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【前編】アイデア整理にきくレバレッジポイント −フレームワークとして−


前回、システム思考の歴史をふりかえりました。予告で「レバレッジポイント」について書くとお伝えしました。


背景として、まちづくりの文脈でワークショップや議論なんかをすると、最終的に「教育が大事、教育を変えよう!」「人を変えないと、変わらないと!」っていうポイントがあって、結局おちつくところがいつも同じになっちゃうことをよく見てきました。


もちろん、そのこと自体悪いことじゃないんですが、もっと考えれるアイデアや大きなカテゴリーがあるはずなのに、終始「人材育成」「教育」の議論におちついてしまうのは残念だし、もったいないっていうのが、正直なところでした。


その傾向になりがちな思考を整理するフレームが「レバレッジポイント」なんです。レバレッジはてこって意味です。世界を動かすてこが12個あるんです。その中で、「人が変わらなきゃ!」ってかなり難しいレバレッジのポイントなんです。


他にも11個あるので、フレームを知ればもっと幅広く大きなテーマがひろえるし、みなさんの整理に役に立つと思います。大事なフレームだと思うけど、検索にあまり出てこないのが残念だと感じていたので、行きます!


そもそもレバレッジポイントとは


レバレッジポイントの源流は、このブログにもたびたび出てきてるドネラ・H・メドウズ。ドネラさんは「成長の限界」の主執筆者であり、日本で話題になった「もし世界が100人の村だったら」のおおもとのコラムを書いていた人。M ITの特別研究員。(このブログに出てくる人はMIT多い。)


システム思考を使って、組織・環境・社会分野の課題に積極的に取り組んでいた第一人者だったドネラさんが考えたレバレッジポイントは、もともとはシステムへの介入ポイントはどこにあるのか、を整理したものです。「世界はシステムで動く」の中にレバレッジポイントについての言及があるし、そもそもレバレッジポイントだけでも本になっています。(和訳されているかは不明)


今回は、システムへの介入ポイントという扱い方でなく、フレームワークとしても役に立ちそうだぞ、と捉えています。(再三言い過ぎですね笑)なので、どこか齟齬があるかもはご了承ください。



ソースは、もちろんドネラさんの「世界はシステムで動く」。


レバレッジポイント



レバレッジポイントは、数値が1に近づくほどインパクトが大きいといわれています。システムの介入ポイントはどこにあるのかドネラさんは整理していくれています。このポイントを抑えてアクションを行えば、システムチェンジを起こせるのではないでしょうか、という見方になります。


12個もあるので、今はなんのこっちゃっていう感じのところもあれば、なんとなくわかるポイントもあるかもしれません。(次回のnoteで、一つ一つ説明していきますね。)

12. 数字:補助金、税金、基準などの定数やパラメータ

11. バッファ:フローと比較したときの安定化させるストックのサイズ

10. ストックとフロー構造:物理的システムと交差するつながるポイント

9. 時間的遅れ:システム変化の速度に対する時間の長さ

8. バランスをとったフィードバック ループ:是正しようとする影響に関連したフィードバックの強さ

7. 強化したフィードバック ループ:ループを動かす強さ

6. 情報の流れ:誰が情報にアクセスできるか、できないかの構造

5. ルール:インセンティブ、罰則、制約

4. 自己組織化:システム構造に加える、変更する、あるいは、進化させる力

3. ゴール:システムの目的あるいは、機能

2. パラダイム:考え方からシステム-そのゴール、構造、ルール、遅延、パラメータ - が生まれる

1. パラダイムを超える


人材や教育って人の考え方にアプローチするので、考え方が変わったり、認知が変わるってパラダイムが変わることなので、2や1近辺の領域。だから、インパクトは大きいのですが、その分むずかしいと思われます。


次回から一個一個説明していきます。まずは、理解するための前提をどうぞ。


レバレッジポイントを理解するための前提1:ストックとフロー



レバレッジポイントはもともとシステム思考の文脈にあるので、どういう前提があるかっていうことは理解することは、フレーム理解の一助になります。


さて、システムとして世界を見る場合、そのダイナミズを何かしらの形で把握しなければなりません。そのダイナミクスをドネラさんは、フローとストックという形で説明しました。


ストックとは、すべてのシステムの基盤で、見たり、数えたり、測ったりすることができるもの。ストックヤードという言葉もある通り「貯蔵」することなんです。時間の経過とともに蓄積された情報の蓄え、量、など。人口、書籍、木材、銀行にあるお金、etc。ストックは物理的なものであるとは限らない。人に対するあなたの善意の蓄え、世界はよりよくなれるといいうあなたの希望の供給源です。
フローとは、ストックの貯蔵量を左右するインとアウトの流れのこと。例えば、人口というストックがあるとするならば、出生と死亡。預金残高というストックならば、預金と引き出しなどです。

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ドネラさんは、ストックをバスタブと見立てて、フローは水として説明します。バスタブが大きいほどストックできます。水のインが多ければ溢れることもありますが、アウトのフローをいじると適切な量を保つことができます。


簡単にいえば、インフローがアウトフローを勝るとストックのレベルが上昇し、逆ではストックのレベルが下がります。


あとは、インフローとアウトフローの量が等しくなった場合、ストックのレベルは動的な平行状態になります。


例えば、地球の水の循環システムを、魚津市の図をかり説明すると、

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海がストックだとすると、表流水、伏流水、地下水がインフローなわけです。アウトフローが蒸発ってなわけですね。小学生くらいで習う循環ですが、世界をシステムとして捉えるときこういった構造で物事が動いているよねってあらためてみるわけなんです。


レバレッジポイントを理解するための前提2:フィードバックループ


システムのダイナミクス(挙動)を理解するのにもうひとつ大切な概念があります。それが、フィードバックループです。フィードバックは、伝え返すこと。工学の分野では「帰還」なんて訳されるようです。(wikiより)


フィードバックには、バランス型のフィードバックと自己強化型のフィードバックがあります。その名のとおり、システムのバランスをとるための力学とシステムを強化するための力学なんです。

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(事例の如何はさておいてください笑)体重をストックだとして、ストックを一定に保とうとする力がバランス型なんですね。プラスにしたり、マイナスにしたりする。

逆に自己強化型は、とにかく正の方向にも負の方向にも同じ方向でドライブさせる。

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好循環のときはいいかもしれませんが、悪循環のときは少し辛い力学かもしれません。例えば、ダイエットしたい→我慢した結果ストレスが強くなった→もっと食べてしまって体重が増えた→もっとダイエットしたい、みたいな悪循環のループもあります。


まとめ


システムはストックとフローのダイナミクスであり、ダイナミクスの動きの力学に二つのフィードバックがある。
そして、そのシステムになんらかの変化を起こしたい!っていうときにレバレッジの介入ポイントが12個あります!ということでした。


それでは、次回、12個あるフレームを6個ずつ説明していきたいと思います!

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