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日帰りバス旅行の愉しみ

かれこれ10年以上前の話になるが、最寄り駅から出発する日帰りバスツアー「成田山新勝寺、香取神宮、鹿島神宮初詣の旅」というのに申し込んだ。
新聞の折り込みチラシか何かでたまたま見つけたツアーだった。
初詣ツアーは1月いっぱいやっていて、わたしは1月下旬の回に参加した。

夫を誘ったら、行くと言ったので、2人分申し込んでいた。

ところが当日になって、夫がドタキャンした。
夫は若い頃に社員旅行でバスに乗り、酷く酔ったことがトラウマになっていた。
その上、前日飲んだワインで二日酔いになった。
夫は酒豪だが、体質的にワインが合わないらしい。

じゃ、ひとりで行ってくるね。

わたしは初めてのバスツアーに意気揚々と出掛けた。

日帰り旅行は着替えも化粧品も持っていかなくていいので、とても身軽だ。

目的地まで、ただバスに乗っていればいいというのも気楽だ。

夫のキャンセル料は思ったほどかからなかった。
2人席をひとりで占拠できるしあわせ。

それまで旅といえば、どこへ行くにも誰かにプランを練ってもらい、ただ付いていくだけだった。
バス旅行も何も考えなくていいという点は同じだが、集合場所、集合時刻は自分でしっかり覚えておかなければならない
バスの車体も間違えないようにちゃんと目に焼き付ける。
適度な緊張感がなんとも新鮮だ。

このツアーは毎年人気らしく、常連さんもいるようだった。

道中、車内でいろいろな紙が回ってくる。
成田山新勝寺のお札の申し込み書。
バス内で食べるお弁当。
千葉銘菓や鉄砲漬けなど、各種お土産の申し込み書。

至れり尽せりだ。
申し込めば、お札もお土産もバスを降りる時に用意されている。

香取神宮、鹿島神宮などはたぶんこのツアーに参加しなければ行くことはなかっただろう。
神宮というだけあって、どちらも立派なお宮だった。

途中、酒蔵に立ち寄って鏡開きなどもした。
お酒を買いたい人は買い、買いたくなければ買わなくていい。 
味見だけでもいい。

トイレ休憩を兼ねた立ち寄り先は何箇所かあったが、強引に何かを売りつけられたりはない。

バス旅行って楽しいな。
一人旅も呑気でいいな。

これに味を占めたわたしは、以後何度かバス旅行に参加した。