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#014 返済予定表の作成

◆この記事のポイント


直近で返済予定表を接する機会がありました。
実際のExcelシートを共有することに加えて、財務や資金管理の面で重要となる"返済予定表"について整理していきたいと思います。

この記事を読み終わった後には、

  • 返済予定表とは何なのか?

  • 実際にExcelで返済予定表をどのように作成するか?

についてわかるようになります。
では、行きましょう!

◆返済予定表について

返済予定表とは、借入金の返済計画を具体的に示したものです。

具体的には、

・返済期間
・返済額
・利息
・元金の残高など

を一覧で確認することができます。
これにより、返済計画の進行状況を把握し、適切な資金計画を立てることが可能になります。

「開業時や資金が不足した際など、事業での借入金は大きな金額です。
その金額を5年~15年程度で返済していくため、1ヶ月分の返済金額は個人での借入とは桁が変わります。
しっかりと把握しておきたい資料の一つです。」

返済予定表が必要となる具体的なシチュエーションとしては、例えば、事業資金としての借入金や、従業員からの借入金などがあります。

これらの借入金の返済計画を明確にし、その進行状況を管理するために返済予定表が活用されます。

「貸金業(金融機関)等から借入する場合は、返済予定表は先方で作成し、郵送等で送られ、確認することになります。
しかし、有事があり自社(自店)の従業員へ資金貸付をする場合には、自社(や自分)で作成することになります。
トラブルにならないよう、最初から幾ら返済していくのか返済予定表で示していくわけです。」

◆返済予定表作成時の注意点

返済予定表を作成する際には、以下の要素を考慮する必要があります。

【元本】
実際に借り入れた(もしくは貸し付けた。以下略)金額のこと

【利息】
利息は、借り入れした金額に上乗せされた金額です。

借りた1万円を1万1,000円で返済する場合、1,000円が利息となり、1,000円は1万円に対して10%となります。つまり、金利は10%です。

借入金に対する利息には上限があります。
・元本の金額が10万円未満のときの上限金利         → 年20%
・元本の金額が10万円以上から100万円未満のとき上限金利→ 年18%
・元本の金額が100万円以上のときの上限金利       → 年15%

利息はどれくらいつければいいのか?
「与信や格付け、財務状況、元本額等にも寄りますが、金融機関等で借りると2.0%~3.2%等ぐらいでしょうか。
労基法で定める社内預金制度だと利息0.5%とあります。
感覚的には、金融機関同等下限の2.0%ぐらいが妥当な感じがします。」

【返済期間】
借入金を返済する期間を設定します。
返済期間は、借入金の大きさや借り手の返済能力により異なります。

【返済額】
返済額は、元金と利息を合計したものです。
返済額を設定することで、返済計画の進行状況を一目で確認することができます。

◆従業員からは利息を取る必要がある!?

従業員への貸付金に対する利息の取り扱いは、その借入金がどのような形で提供されたかによります。

【個人間での貸し借り】
利息を取る必要は基本的にありません。

無利息であっても、借りた側からすれば返済終了までの期間で考えると借りたお金を返しているだけなので、贈与とは扱われず、贈与税を納める必要はありません。

※ただし、返済計画が不明であったりすると贈与と判断される可能性があるので、しっかり返済金額や期間を定めておくことが必要です。

【会社から個人(従業員)への貸し借り】

会社から個人にお金を貸す場合には利息を付与する必要があります。

会社とは営利を追求する存在です。

そのため、会社の資金からお金を貸す際にも無償ということは基本的にあってはいけません。
そのため、会社から個人にお金を貸す場合には利息を付与する必要があります。

会社が無利息で個人にお金を貸した場合
・会社が一旦利息を受けたうえで、再度それを従業員に贈与したという風に考えます。
⇒贈与と扱われた部分を確定進行で「雑所得」で申告の必要あり
∵贈与税は個人間の贈与にのみ適用される税金なので「雑所得」で申告し所得税を払う。。

◆返済予定表の実例を共有します

返済予定表の一例をサンプルとして作ってあるので、気になる方はご覧になってください。

返済予定表の要素

①当初実行日(借入日)の記載
借入金が発生した日を記載します。
これは、返済計画のスタート日となります。

②借入金額の記載
借入金の総額を記載します。
これは、返済計画の基礎となる金額です。

③返済期日(期間)の設定
借入金を返済する期日(期間)を設定します。
3年・5年・7年・10年あたりが多いと思います。

④利息の設定
借入金に対する利息を設定します。※今回は簡易なので固定金利です。

⑤約定日
返済期日です。

⑥返済方式
元利均等返済(毎月の支払総額が一定)と元金均等返済(毎月の元金返済額が一定)があります。
元金均等でサンプルは作成してあります。

返済予定表の作成手順

【1】元金返済額を計算する

元金均等返済なので、
元金返済額 = 元金 / 返済月数(返済開始~返済期日の月数)
※例えば、5年=60か月

【2】利息を計算する

利息 = 元金 × 利率 / 365日 × 借入日数

ここでの、借入日数は前回約定日~今回約定日とします。
※例えば、7/1~7/31間で30日

【3】返済金額と元金残高を計算する

返済金額 = 元金返済額 + 利息

元金残高 = 前回元金残高 ー 元金返済額 

◆まとめ

・返済予定表とは、借入金の返済計画を具体的に示したもので、返済期間、返済額、利息、元金の残高などを一覧で確認でき、返済計画の進行状況を把握し、適切な資金計画を立てることが可能になる。

・従業員への貸付金に対する利息の取り扱いは、その借入金がどのような形で提供されたかにより異なる。個人間での貸し借りでは利息を取る必要は基本的にないが、会社から個人(従業員)への貸し借りでは利息を付与する必要がある。

・返済予定表の作成は、当初実行日(借入日)の記載、借入金額の記載、返済期日(期間)の設定、利息の設定、約定日、返済方式などの手順で行われ、元金返済額、利息、返済金額、元金残高などを計算する。

今日の記事も、バックオフィス業務で奮闘する"貴方"の実務に、役立つ「リアル」で「すぐ使える」情報であると嬉しいです!

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