烏一 花山/ケーイチ ハナヤマ

1995年世代の元警察官。花山烏一(ハナヤマケーイチ)のモノガタリ用アカウントです。普…

烏一 花山/ケーイチ ハナヤマ

1995年世代の元警察官。花山烏一(ハナヤマケーイチ)のモノガタリ用アカウントです。普段は主にエッセイを書いています。エッセイ用アカウント→https://note.com/hanayamakeichi

最近の記事

【警察物語/600文字】人生大変

誰でも人生の分岐点となった出来事はあるかと思う。 『てめぇら全員ブッ殺してやる。』 人生を大きく左右しかねないにも関わらずその分岐点はあまりにも突然に僕達の前に現れる。 『武器を捨てろ。』 そりゃどのタイミングで分岐点がやって来るかが分かっていたら人生なんて苦労しないというのは分かるけども。 『撃てるもんなら撃ってみろ。その拳銃で俺を殺してみろよ。』 警察官にとって拳銃を使うという事は良くも悪くも今後の警察人生に大きなな影響を与える。 『いいから武器を捨てろ。捨

    • 【警察物語/500文字】晩酌鎮歌

      『おいおい飲み過ぎだって。もう閉店だから起きてよ。』 いつから呑み始めたか覚えてない。 どうやら気付いたら寝てたそうだ。 『悪ぃなオヤジ。すぐ帰るからあともう一杯だけくれよ。』 『アンタにしては珍しく粘るね。』 『刑事には呑み暮れなきゃいけねぇ時もあんだよ。』 最初の一杯目はビール。 昔はそのままぶっ倒れるまでビールを呑み続けていたけども最近は尿酸値を気にして二杯目以降はハイボールにしてる。 アイツもそうだった。 『アンタここのところはハイボールばっかりだったの

      • 【警察物語/500文字】本物偽物

        アナタの目の前に血が付いた包丁を持った人が現われたらどうする? 戦う?逃げる?通報する? どれも正解。 でもよく考えてほしい。 その人は血が付いた包丁を持っているだけで誰かを刺したかどうかは分からないよね。 もしかしたらその人は誰かを包丁で刺した人から勇敢にも包丁を取り上げた人かもしれない。 だったらその人と協力して真犯人を捕まえなきゃいけない。 人は見かけで判断しちゃいけないって古くから言われているけども昔の人の言葉は真芯を食った言葉が多いよね。 ハナシを変

        • 【警察物語/300文字】商売道具

          始めて触った時はまだ熱も冷たさも帯びていなかった。 次に触った時は私自身が温度を感じる余裕がなかった。 最後に触った時は信じられないくらい冷たかった。 私が掛けたのは無機質な鉄の双輪。 その双輪が手首に掛けられるのは良くも悪くも人生を大きく変える事を強いられる。 この世に生を受けた数多の人間が掛けられる経験無く生涯を全うするだろう。 我々にとっては日常的すぎて気付く事さえないけどもこの双輪は思っているより重たい。 物質的にも概念的にも重たい。重い想いが重く募る。

        【警察物語/600文字】人生大変