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思いがけず可笑しな話

金継ぎ教室ではあるものの

 今日で5日目の教室。少しずつ処理を施した器たちのキズを見ていると、かわいがっている子どもがこれから成長して大人になっていくのを見守っているような気分だ。

 今日は金継ぎ教室5日目(5回目)。
そっと棚から修理中の器たちを取り出したときに先生が「はぁ~!そうだった!!出崎さん事件が起きたんだった!」と。
「?」何のことだろうかと思いながら器たちを抱えてテーブルへ運ぶと、先生がその中のコーヒーカップを手に取り、前回の午後の教室で、ある生徒さんが自分の器を取り出すときに誤って私の修理中の器を落としてしまったらしい。

割れてはいないもののよく見ると思いのほか入っているヒビを辿るとぐるりと長い。ただ、現場が金継ぎ教室なだけに金継ぎをすればよいわけで、それほどがっかりしなかった。

そのことは、何かしら自分が傷ついた経験を持っているとその対処に多少なりとも寛容になれるのと似ているだろうか?
初めての失恋は死にそうなくらい悲しいけど2回目の失恋はそんなこともあるよねくらいの避け方ができる?みたいな…(笑)そんなことはないか。失恋は失恋、痛いものは痛い。
ただ色々経験すると人生死ぬほどの事はないなと着地するみたいな感じと似ている?

結局新たにヒビの入ったコーヒーカップも、おかげでまた一からの作業のおさらいをすることが出来てよいかもしれないとも思えた。
成長途中でちょっとケガをして、少し退院が長引いたようなところでしょうか。

今日は、ヒビの入っているところをニッパーのような尖ったものでなぞって削る。漆(?)などを塗った時にしっかり浸み込んでより強固にするためだ。

長く入ったヒビをなぞりながら、ん~直そうと思って持ってきたカップだったけど…余計ひどくなったってことか。でも治すことが出来るから良いのか。そんなことを考えながらガリガリガリと削る。

最初に削る作業をしたら次に「汚れ止め」の作業をする。「汚れ止め」は、ご飯粒をつぶしてノリのようにして水で少し延し、傷の周り2、3センチの部分に筆で塗り付ける。

キズのところ以外に漆などが着いても陶器に滲み込まないようににするためだ。陶器の部分に漆が付いて浸透して、シミのようになってしまうのを防ぐためだ。

5日目の作業は、新しいキズの処理の後、これまで作業していた器へと移った。続きはまた。
ありがとう
2023年7月6日


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