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いよいよ佳境に9日目(9回目)

これまで砥いで塗って砥いで塗ってして来た作業もいよいよ佳境に。
本日初の「金」を巻くことに!!

仕上げを「金」「銀」「スズ」「漆」漆は「赤」「青」とありどれにするかは、以前も決めていたのだが、いよいよ9回目の本日、「金」を巻くことになった。

「金継ぎ」というからには憧れの「金」を纏う。
一度は不慮の事故により欠けてしまった器。丁寧に処置を施すことで「金」を纏って生まれ変わる。なんてすばらしい日本の文化なのだろう。

家族からは、そんな欠けた器使わなければいいとか、わざわざ行かなくてもいいなどと言われながらも、きれいに生き返らせて持って帰ってやるのだと、優しく優しく傷跡を丁寧に擦りながら、心をかけて生まれ変わるのに近づけて来た。

「金にします!」仕上げを金だと決めて、先生がそっと開く金粉の紙包を見入る。そして綿のようなものでそっと撫でる。
これが慣れていないので私は少し荒っぽかったのか、先生が「はっ!」と気を付けて、と息を飲み込むように言葉を発した。

そう「金粉」なのだ。気をつけないと飛んでいく(笑)
しかも今回計っていなかったから量が分からない。今の金のレートはものすごく値上がりしている。「あー、では500円で」「割と面積が大きいから800円にしておきましょう」

金粉の紙包を開ける時からの、その息をのむような空気の中で行われた一連のやり取りに、全くの初心者の私の目は、高価な金の価値が分からず悪いことをした子どものように、先生と金粉と器と綿を持つ手元とをきょろきょろ行ったり来たりした。

そうだよね、粉とはいえ金だから扱いは丁重に料金も発生するよね。器に金粉をはらった綿を紙包の上でパタパタとはらおうとするとまたしても「!はっ!」

そう粉が飛んでいくのだ、ごみも入る!気を付けて!「あーすみません!」
私が思っている以上に粒子は細かく、慎重さが必要だった。なんだか東京の男性に熊本弁を使って荒っぽい女性だと思われた時のような恥ずかしさを覚えた初「金」の巻きだった。(どういう例えなのだ笑)


こちらは傷の少なかったカップ 金継ぎの部分がなかなかいい味を出している。奥に広げているのが金粉の包み。

気を取り直して、この日の先生のおやつはあんみつ。
ジャガイモの入った白玉団子のとってもおいしいものだった。
始める前に食べたんだけど。

この日も超絶美味しい先生のあんみつ


作品は次回持って帰るまでまたしばらく置いておくことに。
それにしてもあの受難のコーヒーカップは…果たしてどれくらいの金を纏うのだろうか?と思ってしまった小さい自分。

ありがとう 
2023.11.28

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