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ポートランドから学ぶ「まちづくりと経済のしくみ」を町の次世代に|つの未来会議

7月22日、ポートランドのまちづくりを手がけてきた山崎満広さんをゲストに、「つの未来会議」第1回を開催。

町長や教育長、町議会議長と議員、役場職員、そして民間の若手経営者など50名近い町民が集まり、公民の区別なくまちづくりを当事者として考え、次世代へのバトンを託します。

3年越しでつくってきたグランドデザイン都農高校跡地活用企画が、いよいよこれから議会や町民に対して周知・議論をはじめていくタイミング。

イツノマが都農町に提案したグランドデザインの一部「つの未来マップ」

町の中の常識だけで考えないよう、地方のまちづくりとしても理想的なポートランドのまちづくりについて、山崎さんから教えていただき、町長や地元の若手経営者とのパネルディスカッションを経て、参加者一人ひとりが都農町の未来のまちづくり」を考えます。

1.山崎満広さんのお話

①目指すべき姿をつくる

ぼくは2015年にポートランドに行ったんですが、どことなくヨーロッパっぽくもあり、きめ細かに演出がされたり、自然や素材が生かされて歩きたくなる街という印象を持ちました。

一番感動したのは、チェーン店の看板がほとんどなかったこと。地域の資源やお店が活かされ活躍しているんだなぁというのは、まちなみを見るだけも感じ取れました。

ポートランドは1970年代、年間180日の空気汚染勧告がなされていた。
目指すべき姿(ビジョン)を明確に言語化して、50年かけてブレずに開発してきた。
かつ、2年半かけて、2万人の住民と意見交換、議論をしてつくってきた

山崎満広さん

都農町でも、グランドデザイン策定のプロセスで300人近い住民とワークショップをやってきました。

ただし、何人やったかとかそういうことではなく、
「何を話したか」
「どんな”ことば”で未来を描いたのか」
そのクオリティーがポートランドは圧倒的に高いんだろうなと、自戒の念にかられながら山崎さんの話に聞き入りました。

関わる人が、理解し共感できる”ことば”が必要
その”ことば”は、具体的な戦略に裏打ちされたものでなければ意味がない。

②Ecodistrict(一地区ずつ丁寧に)

ポートランドのコンセプトを支える街づくりの方法
ECOnomy(賑わい・便利)×ECOlogy(居心地)
コミュニティの意見を取り入れて、官民共働で街づくり
その際、いっぺんに大きなところからはやらない
一地区ずつ丁寧にやるのが特徴

山崎満広さん

ポートランドの魅力は、経済と環境が両立して、それぞれ高いレベルにあること。その秘訣のひとつは山崎さんによれば、地区ごとに丁寧に仕掛けていくことにありそう。

しかも、その地区の規模は1,000人ぐらいのところもあるそう。

たしかに、ぼくも都農町に来て、まちづくりの適正なサイズってあるんだ、と感じてました。
少なくても新しいことや変革を起こすには、多くても1,000人ぐらいかな、という肌感覚もあり。

都農町のグランドデザインでも、44地区ある自治会をベースに落とし込んでいきたいな、と。

③地域経済開発のしくみ

山崎さんの一番の専門領域でもある地域経済開発
いま都農町で、もっとも勉強したい領域

ポートランド市開発局は1958年設立以来、ポートランド市の経済開発と都市再生として13億ドルの開発投資を実施
元気な都心部」「健康的なネイバーフッド」「経済成長」を重ね合わせながら経済開発戦略・プログラムを策定。
12名のスタッフで地元の起業家支援や産業支援、イノベーションや資金調達、輸出、人材育成など、プログラムを推進。

山崎満広さん

儲けるためのしくみが脈々と整備されている様子が伝わってきました。
ビジョンを明確にした上で、経済開発戦略や組織・人材育成が同時に、重なり合いながらアクションに落とし込まれているから、いまのポートランドがあるのだと腹落ち。

④都農町へのアドバイス

今回で都農町は5回目!の山崎さん。
都農町のことを理解いただいた上で、6つの視点からアドバイス

1.強みを活かす
 (農業イノベーション・デジタル・ゼロカーボン・自然)
2.次世代の民間経営者の育成
3.公的施設の機能統合と有休資産の投資
4.土地の特性を活かした遊び場の整備
5.まちなみのデザイン(歩道と街路樹)
6.周辺都市との連携、広域産業開発・人材育成

山崎満広さん

山崎さんからのアドバイスを受けて、河野正和町長と、町内最大手の建設会社、河北の河野幸治社長と議論を続けました。

2.町長×地元経営者×山崎満広さんの議論

左から河野正和町長、中川、山崎満広さん、河野社長

①行政と民間の役割分担

これまで、都農町では町長を筆頭に、役場中心に、都農ワイン、道の駅やキウイ事業、ふるさと納税と、経済・産業振興に関わる事業を手がけてきました。

ポートランドの事例から学べるところとして、行政が民間企業・産業支援をしていくことが望ましく、今後、民間発、民間主導での経済開発も期待されるところです。

とはいえ、1万人の町で人口減少・過疎化が進む環境で新しい事業を個人や一社のリスクで起こすことは難易度が高いので、公と民で役割分担を明確に、連携していくことが必要です。

②「稼ぐこと」「投資」が大切

町長から、「お金」や「稼ぐ」というと、行政では敬遠されがち、二の次になりがちという問題提起。

山崎さんも、アメリカとの違いとして、日本における「稼ぐ」ことへの消極性は感じてたそうです。

河野社長から、建設にとどまらず、もっとまちづくり全般について、民間から投資が必要な事業を起こしていくことの重要性が話されました。

ふるさと納税が2年間取引停止になっているいまだからこそ、中長期にわたる公共施設に関する投資戦略をしっかりと吟味し、明確にしていくことが必要という意見で一致。

最後に、山崎さんから、

まずは、「都農高校跡地」を、具体的な投資案件として、公民連携のモデルとして取り組みをはじめてみては?

とご提案いただき議論を終えました。

3.町民一人ひとりの「未来への提案」

山崎さんのお話を聞いて、参加者一人ひとりが、「都農町の未来への提案」を書いて発表!

テーマは「都農町のグランドデザインで一番大切にしたいことは」

真っ先に手をあげて提案していただいた、美容室CANDLEの鶴輪直也さん!
ありがたいことに、お隣の日向市議会議員の友石司さんも都農町に提案!
今年1月にUターン起業した二川尚哉さん
なんと!嬉しいことに商工会長の河野寛利さんも参戦!!大のポートランドファン
5年間ポートランドに住んでいた河野博樹さん、寛利さんとの親子対決で大盛り上がり

山崎さんがポートランドを、とにかくわかりやすく、楽しく伝えていただいたおかげで、都農町のみなさんの口も手も滑らかに。

これから議論を進めていくグランドデザインの良いスタート!

4.次世代へのバトン

最後は、町長から次世代へバトンを渡してエンディング。
会場の最年少、イツノマの黒木翼さん(20歳)に町長からバトンを渡していただき、バトンを受け取った黒木翼さんに場を締めてもらいました。

バトンを渡す前に準備運動する町長
バトン成功!
感謝のグータッチ!
20歳が締めます。


都農町の未来は明るい!

次回の「つの未来会議」は、8月3日(金)19時@都農高校です。


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