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「ボールを持ったらゴール(リング)を見ろ!」というのは適切な指導?

ボールを持ったらまずリングを見る?


「ボールを持ったらまずゴール(リング)を見ろ!」

こういう言葉、

バスケットボールの指導者からよく耳にしますよね?

しかし!私はこれを不適切な指導だと考えています。

もしゴールの位置が分からないのであれば、

そのような表現や指導は適切かもしれませんが、

基本的にゴールは移動しません。


言い方を変えると、

実際の試合中

ゴールを「見て」プレーをしているのではなく、

ゴールを「意識」してプレーをしているわけです。


ボールをもらってからの流れ



昔から言われる一般的な指導としては下図のように

ボールをもらう → ゴールを見る → 前が空いていたらシュート

という流れではないでしょうか。


ボールをもらう

画像1


ゴールを見る

画像2

前が空いていたらシュート

前が空いていたらシュート



初心者へこの流れで指導するのは理解できますが、

誰に対してもこういった指導を行うことに

私は疑問を感じています。


果たして本当にゴールを見る必要があるのか


それでは、実際に画像を追って検証していきます。


①ボールセーブ(保持)時ディフェンスがついている時

一連の流れとしては

ディフェンスがついている
= ノーマーク・オープンではない
= シュートが打てない
 
という判断になります。

先程の流れに当てはめて、画像を添えてみてみましょう。


ボールをもらう

ボールをもらう②

ゴールを見る

ゴールを見る②

前が空いていたらシュート

だが・・・

前が空いていたらシュート②



このようにシュートが打てない状況下でゴールを見るのは、

無駄な動作です。

すなわち、

ディフェンスがついている 
= シュートは打てない
= ゴールを見る必要性なし! 

ということになるので、

ゴールを見なくても良いと言えるのではないでしょうか。


②ボールセーブ(保持)時ディフェンスがついていない時

こちらの一連の流れは

ディフェンスがついていない
= ノーマーク(フリー)の状態 
= シュートを狙える

といったところでしょうか。

再度、先ほどの流れに当てはめて

確認していきましょう。

ボールをもらう

ボールをもらう③

ゴールを見る

ゴールを見る③

前が空いていたらシュート

前が空いていたらシュート③


この場合はシュートを打てる状態のため、

ディフェンスがついていない
= シュートは打てる
= ゴールを見る必要性有り!

となりますので、

「ゴールを見ろ」という表現でも構わないと考えられます。


①②の状態をプレー中理解するには、

ボールを貰う前の段階で

ディフェンスを見ているか見ていないか、

把握しているか把握していないか、が大きく関わってきます。


基本的に「ゴールを意識する能力」と

「ディフェンスを見る能力」は

全く別物
なのですが、

多くの指導者は、

これをごっちゃにしている傾向にあります。

非常に重要なポイントは、

どちらにフォーカスして指導をしているか
です。


「ゴールを見ろ」ではなく「ディフェンスを見ろ」?


「ゴールを見ろ」という指導は、

シュートが打てるか打てないか“だけ”を判断するものです。


一方、

「ディフェンスを見ろ」という指導は、

ディフェンスの状態を把握・判断して

パス、ドリブル、シュートの中で

最も良い選択をさせることに繋がります。

ゴールばかり見ていると

ディフェンスの状態は分かりません。


この「ディフェンスを見る」行為は、

ボールをもらう前から既に始まっています。

ボールをもらう前にディフェンスの状態を把握し、

ボールをレシーブしたら

ディフェンスと味方を視野に入れることが、

最も良い選択をする上で望ましいと

言えるのではないでしょうか。


時々上手い選手がゴールを見てプレーすることがあります。

基本的にこの行為は

ゴールを見ている“ふり”をしているだけです。

ゴールを見ているふりをしながら、

ディフェンスの動きを感じ取ろうとしています。


上記の1つの例として、

ポンプフェイクが挙げられます。

ポンプフェイク時に視線はゴールを見ていますが、

意識はディフェンスの動きに置いています。

ゴールを見るのはシュートを打つ時と、

ポンプフェイクをする時のみになります。

ポンプフェイク


以上のことから、

「ボールを持ったらディフェンスを見ろ!」が、

適切な指導なのではないかと、

私は考えています。

このことに関しては、

“視覚に頼る選手は二流、視覚に頼らない選手は一流”

という言葉もあるほどです。


3つの「見る」


せっかくの機会なので、

ここでボールをレシーブするまでの動きと視覚の関係性について

考察します。

私は、大きく分けて

以下の3つの「見る」があると考えています。


①状態を見る

自分のディフェンスがどのような状態になっているかを見る、

という「見る」

状態を見る



②部分を見る

カット、スクリーン等のプレーをしてボールをレシーブする。

この際にもディフェンスが遅れているのか、

動きの先取りをしているのか、

コースに入っているのかを視野に入れる、

という「見る」

部分を見る



③全体を見る

ボールをレシーブした時に

ディフェンスが何処にいるのか(前、後、斜め)を

把握しなくてはならない(ポジショニングのズレ)。

自分のディフェンスを視野に入れながら周辺視野で全体を見る、

という「見る」

全体を見る



いわゆる”状態を見る”、”部分を見る”、”全体を見る”

この3つの「見る」を使い分けることができれば、

判断と選択が変わるきっかけになる
かもしれません。

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