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意識不明から目覚めたての漂流記

緊急手術を受けて、2週間ずっと目覚めなかったのですが、時は移りクリスマスを過ぎて、ようやく目を開き始めた頃の話をします。

目は開いていたけど、あの年末年始は、まだ半分夢の中にいました。
でもかなり鮮明に覚えていて、僕の中ではあれは本当のことなのです。
多分珍しい「意識不明から目覚めたての漂流記」を書いてみます。
フワッフワですがご了承ください。

<漂流中の世界>

半分夢なせいでとにかくトンデモな世界。でも全部嘘な訳ではない。お医者さんや看護師さんや、なんどもお見舞いに来てくれた両親は、当然実在していて喋ってるんだけど、喋っている内容がどうやら僕の中で誤変換されている。

そしてその時僕は、気管切開をしていて声が出せない(唾液を詰まらせたりしないための処置だそう)。
だけど僕の中では話せることになっていて、相手との会話は成立していることになっていて、トンデモな世界に拍車をかけているのです。

さらに、トンデモなシチュエーションはドンドン変わっていくし、前後関係もあやふや。でも、病室で見せてもらっていたテレビ番組をヒントに調べて、以降わかるところだけ推理してみます。

<漂流ストーリー>

12月26日
ICU(集中治療室)から病室が移った日。
ぼんやりした記憶しかないから最初の頃だと思う。
なんかよく分からない、縁起とかシキタリとか不気味なことを周りが話していた。自分でなんとかするなんて領域ではなかったからそう思ったのかなあ。

12月29日
お見舞い時間が終わって、お父さんが帰ってから、看護師さんに陰陽道か何かの、お札や呪文をふんだんに使ったヤバイ術で縛られて、どうしようもなくなった。なんでそこまでしなきゃいけないんですか!
(単に必要だったから拘束されただけなんだけど)

12月30日 
何故か映画を撮ろうとしていて、僕の役割は脚本だった。でも機材もないし誰もいないし途方に暮れていた(そりゃそう)
なんか韓国語のお祈りみたいなのが聞こえて、何かの宗教のルールが支配しているみたいだった。また陰陽道関連なのか…?

12月31日
夜中に、魔法みたいなのに掛かって全く寝付けなくなって、「魔法看護師」に解いてもらった。
周りの人も同じ魔法に掛けられていて、「夜中にだけ活躍する魔法看護師がいる」という世界だった。カッケェ…

1月1日
多分朝早く起きて、お正月の日の出とかを映す番組を見ていた。
途中から場面が代わり、北朝鮮の建国記念日用のミサイルの中に、国の威信をかけた最先端の人工知能として格納されそうになっていて(!?)なんとか逃げ出そうと考えていたけど全く隙がなかった。

途中で父さんが来て、頼むから家に帰らせて!と言ったんだけど、「じゃあ記念撮影したらな」とか意味の分からんことを言われ、写真の順番待ち?をしていたら父さんがトイレ?に行ってしまい、待ってたら寝てしまった。
最強スポーツ男子頂上決戦がやってたからやっぱり元旦のはず。

1月2日
起きたら朝3時とかで、お父さんと帰るつもりだったのに何故…ってなった。
今後は「Appleの新製品を作るチームになぜか抜擢された」というシュチュエーションになっていた。
製品作るとか興味ないんで帰らせてください!って言ってるのに、全然聞いてくれないし、しかもガンガンに縛られていた。

また本気で逃げようとして、縛られてた手足の紐を解こうとしたら、右手と右足がなぜか動かない(この時初めて気づいた)
左側の手足で解こうとしてるのがバレて怒られたので、また隙が見えるまで大人しくしつつ、解く算段を考えて、外れた後見つからずにどう逃げ切るか考えていた。そういえばここ何階だろう…

1月3日
この頃ようやく、ここが病院らしいと改めて把握した。
トイレに行きたくて、でも看護師さんに「便意を我慢するゲーム」だと言われてて(絶対言われてない)でももう耐えられない!!ってなって暴れていた。主治医が来たり、お父さんが来たりして、暴れるのを止められていた。
そもそも尿の管が付いてるし、オムツ付けてるし、我慢とか全く不要だったんだけれども…
(全国高校サッカー選手権とか、VS嵐とかやってたので、多分1月3日だ)

1月4日
朝から、正月も過ぎちゃいそうだし今日こそは絶対帰るんで!って言ってた。看護師さんに「そうですかー」と言われた。(もちろん伝わってないし帰れる状態じゃない)

帰りたいけど、ここがどこなのか分からない。住んでる東京なのか?実家がある愛知なのか?お金も持ってないし、服も変だし、どうしよう。親が運よく来てくれたらいいけどいつ来るかも分からないし…(入院していたのは東京の住んでいるシェアハウスすぐそばです)
誰かに連絡取ればいけるか!と思ったけど、俺のスマホ親が持ってる…何故24にもなった息子のスマホを管理するんだ…(心配だからだ)

1月5日
いやもう本当に今日こそは帰ります!って言って、看護師さんに「分かりましたじゃあどうぞ」って言われた(絶対言われてない)。
いくつかの点滴のうちで1つだけが正解で、それを探して自分で摂取しないといけないという、難易度高すぎる試験が出されて、正解できずにゲームオーバーになった。あまりに無慈悲では…
(看護師さんから見たら、謎に必死に点滴の管を咥えてる危険な患者…)

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ここまでが、年末年始の漂流記です。
創作していたら絶対出てこない支離滅裂っぷりですね。人間の頭の中って意味分からない。

でも一貫して「自宅に帰りたい」「年末年始だから実家に帰りたい」「解放してほしい」と主張していました。
あの時僕は本気でしたし、本気で暴れてましたが、もし誰かがこんなことになっていたらもちろん全力で止めてください。

夢から覚めて、自分の状況が分かってきて、焦り嘆き始めるのが次回からです。引き続きよろしくお願いします!


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