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2021年 パワーエレクトロニクス講義記録

2021年前期に行った学部3年生向け講義であるパワーエレクトロニクスに関する記録です。今年度初めて受け持った講義と言うことで,試行錯誤的な部分はありますが,自分が専門とする学部講義科目と言うことで,数多く市販されている教科書(本)の内容にはとらわれずに授業内容を構成しました

授業概要

1. 4 月7 日 パワーエレクトロニクスと省エネルギー
2. 4 月14 日 電力エネルギーとパワエレ
3. 4 月21 日 パワーエレクトロニクスの応用事例
4. 4 月28 日 矩形波と正弦波
5. 5 月12 日 スイッチング技術
6. 5 月19 日 チョッパ回路 DC-DC
7. 5 月26 日 中間試験
8. 6 月2 日 インバータ回路 DC-AC
9. 6 月9 日 PWM 変調
10. 6 月16 日 整流回路 AC-DC
11. 6 月23 日 要素技術(ゲート駆動回路,絶縁)
12. 6 月30 日 要素技術(デジタル制御,通信)
13. 7 月7 日 要素技術(受動素子: インダクタ,キャパシタ)
14. 7 月14 日 要素技術(パワーデバイス)
15. 演習問題 (YouTube配信のみ)
16. 8 月4 日 期末試験

私が受けたころの授業内容は,「回路」的な要素が非常に多かった記憶があるのですが,この授業ではそれよりも幅広い内容にしたつもりです。また,出席する学生ができるだけ興味を持ってもらえるように,応用(アプリ)→回路 →部品 となるように授業を構成しました。多くの本では逆の順番,部品(主としてパワーデバイスのみ)→ 回路 → 応用 で説明がされています。この順番にした理由は,以前の電気学会で行ったパワーエレクトロニクスに関する教育の委員会で議論していた時のアイディアを参考にしています。

授業方法

当初は,対面・Zoom・YouTubeを組み合わせようとしていましたが,実際には4月だけで,4月末からは対面がなくなりました。4月は,対面参加が20名,zoomが20名ぐらいの参加でした。対面が無くなってからは,Zoom参加者は約半数で,残りはYouTubeを活用していたようです。ただし,宿題提出日にはYouTubeの視聴回数が伸びていたことから,多くの学生は動画を視聴していたように思います。授業は,iPadの手書きアプリを黒板のように使い,ひたすら書き続けるというスタイルです。回路図や波形を描く手順を見せる方が良いと考えており,また授業の進度が早くなりすぎないように考えた結果です。ただし,効果的な動画やWebサイトは授業中においても一部紹介させてもらいました。最近は,パワエレの製品を分解している動画がたくさん公開されているので,講義と実際の製品のつながりが良くなっているように思います。

YouTubeによる動画配信

動画配信は,2020年度の授業から始めました。当初は,大学のLMSを使っていましたが,途中からYouTube(限定配信)に切り替えました。この利点は,学生がどのタイミングで,どれだけ見ているかを把握できる点です

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これが,今年度のパワーエレクトロニクスの全動画配信記録です。多くの授業動画の平均視聴時間は10~15分程度でした。おそらく,宿題やテスト勉強をするためにスポット的に見ていたと思われます。また,ある学生さんに直接聞いたところ,倍速再生してノートを取っているということを言っていました。また,宿題回答動画や演習回答・試験回答動画もアップロードしております。ちなみに,期末試験終了1週間後における期末試験の解説動画の視聴回数は11回なので,1/4ぐらいの学生さんだけが見たようです。

期末テストでは,受講学生さんに授業の感想を必ず書いてもらうようにしているのですが,今年の感想の多くはYouTube配信に関することでした。本学科の他の講義でどのようにされているかはわからないのですが,動画配信がおおむね好評だったと印象です。今年は,様々な理由で最終講義日から期末試験まで3週間の期間が空きましたが,動画配信しているおかげで授業内容を忘れてしまうといった心配をしなくて済みました。

試験

この授業では中間試験と期末試験を行います。今年は,両方ともオンライン試験ということで,zoomで出席確認,答案をGoogleフォーム入力,手書きノートをLMS送信を併用しました。Google フォームでは,自動採点機能を使いましたので,試験前の準備は従来の試験にくらべていろいろ準備は必要ですが,試験終了後の採点は非常に簡素化されました。記述式の採点などの後処理がだいたい1時間ぐらいで完了します。

オンライン試験ということで,教科書・ノート・Webなど何を見ても良いということにしていたので,その代わり試験ではノートを見れば回答が得られるということではなく,考えてもらう要素を入れるようにしました。しかしながら,答案を見ていると考える答案はいまいち苦手の学生が多いように感じました。

感想

初めて受け持つ授業ということであり,前任の先生の授業資料は拝見し一部は参考にしたのみで,授業構成を一から考えただけでなく,宿題・テスト用の図面は新しく作成しなおしました。また,宿題の問題や試験問題も授業に合わせて作成しました。授業の反省点としては,現在のパワエレの分野で重要と思われる要素を取り扱ったつもりですが,広く扱ったために各要素技術について深くできなかった点です。授業構成については,改善点があるので来年度に向けて再検討する予定です

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