打破することは出来ないと語るのです。

しかし、どうやったらいいかもわからぬまま朝を迎え、開戦の直前におもむろに信と王賁は隊の前に出て語りはじめます。

そして、結果的にこの語り(スピーチ)が隊の覚醒へと繋がり、隊のレベルアップと圧倒的な勝利につながります。

それでは、信と王賁それぞれの語った内容をみていきましょう。

以下信と王賁の語りの内容を全文を掲載。

信の語り

「お前達の中にはもう知らねぇ奴もいるかもしんねぇが

この飛信隊は百人隊から始まった

最初から馮忌(ふうき)っつう将軍首狙う無茶な作戦やらされて

竜川(りゅうせん。飛信隊のメンバー)なんかビビッて動けなくなっちまった

覚えてるか竜川?

そっからもずっと無茶な戦い方繰り返して

武功あげて 隊もでかくなってって

今じゃ五千人隊

羌瘣(きょうかい・飛信隊の副長)ンとこも合わせりゃ八千人隊だ

だけどまだまだだ

俺は天下の大将軍になる男だ

その刻には俺の下には数十万の兵がいる

だが その軍勢の中心となるのは・・・

元となるのはここにいるお前達だ

俺はその刻

さっきみてぇなことを

数十万の兵達に言いてぇんだ

朱海平原で戦った八千人隊が奇跡を起こして勝ったって

だから天下の大将軍まで繋がったって

今は右翼全体を仕切る将も居なくなって

総大将王翦にも無視されて

援軍もなく食い物も尽きかけてて腹は空かしてて

だけど飛信隊が奇跡を起こして勝ったって言いてェんだ

こんな所で終わってたまるかよ

力を貸してくれ飛信隊

俺はお前達と一緒に天下の大将軍まで突っ走るんだ

こんな所でっ・・・

(終わらせるかよ)

(絶対に終わらせねェ)

(絶対勝つ)

(勝つっ)

(絶対勝つぞ)

(うぐぅっ)

(信殿)

力をっ

力を貸せ飛信隊!!

いくぞてめぇらっ

突撃だァッ」


王賁の語り

「後から入った者は知らぬかもしれぬが

この玉鳳は百人から始まった

知っての通り

今 この戦況にあっても本営からの指示も

援軍も来ることはない

兵糧も尽きかけ

いよいよこの右翼には後がない

つまり我々の玉鳳の自力で打開するしか道はない

だがそれこそが玉鳳本来の姿だ

この隊はこれまで何度も何度も

自力で試練を乗り越えてきた

この玉鳳は俺の初陣と共に誕生した

俺は・・・初めから父  王翦軍の外にあり

そこから一度も王翦軍に入っていない

俺の戦いは玉鳳と共に始まり

今に至る

つまりは俺の槍も命も

ずっとお前達と共にあった

俺はそれを本当に誇りに思っている

今この戦況はこれまでの中で

最も厳しいものだ

打開策も見出せぬ程の苦境だ

だが勝たねばならぬ

他を頼らずこの玉鳳の力で

勝たねばならぬ

友よ 力を貸してくれ

聞け玉鳳

俺は王一族統主を継ぐ者として

秦国随一の大将軍にならねばならぬ

それが俺の道だ

この道を阻まんとする敵は・・・

(叩き潰す!!)

(どんな敵であろうと)

(叩き潰す!!!)

出るぞ玉鳳

我らが道をっ

切り開く!!!」

※( )は信、王賁以外のメンバーのセリフ

そして、この語りのあと飛信隊と玉鳳隊は覚醒を成し遂げ絶望的と思われていた状況から敵に大打撃を与え、圧倒的な戦果をあげるのです。

信と王賁は何を語ったのか?

