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映画「私のはなし 部落のはなし」観ました

ジャック&ベティでの上映最終日(7/1)に観てきました。平日朝8時台にも関わらず、最終日だったこともありけっこう人が入ってた。長編だしなあと腰が重かったけど観とかないと後悔すると思いえいっと早起きして映画館へ…思うことは一緒ね。
途中休憩をはさむ長編、を観るのは久しぶり。が、まったく退屈せず面白かったです。よかった。
監督は、大学時代にドキュメンタリー「にくのひと」を撮影した人。各地で上映され好評だったとか。確かジャック&ベティでも上映していたはず…というのは思い込みだった。チラシは確かに覚えがあるのだけれど。パンフ読むと、一般の映画館(ミニシアター)上映は直前に中止になったとあります。
「にくのひと」は、部落解放同盟兵庫県連合会から表現に対し抗議があり、映画に登場していた人が監督に「もめたくない」と告げたことが、上映取りやめの決定打になったそう。封印されてしまったこの映画、観たかったな。
で満を期して、この映画。監督と被写体との深い信頼関係が、画面全体から滲み出てくるよう。地域ごとに違う背景、歴史、現状がわかりやすく伝わってきて、地理や歴史の観点からの解説十分でした。部落で暮らす人々の思いに、鋭くかつ温かくフォーカスしていて、そのバランスが素晴らしい。
映画では一人だけ顔出しNGだったけれども…心の中ではどうしても差別してしまうと告白する部落外の人…、匿名やボカシはありません。それは「破戒」や「橋のない川」が書かれた頃に比べ、部落に対する意識が随分変わってきたことを表している。
部落問題という通底するテーマとともに、ひとり一人の人生が深く迫ってきました。
印象的だったのは…部落解放運動に参加していたという高齢女性の話。女で解放運動に参加しているのは私だけ、夜勉強会に行くたび夫には嫌味を言われたけれど通い続けた、“勉強するたび、そうだったのかーとわかっていくから面白かったんですもん!”。きっと、怒り闘う気持ちよりまず、自分の生きる楽しみや喜びを求める心が強い人。その生きる姿勢が素敵で魅力的。お人柄が感じられました。
黒川みどり教授の解説がとてもよかった。部落問題の発祥について知ってるつもりだった自分、浅かったです。同和という言葉が生まれた由来など、初めて知ることいっぱいでした。この方の著書、読みたい。
もちろん30代の若き監督、密若勇咲(みつわかゆうさく)さんの名、しっかり覚えました。次回作も楽しみです。

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