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バンクーバー、2010。

#アイススレッジホッケー #ひとりごと #スポーツ #パラスポーツ #パラリンピック

先日、中外製薬ホームページ上に、
アイススレッジホッケー日本代表
高橋和廣選手のコラムが
掲載されました。

「氷上の格闘技」といわれるほど激しいぶつかり合いやスピード感が魅力の競技です。私はゲームメイクをしながら相手を引きつけてパスを出すのを得意としており、2010年のバンクーバーパラリンピック準決勝で、地元のカナダを破った決勝点をアシストしたことは一生忘れられません。
本文:http://www.chugai-pharm.co.jp/csr/parasports/column.html

高橋選手の言う
一生忘れられない勝利とは。

2010年3月。
日本は、バンクーバーパラリンピックの
準決勝で、開催国カナダを破り
銀メダルを獲得しています。

私は、この勝利を風化させないように、
そして日本でスレッジホッケーが
再び花咲くことを夢見ているので、
この試合について書きます。

まず、カナダで開催されている
パラリンピックにおいて、
ホッケーでカナダに勝つとは
どういうことでしょうか。

ホッケーといえば、NHLです。
下にNHLの国籍分布を示します。
(引用元: http://www.quanthockey.com/nhl/nationality-totals/nhl-players-career-stats.html)

約70%がカナダ人選手。
残り30%のうち15%がアメリカ人。
残りの15%はヨーロッパ人です。

NHLの本部はニューヨークにあります。
エンターテイメントの国、アメリカ。
その一大産業であるプロスポーツ。

そのホッケーのプロ集団、NHLで
実際に活躍しているのは
7割がカナダ人選手なのです。

NHL自体、発祥はカナダです。
それが、アメリカを中心に広がったのです。

それほどカナダはホッケー大国です。

そのカナダのバンクーバーで
冬季パラリンピックが行われました。

アイススレッジホッケーは、
大会最終日に決勝が行われる
冬季パラの花形競技です。

予選グループAを2勝1敗
(対チェコ、韓国 ○、対US ●)
の好成績で勝ち進んだ日本。
グループBを無敗中の
カナダと準決勝で対戦します。

第1ピリオド。
石田真彦選手(DF)が
カナダBilly BRIDGES選手(FW)との
接触(インターフェアランス)で
ペナルティをとられ、パワープレイへ。

選手を一人欠く状態で迎えた9分56秒、
Marc DORION選手(FW)による
先制点。

失点を許してしまったものの
日本の守護神、永瀬充選手、
スキルの高いカナダオフェンス陣
から放たれる10シュート中、
9セーブの好成績です。

第2ピリオド。
7分33秒。日本代表キャプテン
遠藤隆行選手(DF)、
ゴール前にてパスをカット。
そこから落ち着いてシュートを放ち
同点ゴール。

第3ピリオド。
同点で迎えた最終ピリオド。
これまでのシュート数は
カナダ14、日本8、
強豪カナダ、ややリード。

されど流れはあくまで日本。
特にディフェンス陣が
カナダにいい体制からの
シュートを打たせないよう
健闘しています。

両国ともスコアに動きがないまま
タイムアウトを2回挟んで迎えた
試合時間、残り1分13秒。

混戦から日本がパックを奪います。
パックを手にしたのは
左サイドを走る上原大祐選手(FW)。
同時にリンク中央やや右寄りを走るのは
相棒、高橋選手。

上原選手から高橋選手へパス。

ディフェンスを十分に引きつけ
ゴール前、ノーマーク状態の
上原選手へとパス。

ゴーリー、上原選手の一騎打ち。

ゴール。

高橋選手・上原選手の鮮やかな
コンビネーション。
お互いへの信頼からなる
安定のパスワーク。
確実の1点。

2-1。
日本、逆転。

負けられない、ホッケー大国カナダ。

ゴーリーを下げリンク上のプレイヤーを
増やし、時間が残り少ないなか
巻き返しを図ります。

試合終了16秒前。
誰も止めることのないパックが
ゴーリーのいないエンプティネットへ。
オウンゴール。
最後の1点、日本。

3-1。
日本、準決勝勝利。
メダル確定。

これが2010年バンクーバーでの
カナダ戦、準決勝勝利の流れです。

パラリンピックの試合は、
公式映像が公開されていて、
殆どがWeb上で閲覧可能なのですが
この日本-カナダ準決勝戦の映像は
見つからないのです。

誰も見ることができない試合。
でも、日本が一番忘れちゃいけない
試合。だから書き起こしました。

下馬評では日本は大きな注目を
浴びていた訳ではありませんでした。

その中で勝ち取った銀メダル。
信頼が生んだメダル。

スレッジは、競技人口が100人に
満たないマイナースポーツです。
(参考情報:Wikipedia記事

障がい者スポーツとしての
位置付けが強い現状は
否定できませんが、誰にでも
プレイできるスポーツであり
実際に健常者プレイヤーも存在します。
女性プレイヤーもいます。

スレッジホッケーは見た目よりハードで
ジムのエクササイズとして
取り入れられているケースも
海外では出てきているようです。

そう、アイススレッジホッケーは
人種、障がいの有無、年齢、性別に
関係なく楽しめるスポーツなんです。

今回のように、CSRの一環で
大企業が取り上げてくださるのは、
まだまだ知られていない
スレッジの今後の発展に向け、
大きな一歩だと言えますね。

近い将来、より多くの人に
プレイされる日が来ますように。

(練習風景。走り込み中の選手たち。)

参考:
http://masports.jp/past/winter/sledgehockey/1012
http://sans-culotte.seesaa.net/article/143704906.html

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