動物はいつでも生きようとしている
羽尾先生の気持ちは暗く沈んでいた。
理由は明白で、担当していたトイ・プードルの安楽死をしたからだった。
安楽死にはある程度の基準があり、ご家族の強い希望や治らない病気や痛みや苦しみが、その対象になる。
それまでにも安楽死をしたことが無いでもなかったが、今回は釈然としない気持ちでの処置だった。
実際にあの決断は正しかったのか、それしか道は無かったはずなのだが、それでも他に何かやりようが無かったか。
少しでも気を緩めると、羽尾先生の思考はその堂々巡りに陥ってしまう。
そんな羽尾