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ラスボスが高人さんで困ってます!37

「アッ……あ゛ぁッあっ!」

「高人さん凄い。……いい匂い。気持ちいいですか?」
ゴプッゴチュッと淫らな水音を辺りに響かせて俺は彼を汚し続ける。何度彼の中を俺の欲望で穢しただろうか。溢れる白濁を見つめ収まらない欲求に眉を顰める。
「アッぁっんん」
動く度にビクビクと身体を痙攣させ、涙と涎を垂らして虚ろに空を見上げて快楽だけに浸っている。
「……もう聞こえてないか。」
高人さんが気持ち良さそうならそれでいい。蕩ける彼をうっとりと見つめる。
こんな山の中で、後先考えずに盛って……彼をぐちゃぐちゃに汚してる。これじゃ獣となんら変わらない。
「こんな最低な事をしているのに、俺は貴方が恥辱に塗れ泣いてる姿にも欲情するらしいです。」
その罪悪感にすら高揚してしまう。押さえ込まれた高人さんを見て優越感が抑えられない。
「どの辺りに出すのが一番孕みやすいかな。やっぱり奥ですか?」
高人さんを抱き締めて、グリグリと彼の奥に自身を捩じ込むと壁に自身を擦り付けるように腰を動かす。
「はぁ……ァッゔぅッ」
「ほら、一番奥に、俺のがあります。分かりますか?」

彼を抱き締め、流れる涙を舐めとる。
後の事なんて、どうだっていい。ただこの欲を満たしたい。彼が逃げられないよう俺の匂いを纏わせておかなきゃ。

亜人の本能?龍の本能?人間ではない何かが囁いている気がする。彼のモノを片手で弄びながら。快楽を追うように腰を動かす。
「あんッあぁっいくっまたッ……――ッ!!」
「……――ッ!」
彼のモノが欲望を吐き出すと同時に、俺のモノが締め付けられ彼の奥にドクドクと子種を注いでいく。
高人さんは気を失いクタリと力無く横たわっている。

「はぁ……はぁッ」
俺がゆっくりと自身を引き抜くとコポッと白濁とした液体が溢れ出た。

スッと発情期の昂りが消えていく。同時に罪悪感が襲ってきた。

下に敷いてい高人さんの着物はぐちゃぐちゃで、彼の洋服だって精液まみれだ。目尻には涙の跡。
見るに耐えない惨状に、俺は手で顔を覆って深い深いため息を吐いた。
「…………反省だ。」
とりあえず、高人さんを綺麗にしてあげたい。軽く衣類を整え着物の下から手を入れて彼を横抱きに抱えると、湖に戻る。

水があるのは有難い。
柔らかい草の上に彼を寝かし、アイテムボックスからタライと、巾着袋を取り出す。

「ほんと、何でも入って便利だな。」
タライに水を汲みその中に袋から取り出したら小石を入れると、見る間に湯が沸く。好みの湯加減になったら小石を取り出して巾着に戻してまたアイテムボックスに放り投げた。

ぐちゃぐちゃに汚れた上着を脱がせて、湯で絞ったタオルで身体を拭いてやる。俺の予備の服を着せ、下半身も丁寧に拭いてやる。中に出した精はそのまま触らない。
下はすぐさま脱がして行為に及んだだめ汚れておらず、また着せ直してやる。高人さんをマントの上に寝かせ直すと、俺はせっせと彼の汚れた服と着物を洗ったのだった。

昨晩はすっかり眠ってしまい、今日に至っては太陽が真上に昇るまで行為に耽っていたため、食事を摂るのを忘れてしまっていた。

「無理させちゃったしな。」
好きなもの、食べさせてあげたい。そういえば、港の魚料理を食べたいと言っていた。ここからフィノス港までは徒歩で七日ほどだ。

だが、今の彼を歩かせるのは無理だろう。テントはあるが、こんな寒空で休ませるのも身体を冷やしてしまう。

「空間を繋げる……か。」
高人さんは、無闇に高等精霊を喚ぶなって言ってたけど、難しくないと自分では思っている。感覚的なものではあるけれど。

――"崩壊と創生の象徴よ"――
――"全てを抱きし時空の精霊よ"――

そこまで言霊を呟くと、フッと辺りが闇に包まれた。

「……!?」
『おやおや。君が呼んだのかい?龍の子よ。』

真っ黒の髪をした金色の瞳の見目麗しい青年が宙に浮いてこちらを見ている。辺りは暗闇なのに彼の姿だけは良く見える。
「貴方が、時空の精霊ですか?」
『いや、僕の管轄は空間そのもの。君を含めるすべての生命を抱く者。君とは一度会っているんだけど、憶えている?』
いや……こんな凄い美人に会ったら覚えていない筈がない。
「……申し訳ありません。俺は普段精霊は見えないんです。」
そう俺が言うと、青年は大して気にもしていない風に笑った。

『あはは。いいよ。見たところ君は人間族に近い存在のようだね。けれど本質は龍だ。……面白いね。』

空間と時間は一つなのだと思っていた。そういえば、高人さんも、時間と空間は別に表現していた気もする。

そんな事を考えていると、青年が俺の顔をズイッと覗き込んできてビクリとする。
俺が驚いていると、青年は何かに気付いたように目を見開いた。

『ああそうか君か!あの時は澱んでいたけれど。なるほどね。見事だ。クロが気に入るだけはある。いいよ。僕も気に入った!願い事を聞こうか。』

「……???」
もう、青年が何に納得して、どこを気に入ったのか、俺にはさっぱり分からない。
『ん?なんだい?なんか頼みたい事があったんだろ?』
きょとんとする青年に、俺は困ったように彼を見る。
「あ、いや……そうなんですが。」
『ん――?なにか言いにくい事でもあるのかい?』
「どうして、俺なんかを気に入ったのかなと。」

『あっはは!君は僕を呼び出したんだろう?面白い子だね。どうして……、って言われると、僕の妻が君を気に入っているんだよ。いまだに君の要望を叶え続けてるんだ。だから僕も君に興味があった。それだけさ。さぁ、龍の子よ。願いを言え。我が名はアレス。』

名を聞いただけでゾクリとする。輝く金色の瞳、端正な顔立ち。神という存在に近く感じる。

そんな精霊が名を教えてくれた。それは、束の間に自分を使役しても良いと承諾してくれた事に他ならない。使っても良いと言うならお願いしてみよう。

「アレス。この森から港町フィノスまでの道を開いて下さい。」
すると、アレスはニコリと笑った。
『分かったよ龍の子。其方にユグドラシルの加護が在らん事を。』

暗闇とアレスは光の中に消えていき、辺りはまた明るく湖の畔の景色が広がる。景色が完全に元に戻ると、サァッと風が吹いた。
俺は眠る高人さんを抱きかかえる。時間は然程経ってないようで良かった。

辺りを見回すと、目の前にポッカリと別の景色が見えた。それは裏路地のような煉瓦造りの建物だ。明らかに森ではない。俺はその中へ足を踏み入れる。

瞬間、潮風が香り、海鳥の鳴く声が聞こえ目を見張る。

本当に、来れてしまった。

元来た道は既に閉じており、もう森へは帰れない。
腕の中の高人さんは、スゥスゥと寝息をたてている。良かった。これで休ませてあげられる。

「とりあえず、宿を探すか。」
俺は彼を抱えたまま、午後の港町を歩き始めた。


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