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異分野の思考で日本の洋上風力発電にブレイクスルーを起こす。【前編】

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株式会社アルバトロス・テクノロジーは、もともと大学の研究者だった秋元博路さんが2012年に設立した会社です。目的は、沖合に風車を浮かべる「浮体式風力発電」を実用化すること。しかも、私たちの見慣れた水平軸の風車ではなく、垂直軸の風車です。浮体式であること、垂直軸であること、いずれもこれまでの日本の常識を打ち破る発想なのだそう。2022年9月にジェネシア・ベンチャーズから総額1億円の資金調達を実施し、いよいよ小型海上実験に漕ぎ出そうとしています。

(聞き手/井上 和幸)

秋元 博路氏 株式会社アルバトロス・テクノロジー 代表取締役

東日本大震災による原発事故を機にエネルギー問題解決を目指す

――秋元さんは、もともと海洋工学の研究者でいらしたんですよね?

秋元 正確には「船舶海洋工学」です。ずっと研究者でいるつもりでしたが、東京大学で准教授を務めていた2011年に東日本大震災と原発事故が起き、日本のエネルギー問題に取り組まなければ、と思いました。それで、洋上風力発電に着目したわけです。

――当時から洋上風力を研究していらしたわけではない?

秋元 その頃取り組んでいたのは、超高速船の研究、船舶の流体力学です。船の専門家の目から見ると、従来の洋上風力発電は、ちょっとおかしなものでした。

――と言いますと?

秋元 まず、洋上風力発電には海底に基礎を設ける「着床式」と、海上に浮かべる「浮体式」があります。日本で始まっている洋上風力発電は、ほとんどが「着床式」で、「浮体式」はあまり知られていませんでした。最近になってようやく注目され始めましたが、それでも「浮体式は着床式よりポテンシャルが高い」という程度の言及に留まっています。私に言わせれば、それは控え目すぎる表現で、本当は「浮体式のほうが圧倒的にいい」んです。

ヨーロッパで着床式洋上風力発電が進んでいるのは、浅くて広い北海があるからです。北海は瀬戸内海より浅く、日本海に匹敵する広さがある。陸から100km先でも着床式の風車が建てられます。広い海の上に、碁盤の目のように風力発電機を並べることができるんです。

しかし、日本周辺は海が深く、風車は陸から数km先までしか建てられません。しかも、海岸の近くまで山地が迫っている。季節によって山に風が遮られると、風車が回らなくなってしまいます。これでは設備利用率が下がり、不経済です。
対して、沖合に風力発電機を浮かべれば、海に囲まれた日本列島の利点が生かせます。年間を通じて安定した強風を受けることができ、効率の高い発電が可能になります。

――なるほど。海に浮...

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