リーダーのスピーチ(語り)によって、チーム(隊)のメンバーの熱量(士気)があがり、成果をもたらしたという点は同じですが、信と王賁の語った内容そしてメンバーの熱量が上がる過程は異なると僕は考えています。

まず、信と王賁に共通する部分をみていきましょう。

二人に共通するのはチームの在り方を過去、現在、未来というストーリーとして語っている点です。

信の場合

この飛信隊は百人隊から始まった(過去)
今は右翼全体を仕切る将も居なくなって〜(現在)
俺はお前達と一緒に天下の大将軍まで突っ走るんだ(未来)

王賁の場合

この玉鳳は百人から始まった(過去)
今 この戦況にあっても本営からの指示も〜(現在)
秦国随一の大将軍にならねばならぬ(未来)

キングダム・note用-3

今に至るまでの原点(過去)について語り、現在の苦しい状況について改めて認識を共有しながらも、自分たちが真に向き合うべきは今の状況ではなくあくまで大将軍になるという未来だということを思い起こさせ、奮い立たせる。

辛い状況下では目前のことにしか目がいきませんが、あくまで遠い先こそがゴールであると思い出すことで、現在の状況は通過点に過ぎないと認識を改め苦境に対して立ち向かう力を生み出します。

そういった構図が共通しています。

では一体何が異なるかというと信と王賁の語る目線とチームメンバーとの関係性です。

信と王賁の目線とメンバーとの関係性について

まずは信の目線について説明しましょう。

信のスピーチの主体はあくまで自分自身です。

その証拠に至るところに「俺」という単語が頻出します。

勿論メンバーと一緒に大将軍までの道を歩む、という主旨のことを語っていますが、「俺はお前達と一緒に天下の大将軍まで突っ走るんだ」というセリフがあるように「自分が主体となって走るので一緒に行くぞ」というニュアンスが感じられます。単純に「俺たち」という単語でも代替できる部分を敢えて、「俺はお前達」と「俺(=信)」と「お前達(=チームメンバー)」を分けていることからおそらくそうではないでしょうか。

飛信隊のメンバーは古参の隊員も多いことから、メンバー同士の絆が深く、夜は酒を酌み交わして宴会をするなど仲も良いです。隊長である信も率先して宴会に参加したりとメンバーとコミュニケーションをとっていますし、軽口を叩きあったりと壁を感じさせることはありません。

しかし、実はほぼ同じ目線に立ちながらも信とメンバーの間には常に信のほうが少し上にいるという関係性が成り立っているのです。単純な上下関係ではなく、いうなれば信は飛信隊のガキ大将です。

一緒に騒ぐし、バカもする。だけれども決断や選択は信が行い、メンバーを導く、そしてその関係性をメンバーも望んでいるふしがあります。

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それに対し、王賁のスピーチの主体はチームです。

「我々の玉鳳の自力で〜」や「我らが道をっ」というセリフなどから王賁はスピーチの主語をチーム全体にし、目の前の課題もチーム全体の課題として捉えています。更に初陣から玉鳳が自分とともにあったことや、王翦軍に入れない自分の支えとなる存在であったことを吐露しています。

信が自分が主体となりチームに語りかけるのは

「お前たちは(俺と一緒に)大将軍への道を駆け上がる」という主旨なのに対し

王賁のチーム主体のスピーチは

「俺は(お前たちと一緒に)大将軍への道を駆け上がる」という事を言っています。

つまりチームメンバーの目線を自分に向かせているか、自分がチームメンバーへと目線を向けているかの違いです。

そして、王賁がチームメンバーに目を向けるという点に王賁のスピーチの最大のポイントがあります。

SWOT分析などから王賁とチームメンバーの関係性は上下関係、主従関係に近いものでしょう。

それは王賁自身の堅物な性格や、名家の跡取りであること(そして玉鳳隊のメンバーもおそらく王家の従者の家系である可能性が高いこと)に起因します。

つまり王賁とメンバーの関係性は以下でしょう。

無題のプレゼンテーション-14

しかし、スピーチの際王賁は自らこの壁を破り、境界線を超えました。

上下関係ではなく、メンバーとまったく同じ目線に立ったのです。

そのことを現す印象的なセリフが

友よ 力を貸してくれ」の一言でしょう。

上記の関係性であれば「友」という言葉はまず出てきません。

「友」に上下関係はなく対等な関係だからです。

玉鳳隊メンバーがコミュニケーション不足とか、王賁とメンバーの間に不和があったということではなく、そもそもの成り立ちから上下関係が出るのは必然です。(そもそも軍隊とは上下関係が絶対な組織になります。)

