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ユーザーインタビューで聞いてみるとよいこと

クックパッドでデザイナーをしているkenjow @kchil です。

さてみなさん、ユーザーインタビューしてますか?私は今年もたくさんのユーザーさんとオンラインでお会いすることができました。

最近ではUXリサーチャーがいる組織も多いようですが、クックパッドではデザイナーやディレクターがユーザーインタビューを行っています。

プロジェクトを前に進めるにあたって必要なタイミングで、顕在化していない課題を探るためのインタビューや、施策が有効かどうかを確かめるためのユーザーテストを行います。

私は元々UIデザイナーなので、ユーザーインタビューのスキルについては素人ですが、これは聞いてみるとよい!と思うことについてまとめてみました。

比較的初心者向けの内容になっていると思います。


日常について聞くこと

インタビューの出だしでは、家族に関する話や普段よく作る料理など、日常的な話をしますが、これがとても大事な時間だと感じます。

まず、アイスブレイクの意味合いがあります。

初対面の人と話す場面では誰しも緊張しますよね。自然体で思ったことを話してもらえた方がユーザーさんの本音を引き出せるのでより有意義なインタビューになります。

家族構成を伺った際にお子さんの話題を振ったところ、それまで緊張して強張っていたユーザーさんの顔がふわっと緩み、たくさん話してくれるようになったこともありました。

また、アイスブレイクの意味合いだけでなく、ユーザーさんのバックグラウンドを知る意味でも重要です。

例えば普段の料理ではどのように献立を決めているのか ―家族や自分の食べたいメニューなのか、週末にまとめ買いした食材でレシピ検索をするのか―ー といった質問から、そのユーザーさんの普段の料理スタイルや、料理に対する価値観が見えてくることがあります。

それを知ることで、例えばユーザーテストをした際のプロトタイプへの反応に対し、そのユーザーさんはなぜそのような行動をとったのか・なぜそのようなことを考えたのかといった理由を分析しやすくなります。

もしユーザーさんのバックグラウンドをよく理解しないままユーザーテストをしたとして、プロトタイプへの反応が芳しくなかった場合に、それがなぜなのか判断がつかなくなってしまうことがあります。

そのユーザーさんが施策のターゲットから外れているのかもしれないし、そうではなくそもそもの仮説が間違っているのかもしれないからです。

過去の行動について聞くこと

例えば定量調査の結果から「ユーザーはクックパッドでレシピを決定できていないのではないか」という課題が浮かび上がったとして、その理由と解決の糸口を探りたいとします。

そのときに、「クックパッドはレシピ決定の役に立っていますか?」と直球で聞いてしまうのではなく、「最近クックパッドを見て作ったレシピはありますか?」と過去の行動について尋ねた方が情報を拾いやすいです。

前者の場合、以下のような会話の流れになることが想像できます。

私「クックパッドはあなたのレシピ決定の役に立っていますか?」
ユーザーさん「はい、役に立っています」
私「なぜそう思いますか?」
ユーザーさん「うーん、クックパッドをよく使うからです」

このときユーザーさんは「レシピを探す時によく目にするクックパッド」という印象から漠然と回答している可能性があると思います。

このような会話になってしまうと、実際にレシピ決定の役に立っているのかいまいち理解が得られない状況になってしまいます。

一方で、過去の行動から探っていくともっと情報量を増やすことがしやすいと思います。例えば以下のような会話の仕方です。

私「最近クックパッドを見て作ったレシピはありますか?」
ユーザーさん「うーん、ポテトサラダを作りました」
私「それはいつ頃ですか?どのようにサイトへたどり着きましたか?」
ユーザーさん「先週だったと思います。じゃがいもで検索したらクックパッドが出てきたのだったと思います」
私「そのとき他のレシピサイトも見ましたか?」
ユーザーさん「見たかもしれないです」
私「ではそのときなぜクックパッドのレシピに決めたのでしょうか?」

このような感じで過去の行動ベースで質問を掘り下げていくと、「実際にユーザーがレシピ決定できているか」「できている時はなぜか」「できていない時はなぜか」を具体的に知ることができそうです。

実際のユーザーの行動やそのときのモチベーションを知ることで、実情や見えざる課題に迫っていくことができると思います。

「最後に何かありますか?」と聞くこと

一方的に質問して終わるのではなく、ユーザーさんからの発言の機会を最後に作るようにしています。

ユーザーさんが言い残したことを拾えることもあるし、ユーザーさんがサービスに対して抱いていた疑問について答えるチャンスになることもあるからです。

ちょっとしたエピソードですが、先日「こんな内容で大丈夫でしたか?」と質問してくださったユーザーさんがいました。

「もちろん大丈夫です、とても参考になりました」と答えたところユーザーさんはホッとした顔をして「クックパッドならよく使っているから、私でも役に立てるかと思って…」とおっしゃってくださいました。

ユーザーさんは不安な気持ちを抱えながらも勇気を出してこの場に来てくれているのだということを実感した時でした。

私もユーザーさんの気持ちを知って嬉しく思いましたし、ユーザーさんの不安を払拭することもできてよかったと思いました。

今後もサービスを使い続けてもらえるように、最後は気持ちよく終わることができると嬉しいですよね。

まとめ

インタビューもデザインと同じように専門技術だと思うので、色々とテクニックがあるとは思いますが、結局は人同士の対話を大事にすることがうまくいくための一つのコツのように感じました。

インタビュースクリプトも、基本的にはインタビューの目的を整理するために行い、当日はスクリプト通りには全くしゃべらないことが多いです。

相手が違えば、話す内容は全く違う順序になることが自然だからです。

友達と話すときのように、相手はどんな気持ちでどんなことを考えているのだろう、それを知るためにはどのような質問をすればいいか・・・と考えていくと知りたいことを知ることができるように思いました。

ところで

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少しでも興味を持って頂いた方とお会いできることを楽しみにしています👋

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