知覚的存在であるが故に<経営論>

「人間は知覚的存在であることを生かすべきだ。」


ドラッカーの言葉を簡単にまとめると、こんなことを言っているようだった。



成果をあげるために必要なもの

”組織に働く者の置かれている状況は、成果をあげることを要求しながら、成果をあげることを極めて困難にしている。まさに自らが成果をあげるよう意識して努力しない限り、周りを取り巻く現実が彼らを無価値にする。”
ドラッカー名著集『経営者の条件』より

この言葉が何を意味しているのか、全くちんぷんかんぷんだった。しかしながら、結論は最初に言った通りの内容だ。

成果をあげることを困難にする状況としてドラッカーは4つの現実をあげている。(1、1つのことに集中できない環境であること。2、そもそも日常業務が大変だということ。3、組織に属していること。4、組織の中に属しているが故にその色眼鏡で世間を見てしまうこと。)


このように、普通にやっていては成果をあげることが困難な現実に属している我々は、どのようにして成果をあげる必要があるのか。


ドラッカーはこう言う。

特に重要なこととして、組織の中に成果は存在しない。全ての成果は外にある。企業の場合、顧客が製品やサービスを購入し、企業の努力とコストを収入と利益に変えてくれるからこそ、組織としての成果がある。
ドラッカー名著集『経営者の条件』より

なるほど。つまり我々が成果をあげるためには「組織の外」に目を向けることだと言うことらしい。

いかに効率よく仕事をこなすことでもなく、いかに集中して仕事をこなすよう環境を整えることでもなく(もちろんそれらは成果をあげるための邪魔者ではあるが))、いかにお客様に製品やサービスを消費してもらうかを考え、行動することだと言うことだ。


しかしながら我々は組織の中に存在しているためにそのように行動することがなかなかできないとドラッカーは言うのだ。

ただ、我々が仕事で成果をあげるために必要なことは、とてもシンプルなことだった。


外の世界(組織の仲間や自分自身ではなく、お客様)に目を向けることだ。


ではどのようにして外の世界に目を向けるのか

ここで重要なキーワードが「知覚」だ。

人間は日々知覚する。暑い、寒い。美味しい、まずい。好き、嫌い。
このように人間は外からの刺激を受けて、それを言葉や行動で反応する生き物だ。


ドラッカーは言う。

外の世界における真に重要なことは「趨勢(物事の先行き)」ではない。「趨勢の変化(点)」である。この外の変化が組織とその努力の成功と失敗を決定する。しかもそのような変化は近くする者であって、定量化したり定義したり、分類するものではない。分類によって数字は得られるが、そのような数字は現実の状況を反映していない。
ドラッカー名著集『経営者の条件』より

つまり、個人個人の肌感覚が大事なんだと言うのだ。人間の知覚能力は「趨勢の変化」を肌感覚で感じ取ることができるが、コンピュータによって数値化されたものは「過去」のものに過ぎず、「趨勢の変化」を捉えていないと言うわけだ。



4つの現実は変えられない

ドラッカーは仕事における4つの現実は変えられないと言う。もう一度4つの現実をあげておこう。

1、1つのことに集中できない環境であること。
2、そもそも日常業務が大変だということ。
3、組織に属していること。
4、組織の中に属しているが故にその色眼鏡で世間を見てしまうこと。

この4つの現実は、我々から「外の世界への知覚」することを妨げてしまう。だからこそ、意識的に外の世界を知覚するべく努力しなければならないとドラッカーは言うのだ。

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