それを王賁は自ら壊しました。

更には自分の抱えるコンプレックスを打ち明け、弱みを見せました。

リーダー自ら既存の関係性の認識を覆る言葉を発し、弱みを見せるというギャップを生んだのです。

ギャップとはつまり「萌え」です。

これこそが、僕が王賁をキングダム最大の萌えキャラと考える理由です。

真面目で堅物、心理的に一歩引いていると思っていたリーダーが自分たちを「友」と考え、その上自分の弱い部分までさらけ出してくれました。

メンバー目線で考えるとこれは嬉しい。めちゃくちゃ嬉しい。これは士気が上がる。

まとめると以下になります。

※便宜上、飛信隊のレベルアップ前を「レベルα」アップ後を「レベルα+1」

玉鳳隊のレベルアップ前を「レベルβ」アップ後を「レベルβ+1」

としています。

無題のプレゼンテーション-13

無題のプレゼンテーション-15

信と飛信隊のメンバーは心理的に近い距離にありますが、実はメンバーは信に引っ張られることを望んでいる。だからこそ、信は関係性を変えることなく、改めて隊のストーリーとビジョンを示すことでメンバーの熱量(士気)を引き上げました。

王賁と玉鳳隊のメンバーは常に上下関係にあったため、王賁は自らその関係性を壊し、メンバーと同じ目線にたちました。更には自分の弱さを吐露することでギャップを見せつけ、メンバーの感情を揺さぶりつつビジョンを示すことで熱量(士気)を引き上げました。

つまりチームの熱量を上げるためにリーダーに必要なことは2つです。

キングダム・note用-2

②についての具体的な方法は、リーダーの性格やチームメンバーとの関係性によって変化するため一概に言えません。

信のようなビジョンドリブンタイプなら関係性を変えないことが響く場合もあれば、王賁のようなミッションドリブンタイプなら敢えてメンバーに対して普段とは違う目線にしてみることで響く場合もあるでしょう。

キングダムでも度々登場しますが、戦において大事なのは戦略と戦術です。

これはビジネスにおいても同じことがいえるので、キングダムはビジネスに通じる部分が多いとされています。

戦略とは「進むべき方向性やシナリオ」

戦術とは「目標(戦略)達成のための具体的な手段」

そしてより重要度が高いのは戦略です。

戦がはじまった時点で、いや戦が始まる前から有利な状況を作っておくことが最も大事なのです。

戦略レベルで間違っていて、戦術レベルでなんとかなってしまうのは悪手などと言われますが、

今回の信と王賁のスピーチは本来であれば、そんなことをしなくても済むようにするべきだったかもしれません。

しかし、戦術レベルでさえどうにもすることができなくなった際、最後に必要なのは熱量(士気)を上げて、とにかく頑張る、ということなのです。

そして、迎えたくなくても場面もそんな状況を迎えることもあるでしょう。

そんな際にはぜひ信と王賁のスピーチを思い出してみてください。

そして、あなたなりのスピーチでチームを盛り上げてみてほしい。

それが響けば、もしかすると絶望的な状況から圧倒的な成果を上げることができるかもしれません。

個人的にいえば、僕は王賁のスピーチが好きです。

真面目で堅物だった王賁が「友」という単語を使ったことの破壊力がやばいです。こいつめっちゃ仲間のこと想ってたんや、と感動しました。

おそらく信は「友」という言葉は使わないし、使ったとしてもあまり響かなかったのではないかと思います。(どちらかというと仲間、ダチなどがしっくりきます)

王賁まじ萌キャラ。(このエピソードのあとにも王賁の萌えポイントが出る場面があるので、気になる方はぜひコミックスを読んでみてください)


余談ですが、11/19にキングダム知識王に参加します。

復習のためにキングダムを読み返していたら、キングダムに対してより深い理解を得るためにnoteを書かねば!と思いたち人生最長のnoteを書きましたが、戦略レベルで間違っていたような気がしてなりません。


もし良いと思ってお気持ちをいただけるとやる気がでます。コーヒー代にします。