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「ウディ・アレン追放」【読書感想】

私を会員にするようなクラブには入りたくない

グルーチョ・マルクスの名言で始まるウディ・アレンの「アニー・ホール」。

このシーンが妙に刺さり、大好きになった映画だ。これをきっかけにウディの映画にハマっていく。

NYで映画の聖地巡りをするほどファンだったが、実際のところ例の性的虐待の事実はどうなんだろうと思い、この本を手にとってみた。

ウディ・アレンの人生って、彼の映画の主人公そのまんま。私小説ならぬ私映画。映画を見れば彼の人となりがわかると思う。やはり若い女性が彼の好みなんだろうなと。でもそれ自体は悪いことではない。

当時交際していたミア・ファローの養女であるスンニとウディが関係をもったということで「え?養女と?」となった。でも、スンニは実際はミアとミアの前夫との養女である。

ミアとウディは交際していたが結婚していなかったし、生活を共にしていたわけでもなく、ウディはスンニに父親らしいこともしていない。

まあでもミアにしてみれば自分の養女と自分の恋人がそういう関係になってしまったのは、彼女を狂わせるには充分な要素だ。

そこからミアとウディの愛憎劇が始まる。

そこで出てきたのが、ミアの別の養女ディラン(彼女はウディと養子縁組しているので養父はウディ)への性的虐待疑惑だ。色々あってややこしいので興味のある人はwikiなどみてください。

その後#metoo運動でウディの性的疑惑が再燃したりするのだが、もう結局本当のところは、本人たちにしかわからない。

すべての容疑は同じでなはない。中には非常に複雑で、白黒つけられない、あるいはアクティビストの望む形に収まらないものもあるのだ。人はいつも、自分の信じたいことを信じるものなのだ。

ザ・ガーディアン紙 ハドリー・フリーマン

まさにこれに帰結するしかないんじゃないかと思う。自分の信じたいことをを信じるのが人なのだ。

疑惑が再燃して、ウディの映画の配給はキャンセルになり、俳優も離れていき、干されることになる。

ただ、彼の才能はすばらしいし、作品も評価が高い。でも彼のせいで今までの作品までもがキャンセルされることは是なのかは判断が難しいと思う。

作品と創作者を切り離せるか。

もしどんなに作品が素晴らしくても、創作者がテロで多くの被害者を出した犯人なら?幼児性愛の変質者なら?もっと個人的なところで言うと、自分の大事な家族の加害者なら?

やはり作品はキャンセルされるべきだと思うだろう。

でも一方で、少額の万引き犯なら?大麻の経験者なら?

今現在更生しているならそれぐらいはいいんじゃね?と思ってしまう。

また、犯罪を犯していてもバレてなければ世間的には何もないことと同じなのでその場合はどうなのか?

もっと言うなら、バロック期のイタリア人画家のカラヴァッジオ。殺人、投獄、脱獄そのほか素行の悪さで有名だがその当時も今現在も評価されている。

今も私は正解がわからない。

一気に読み終えたけど、いや~疲れた。ミアの粘着質も怖いし、ウディのクズさもひどいし。愛憎劇のドロドロは、ドラマなら面白いけどリアルだとしんどいわ。

ウディの映画は大好きなんだけどな。

#ウディ・アレン追放
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#愛憎劇
#エッセイ
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