見出し画像

読書感想「バズる文章教室」三宅香帆

「保育園落ちた日本死ね」

というフレーズがバズったことを覚えてる方も多いと思います。これを目にした時、「天才か!」とショックを受けました。切れ味の鋭い日本刀みたいだなと。

そんなわけで三宅香帆さんの「バズる文章教室」を読んでみました。

本のタイトルから「バズる文章」のノウハウが書いてあるのかなと思ったが、そうではない。文章の技術的な書き方というより、読んでもらうための文芸的な言葉の工夫やヒントを、作家の文章を紹介しながら分析し法則を見つけて言語化されています。

「みんなに好きになってもらえる文章を書けるようになること」が作者の意図するところです。はるか昔、自分が英文学科の学生の頃、授業がこのような分析のやり方をしていた授業だったので、とても懐かしくたのしく読めました。

ご自身が「文芸オタク」とおっしゃっているとおり、ほんとに楽しそうに分析されてるのがものすごく伝わってきます。文体のすばらしさの謎解きをする反面、この文章を下手に書くとどうなるかという例も書かれていて「なるほど!」と納得します。

訓練すればできそうなテクニックもあれば、これは作家の持って生まれたセンスだから凡人には無理ゲーやん!というのもあります。

星野源の未熟力
村上春樹の音感力
綿矢りさの簡潔力
司馬遼太郎の撮影力
秋元康の裏切力
又吉直樹のかぶせ力
そして私が尊敬してやまないナンシー関大先生の警告力などなど。
文豪からタレントまで、さまざまな分野の方の文章が取り上げられています。

「ああ、私はここういう理由でこんな文体が好きだったんだな」と気づかせてくれたことも大きな収穫でした。

文章を書く方は読んでみてください。書かない人も自分のすきな文体に出会えるかもです。

いつか「アマゾンレビュ―文芸」とか「週刊文春文芸」とかの分析もやってみてほしいです。著者による「あなたの文体分析しますコンサル」などがあれば一番に申し込む自信ありです。




#読書感想文 #バズる文章教室 #三宅香帆 #文体


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?