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描き終えるという永遠と、読み終えるという経験

今日、ひとつの連載を読み終えました。
大好きな作家、ながしまひろみさんの『鬼の子』。

夏休み前日。野球部を退部した中学生のみのるくんは、グラウンドで練習を眺める、ひとりの男の子に出会う。思わず「野球の見学?」と声をかけたみのるくんに、男の子は……。みのるくんと男の子、そして周りの人たちとのあたたかな交流を描く、「cakesクリエイターコンテスト」の入賞者・ながしまひろみさんの連載です。

『やさしく、つよく、おもしろく。』を読んでから、やわらかい、でも人間味を感じる絵に、ものすごく惹かれました。

『鬼の子』に登場するオニくんは、ながしまさんのTwitterにも前々から出てきていて。その時は『やさしく、つよく、おもしろく。』に登場するゆきちゃんと一緒で、同じくらいの背格好でした。

ツイートでイラストを見ているときは、オニくんとゆきちゃんは同い年なのかなと勝手に思っていたのですが。『鬼の子』では、ゆきちゃんは中学生。オニくんが出会うのは、ゆきちゃんと同級生のみのるくんで・・・・・・という話です。

詳しい内容については触れないのですが、今日更新されたばかりの最終回を読んで、穏やかな気持ちになりました。
大きな喜びや変化があっての終わりではなく、少しずつの変化とともに、毎日が続いていくような。読み終えて、「サイコー!」というよりは「ホッ。」とする感じがありました。

思えば、ひとつの連載を最初から最後まで、公開・更新されたリアルタイムで読み終えるのは、初めてかもしれない。もしかしたら過去にそういう作品はあるのかもしれないけれど、であれば過去のことすぎて覚えていないです。

一冊で完結する書籍を読み終えるのとは違う、既刊の話を読んで続きに追いつくのとも違う。作品が始まることを知って、スタートから一緒に話を追いかける特別な気持ちと、ちょっとだけの優越感がありました。

更新の間隔が少し空いてしまうと、「あ、大丈夫かな・・・・・・。」と少しだけ心配になったり。読めなくて残念だなという思いもありつつ、気長に待って、ながしまさんから更新のお知らせがあったら欠かさず読もうと。本当に勝手ながら、連載をするというその流れに、外側で併走しているような気持ちでいました。

第1話の公開から2年が過ぎた今日、連載が最終回を迎えました。作品の中の世界も1年の時が経っていて。そして、その倍の期間、連載があったということに、改めてあっと言う間に日々が過ぎたことを感じます。
作品の始まりから一緒になって追いかけて、最後のコマを読んだ瞬間。また本当に勝手ながら、達成感に似た、どこかにゴールをしたような気持ちになりました。

もちろん、達成感や連載を終えた気持ちは、書き終えたながしまさん自身が誰より大きいはず。
この『鬼の子』は、2冊の書籍として発売されることも決定しています。

手に取れる作品になると、ずっと残り続けるものになるんだなと思っています。よくよく考えたら、ネット上にある作品もそうだし、なんか古い考えなのかなとも感じましたが。

描き終えた作品がずっと残るのだろうなということと、描いている同じ時にそれを読み、読み終えたという経験。
結構嬉しいです。

書籍が発売されたら、購入してもう一度、いや二度三度と繰り返し読みます。
作品についての紹介や感想も、その時にまた書くことができたら。

本当に面白い、ふわふわと気持ちが動く、それでいて穏やかな気持ちにもなる作品でした、『鬼の子』。
ながしまさん、まずはお疲れさまでした。ありがとうございました!
また新しい作品が読めること、オニくんやみのるくん、ゆきちゃんもどこかで見られること、楽しみにしています。

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