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9.モノより思い出、とか言ってみる


我が家の洗濯カゴの底には、シールが貼ってある。
貼ってある、というよりは
いつの間にか貼られていた、というほうが正しい。


貼られたのは10年前。
当時、4歳の息子が大好きだった仮面ライダーのシール。

そういえば、おもちゃをいれていた大きなBOXや
段ボールに入っては、電車ごっこをしたり
おもちゃを持ち込んで遊んでいることが好きだったっけ。

洗濯カゴにもまだすっぽり収まるサイズだった息子は
同じように入って貼ったのかもしれない。


なかなか頑丈な糊だったのか、貼り方がうまかったのか(笑)
剝がそうとしてもぴったりくっついて
もとからここにそうしてあったかの如く、びくともしない。



洗濯機から洗濯物をカゴにいれるとき
洗濯物を干してだんだんと減っていくとき
洗濯物を取り込んでまたカゴにいれるとき

カゴの底がみえるたび、そのシールが目に飛び込んでくる。
と同時に、あの頃の息子の姿を思い出す。



好きなものだけに囲まれた、シンプルでおしゃれな家に
住みたいと思っていた。

だけど現実は、家族それぞれの好きなものと
デザインより機能や利便性をとった
統一性のないインテリアや小物たちであふれている。


洗濯カゴもそのひとつ。
どこかでたまたま安売りしていたから手に入れた
赤いプラスチックのカゴ。

特別、好きな色やデザインだったわけでもない。
そして、そういうものに限ってなかなか壊れない(笑)


キッチンには、
ちょっと味見するのに便利な、アンパンマンのスプーンとフォーク。
息子が小さいころ使っていた、陶器の小さなコップは
介護中の親の薬を溶かしたり、とろみをつけるのに使っている。



どれもこれも、なくても困らない。
素敵でセンスのあるものに変えることは思っているよりきっと簡単だ。

だけど、それを手放さないでいるのは
そのものたちにインストールされた、あの頃の息子との思い出を
まだ握りしめていたいからなのかもしれない。



モノより思い出、みたいな話になっちゃったけど、
モノも大事だし、好きです、はい(笑)





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