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#025 給与計算分解③休日労働手当

1. はじめに

お疲れ様です!なべパパです。

最近は給与計算について情報を整理しています。
前回は、給与計算のうち【深夜労働手当】を整理してきました。

オーソドックスな割増賃金の対象となる最後の一つが、”休日労働”です。
休日労働とは何か?割増賃金はどれくらいか?など、ご存じでしょうか?

そこで今回は、"休日労働手当"に関する情報について整理していこうと思います。

この記事を読み終わった後には、

  • 休日労働とは

  • 休日労働手当

  • 休日労働に伴う注意点

の概略についてわかるようになります。

それでは、行きましょう!


2. 労働基準法における"休日労働手当"

まずは、関連法規について押さえておきましょう。

(休日)
<労働基準法>
第三十五条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
② 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。

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(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
<労働基準法>
第三十七条
使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

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平成六年政令第五号
<労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令>
内閣は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第三十七条第一項の規定に基づき、この政令を制定する。
労働基準法第三十七条第一項の政令で定める率は、同法第三十三条又は第三十六条第一項の規定により延長した労働時間の労働については二割五分とし、これらの規定により労働させた休日の労働については三割五分とする。

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以上が法的な抜粋になります。

休日労働については、政令によってその割増率が規定されています。

では、中身について理解を深めていきましょう。

3. "休日労働手当"のポイント

3.1 法定休日・所定休日・休日労働

法定休日
労働基準法により労働者に保証された休日です。

「毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日」を労働者に与えることが義務付けられています。

「4週間を通じて4日以上の休日」の具体例は下記のとおりとなります。
1週目:休日1日
2週目:休日2日
3週目:休日0日
4週目:休日1日

https://hcm-jinjer.com/blog/jinji/labor-standards-act_holiday/

所定休日(法定外休日)
労働契約や就業規則などで定められた休日で、法定休日以外の日を指します。
これは、企業が自主的に設ける休日で、その数や設定の仕方は企業に委ねられています。

完全週休二日制の会社で「土日休み」の場合は、いずれかが所定休日、いずれかが法定休日となります。

休日労働
すなわち、「法定休日」に勤務を命じられて労働をした場合、「休日労働」となります。

3.2 休日労働手当

休日労働手当とは、休日に労働を行った労働者に対して支払われる手当のことを指します。

この手当は、労働者の健康保護と労働条件の公正を確保するために設けられています。

休日労働手当の計算式

休日労働手当 = 基礎時給 × 割増賃金率(1.35) × 休日労働時間

基礎時給

法定時間外残業における基礎時給(1時間あたりの賃金)と同様です。

●時給制の場合

雇用契約書の時給が該当します。

●月給制の場合

(基本給+各種手当)÷1ヶ月あたりの所定労働時間で計算します。

各種手当のうち、個々の事情を踏まえ、労働と直接関係がないような手当については除外して算出することが可能な場合があります。

※除外される手当

・家族手当(従業員全員のような一律給付のようなものを除く)

・通勤手当(従業員全員のような一律給付のようなものを除く)

・住宅手当(従業員全員のような一律給付のようなものを除く)

・状況に応じた臨時的な賃金(従業員全員のような一律給付のようなものを除く)

・1ヶ月以上の期間ごとに支払う賃金(従業員全員のような一律給付のようなものを除く)

割増賃金率
労働基準法では、深夜労働に対する割増賃金率は35%以上に設定するよう定められています。

3.3 休日労働をさせる際の注意点

法定休日の出勤は36協定の締結と届け出が必要

法定休日に労働をさせるには、事前に36協定(サブロク協定)を締結し、管轄の労働基準監督署に届出が必要です。

もし締結を行わずに休日労働をさせてしまったり、週や年間で見たときに休日日数が少なくなってしまうと、労働基準法第119条に基づき、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金を科される可能性があります。

「振替休日」を設ける場合は、休日労働手当は発生しない

振替休日とは、法定休日をあらかじめ別の日に振り替える仕組みです。

振替休日が事前に設定されている場合は、振替後も週1日(または4週4日)の法定休日が確保されている限り、もとの法定休日に働いても「休日労働した」ことにはなりません。

4. まとめ

・休日労働手当は、法定休日に労働を行った労働者に対して支払われる手当で、その計算式は基礎時給 × 割増賃金率(1.35) × 休日労働時間となります。
基礎時給は、時給制の場合は雇用契約書の時給、月給制の場合は(基本給+各種手当)÷1ヶ月あたりの所定労働時間で計算します。

・法定休日に労働をさせるには、事前に36協定(サブロク協定)を締結し、管轄の労働基準監督署に届出が必要で、違反すると罰金や懲役の可能性があります。

・振替休日とは、法定休日をあらかじめ別の日に振り替える仕組みで、振替休日が事前に設定されている場合は、振替後も週1日(または4週4日)の法定休日が確保されている限り、もとの法定休日に働いても「休日労働した」ことにはなりません。

今日の記事も、バックオフィス業務で奮闘する"貴方"の実務に、役立つ「リアル」で「すぐ使える」情報であると嬉しいです!

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