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若年性脳卒中の原因と鑑別

key points
・50歳以下の脳卒中は10%にも満たないが、特殊な疾患が原因のことがある
・原疾患への対応が必要であるため、原疾患の検索が必要
・鑑別は卵円孔開存、抗リン脂質抗体症候群、脳動脈解離、もやもや病、高安動脈炎、感染性心内膜炎

脳卒中(脳梗塞と脳出血)は基本的には高齢な方が罹患する病気です。救急外来で働いていてもほとんどの脳卒中の患者さんは70代や80代などの高齢な方がほとんどです。
ただし、まれに50歳以下の方も脳卒中に罹患するみたいです。50歳以下の脳卒中を若年性脳卒中といい、全体の10%以下といわれています。若年性脳卒中の特徴と
して、脳卒中を起こす原疾患が動脈硬化性疾患や心房細動、高血圧や脳動脈瘤破裂などではなく特殊なものがあります。
若年性脳卒中の原因となる原疾患に対する対応が必要です。そのため、若年性脳卒中を診療したら原疾患の検索が必要です。

奇異性脳塞栓症

奇異性脳塞栓症は、静脈系の血栓が卵円孔開存や肺動静脈瘻などの右左シャントを通過し左心系に流入し塞栓源となり脳梗塞を起こします。
特に、卵円孔は有病率が高いです。ただし、普段は左房圧の方が右房圧より高く右左シャントは生じません。スポーツや重いものを持ち上げる際の怒責で一時的に右房圧が上昇すると右左シャントが生じて、その際に静脈系に血栓が存在すると脳梗塞が起こります。

高安動脈炎

高安動脈炎は大動脈とそこから分枝する動脈(肺動脈、冠動脈)に病変が生じる大型血管炎である。若年女性に発症することが多いです。
総頸動脈や椎骨動脈に病変が及ぶと脳虚血症状をきたします。また、急性期の炎症が原因で血栓が生じると脳梗塞を発症します。

抗リン脂質抗体症候群

血液凝固異常症による脳梗塞で頻度が高いのが抗リン脂質抗体症候群です。動静脈の血栓症、血小板減少、習慣性流産などが特徴です。

他にも動脈解離、もやもや病、脳動静脈奇形などの血管障害も原因となります。次回はそれらをまとめます。

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