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日本の大学生と、英語コーチング千本ノックした話

いまさら春先の話で恐縮ですが、先学期のはじめ、日本の大学生(留学生含む)50名を対象に1対1で英語学習についてコーチングセッションをする機会がありました。

対象となったのは、立命館大学で留学準備のためのコースを受講する25名×2クラス。立命館大学とは、昨年のイベントからのご縁です。

前回は言語コーチングについて知っていただくためのイベントでしたが、今回のミッションは学生一人ひとりとじっくり向き合い、英語を学ぶ理由や英語を使ってやりたいことなどの言語化を通じて、これからはじまる留学準備コースへのモチベーションを明確にしてもらうこと。4月、新年度第2週の授業にお邪魔して概要を説明し、その後はそれぞれにアポイントを取ってもらって、学生と直接やりとりするというかたちにしました。

実はこのプロセスには隠れアジェンダがありました。たとえば事前説明会では「英語の説明を聞き、英語のスライドを読み取る」。アポ取りでは「英語のフォームに慣れる」「自らアポを取る」「質問する」など。いずれも外国に留学したら絶対必要になるスキルです。留学準備コースはいわゆるオールイングリッシュを基本としながら、実際には情報を確実に届けることを優先しているとのことで、私も部分的に日本語を入れましたが、スタンスとしては日本式の手厚く親切なものではなく、ややアメリカ寄りの対応にして、学生たちに自主的に動いてもらえるよう心がけました。

ちなみにアポ取りには Calendly を使いました。予定変更があっても自動で Zoom に反映されるなど、とても便利で助かりました。秘書いらずです。

コースに向けてのモチベーションを確認するのが目的ですから、授業内容が本格化する前の数週間のうちに全員のセッションを終えなければなりません。セッションへの参加は任意にしたので、「ま、半分ぐらい来てくれればいいかな」と思っていたら、なんと希望者は49名。1人あたりのセッション時間は約20分。通常業務とは別枠で、入れ代わり立ち代わり大学生が画面に現れます。おかげで、ある週は平日昼間がびっちり埋まってしまい、「こりゃ千本ノックだな」と思いました。でもそう思ったら、1本終わるごとに次が楽しみになり、セッションの1つ1つを新鮮な気持ちで、かつ丁寧に向き合う覚悟ができました。

学生たちは高校を卒業したばかりの10代から、休学などを経た20代後半まで。日本の学部生にしては幅が広いですよね。専攻はいわゆる文系が多そうでしたが、映像など芸術系の人も。勇気を出して少しずつ話してくれる、最初からリラックスしていてのびのび話せる、などタイプもいろいろ。留学については、これから考える、まもなく出発する、予定していたけどコロナ禍で行けなかった、コロナ禍だったけど行けた、今度は別の国に行きたい、そもそも留学する気はない、などなどなど。

もちろん英語を学ぶ目的や将来の希望、目指す道は本当に人それぞれ。「夢を叶えるために英語は必須」から、「先のことはわからないけど、とりあえず英語ぐらいはやっといたほうがいいかな」まで、熱量にもかなり差がありました。また、現在の英語との関係についても、「がんばって勉強してきた英語をもっと使いたいけれど、機会がない」という人がいるかと思えば、「なんとなくやる気を失い、今は英語から離れている」と打ち明けてくれる人も。かと思うと、「外国人との接点が多く、自分の英語力をもっと上げなくては」と焦っている人も。アジアからの留学生とは英語でセッションを行いましたが、彼らがより高みを目指して悩みを抱えている一方で、彼らの存在自体が日本人学生たちの目標になっているという構造も見受けられました。

KEC では「“No two learners are the same.” (2人と同じ学習者は存在しない)」を前提としていて、学習者と会うたびに「本当にそうだな」と思うのですが、こうして同じ大学で同じ学期に同じクラスに居合わせた学生たちに集中的に会い、かえってその一人ひとりの違いが浮き彫りになるというのは興味深い体験でした。

千本ノック、なかなかハードですけど、コーチ側のトレーニングとしてお勧めです。笑 



Photo by Ben Iwara on Unsplash

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